この世界のこと②
「まだ私がお嬢様にお仕えする前のことですが
魔力暴走をした旦那様をいとも簡単に止めた
ようです。その時お嬢様はまだ4歳だったと」
魔力暴走とは魔力が強い者が何かをキッカケ
に力を爆発させてしまい誰も止める事が出来なく
なる現象だ。
そのまま放っておくと国が破壊されてしまう恐れ
があるので大体はその場で殺されてしまうのだと
か。
「え!?それって凄くない?」
「はい。凄いです」
それは魔力と関係なく出来ることなのかな?
しかも4歳の私どうやった?
どうやってあの底なしの魔力を持つレオン
お父様の暴走を止めたんだ?
凄いことだ……。
この国の常識では私が凄いと感じてるよりも
もっと凄いことなんだろうけど……。
私はそれよりも魔力が欲しいな……。
肩を落としてガックリしていると
「大丈夫ですよ。お嬢様は7色の珍しい魂を
持っているのですから必ず覚醒します」
エドはそう言って私の頭をポンポンしてく
れた。
12歳とは思えぬ安定ポンポン……。
流石私の舎弟だな。
エドにポンポンされるとなんか安心するし
覚醒出来る気もしてきた。
次に気になっていたのは記憶が戻る前の私だ。
これまでのことは何となく薄っすらと
覚えているような、いないような……。
なのでどんなクラウディアだったのかきちんと
聞いてみよう!!
「お嬢様は口数の少ないお方でございましたが
ヴィンセット家の皆様とはにこやかに会話を
されていました。しかし時より何処を見つめて
いらっしゃるのか、何をお考えになられている
のか分からない表情をされて何時間もお部屋に
籠っている日もございました」
うーむ。私が読んでいた物語のクラウディア
とは違うなー。魔力が覚醒していないのは
同じだけど小さな頃から活発的に動いて
事件を解決してた。
病弱だから動ける範囲はそう広くなかったけど。
「そしてお体が弱いこともあり学校へは行かず
家庭教師に来ていただいております。あとは
舞踏会や皇帝、神殿主催のお茶会、その他主催
のお茶会などもご参加されておりません」
なるほど。殆ど屋敷から出ずに生活してたんだ。
幻のツチノコみたいに姿見た人ラッキー的な
令嬢になっとる。
「しかしながら幼い頃は皇帝主催の新年舞踏会
には何回かご参加されていたようでしてそこで
ご一緒したグリの者達やヴィンセット家に出入り
している業者達がお嬢様の美貌を噂し今でも
お茶会や舞踏会へのお誘いやお見合いの話などが
後を絶ちません」
「え!?だってグリの人達って私を見たの何年
前よって話よね!?そんな小さな頃の見た目で
今でも誘いが来るって……」
「余程可愛らしくて印象に残ってしまったので
はないでしょうか」
ふぇ〜。そうなの?
今は見た目、最高!中身ババァ!!になってし
まってなんか申し訳ない!!
「お誘いやお見合いの件に関しましては全て
旦那様がお断りなさっているはずでございます」
ですよね。
私であって私でないクラウディアは何を思って
生きていたのだろう。
屋敷からも殆ど出ず、会うのは家族と少しの
使用人達だけで……。
体も弱く年に何回も倒れて。
そんなことを考えたら少しだけ切なくなった。