転生でした
私が倒れた日から2週間ほど過ぎた。
あのヴィンセット家勢揃いな濃いぃぃ日は
最終兵器にキュン死させられ意識が無くなり
また一家を狼狽させてしまったらしい。
すまんな!!
そして次の日からはエドも普通に仕えてくれ
ている。彼とはもっとディープな話がしたい
と思っているけどメアリーが片時も離れて
くれない。
そんなに私が倒れたことに罪悪感がある
のか?それとも仕事バカなのか?
「お嬢様、こちら前に読みたいとおっしゃって
いました昆虫図鑑です」
へ、へえぇぇ〜。なんで昆虫図鑑?
「お嬢様、こちら前にお飲みなりたいとおっしゃ
っていましたブーワ茶でございます」
は!?何?このドス黒い色!!!いらん……。
「お嬢様、前に行きたいとおっしゃっていた
剥製製作所への外出許可が下りました。いつ
お出掛けになりますか?」
へ?剥製?そんな所に行って何を剥製にする
気だよ!意味分からん!
そんなこんなでメアリーのべったり具合と
記憶が戻る前のクラウディアのことがさっぱり
理解出来ず……。
本当に私なのか?
そんな時チャンスがやってきた。
メアリーがレオンお父様と一緒に王城に行く
ことになったらしい。
メアリーが何故?と思ったけど度々あるみたい
だから今度聞いてみよう。
メアリーが登城する日、私の朝の支度が全て
終わると残念そうに
「お嬢様、では少しだけ行って参ります。夕方
には戻ってこれると思いますので……」
と、悲しい顔をして渋々部屋から出て行った。
朝食も早々にすませ部屋に戻って来た私は
早速エドを呼ぶ。
エドが長く部屋に居ても疑われないようにお茶
が飲みたいと言って用意してもらった。
エドも色々なことが出来る優秀な子なのだ。
「お嬢様、お茶をお持ちしました」
お茶セットを持ってエドが部屋に入って来た。
今日の茶菓子はメレンゲのクッキーとチョコ
チップクッキーだ。
美味しそう。
先程、朝食を終えたばかりの私。
若い体の胃袋はブラックホールなのだね。
さて……。
一番最初に言わなければならない言葉。
それをお茶を淹れてくれてるエドに私は頭を
下げて言った。
「……黙っててくれてありがとう」
「お嬢様、私に頭を下げるのはお止め下さい。
さあ、お茶のご用意が出来ました」
そう優しく言ってカップをテーブルに置いた。
「そ、そう?……それとそのう、魂の年齢のこと
なんだけど……」
私がオドオドしながら言いかけると
「あぁ、そのことは気にしていません。2週間ほど
ご一緒させていただきましたがこの国での14歳と
それほどお変わりありませんでしたので」
「な、なるほど……?」
とりあえず中の人がおばちゃんでも大丈夫
ってことで安心したぁ〜。
しかし私の精神年齢が低いのか、この国の
精神年齢が高いのか……。
エドは精神年齢高いよね?高いというよりもう
既に成人しとるよね?12歳だけど中は成人男性
ってことでいいよね?
私は自分の前世の世界のことや頭が痛く
て目覚めたらこちらに居たとか色々な
こと話した。
でもデブ専のことだけは話さなかった。何となく
その方がいいような気がして。
なのでこの世界が本の中の話だってことも、もちろ
ん言ってはいない。
だって自分が誰かに作られたキャラクターだった
とかってあんまり嬉しくないような気もするし。
エドが信じてくれるか不安だったけど前世の世界に
とても興味を持ってくれて楽しそうに聞いてくれた。
目がキラキラしてとても可愛い。
可愛いので心の中で私の舎弟に勝手に決めた。
ふふふ。舎弟とてもいい響き。
こちらに来て10代の体だからなのかヤンチャして
た時の感覚がジワジワと復活してきてるような
気がする。
ちょっとここでエドにご相談。
「私ね、こっちの世界に来たのって何か意味がある
ような気がするんだけど……」
「意味……ですか?」
「うん。何かをする為とか、あっ、そんな大きな事
じゃないかもだけど……。だって突然にクラウディア
さんの中に入ってきたなんて変じゃない?本当の
クラウディアさんはどうなっているのかも心配
だし」
お茶を飲みながらエドを見上げるとバチリと目が
合った。