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22、魔族の魔法

 アリオンの雷魔法 落雷(フードル)がエマとジャックに命中したがエマはダメージを受けた様には見えなかった。

「……ハァハァ、全く酷いでは無いですか?私だから死ななかったものの他の人間なら確実に今ので死んでいましたよ?アリオン殿?」

土煙の中から薄らと姿が見えるジャックの姿にその場にいた者全てが驚いていた。

なぜなら、普通の人間であれば左胸、心臓があるはずの場所に、ぽっかりと大きな穴があり、そのからは、ポタポタと、赤い血が流れていた。

人間ならば即死の怪我だろう、


「いつからだ。……一体いつから入れ替わってあったのだ。ジャックは無事なのか?」

ゼノビアは、先ほどまでジャックだと思っていた()()に向かって本物のジャックの安否を聞いていた。


「あぁ、あの人間なら永遠に痛みを感じない場所に丁重に送ってあげましたよ?苦しまないように一瞬で送ったんです。感謝の一つや二つしてもらってもいいと思いますがね?」


ジャックに成り代わっていた()()は、喋り終わると体の大きさが変わり始め、ゴキ、メキっといった異音を鳴らしながらダンジョンの中でアリオンと相対した魔族に変わっていった。


「国王様、それに他の皆さんもここは危険です。すぐに逃げてください。アルバート、アテナ、マリーは、国王様の護衛を!はやく!!」

「おぅ!」「分かったわ」「あなたもね」


名前を呼ばれた3人は、アーサーの指示通り護衛につきながら国王たちと一緒に避難を始めた。


ルイス達も、アーサーと戦おうとしたが次の瞬間、全身刺されるような気配を感じ、体を動かすどころか呼吸をするので精一杯になっていた。

全身を刺すような気配、それは魔族が放っている殺気だった。

「我がやろう。貴様は、我が主人達を頼む。元々はあの時、我が殺しておったら今こんな事にはならなかったのだからな」


先ほどまでの穏やかなしゃべり方は演技だったのか、低い荒々しい喋り方に変わっていた。

「たかが、召喚獣の分際で!いい加減にしろよ?テメェの息の根止めてやるよ!」


アリオンと魔族はほぼ同時に動き出し、アリオンと契約の繋がりがあるルイスにも、どこにいるのかが微かに感じ取れるだけの速さだった。


「君たち、あの速さについて来れているかい?」

アーサーはルイス達4人に確認をするが、誰からも返事は無かった。

「シャナ!お前は、光り輝く大楯(ホーリーシールド)アリスは、火の精霊(サラマンダー)で壁を貼れ。余った残りは、僕が必ず防いでやる。」

アーサーは何故かアリスやシャナの魔法、魔術を知っていた。

だが、それに気づくほどの余裕は、ルイスにもウェルにも無かった。


炎魔法 熱手炉(クオーチュレ)

シャナが使用していた光り輝く大楯ホーリーシールドは突然ドロっと溶け出し消えてしまった。


溶けた理由は、魔族の腕を見れば簡単にわかった。

腕から手の先まで太陽のように燃え上がり、周囲は高温にさらされた蒸気がユラユラと漂っていた。


「残念だったな魔族。私がここにいるうちは、この子達に指一本触れさせない。」

アーサーの足元には、2本の指が落ちていて、いつの間にか自分の背丈程ある大剣を構えていた。


魔族は、指を切られた腕を見つめ力を込めるとあっという間に元に戻っていた。


「邪魔をするなよ?下等な人間。俺が戦っているのは白犬だ!なに、安心しろ。あれを殺したらお前ら全員も殺してやるからよ」


魔族はアーサーに対して喋り終わると、アリオンに襲いかかった。


炎魔法 熱手炉(クオーチュレ)


再び魔族の腕が真っ赤になるとその熱気をアリオンに飛ばす。


風魔法 風の壁(ヴォンミュール)

アリオンの目の前にゴオォーと音がなると、目の前には風で出来た壁が出来上がっていた。


「それじぁあ防げねぇだろ?」

魔族はニヤッといやらしい笑みを浮かべ、熱気と壁がぶつかると、アリオンが立っていた地面は、ドロッとしたマグマに変わっていた。

そこにアリオンの姿は無かった。







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