10、ルイスとアリスの過去
この話から1500文字から2500字程度で1話にしようかなと思ってます。
孤児院を出て学院に向かうルイスは、アリオンと何やら言い合っていた。
「ルイスよ、昨日は大変だったぞ。これから毎日ああなるのか?」
「たまには、遊んであげてよ。僕は兄弟だと思ってるだ。たまには付き合ってあげて」
アリオンは昨日の夜、少達からは、騎士ごっこ、少女達からは、着せ替え人形扱いを受けてかなり疲れていたらしい。
そんな事を言い合っているルイスとアリオンは、はるか上空から、ルイスとアリオンを監視している1人の魔族に気づく事は無かった。
「あ、お、おはようございます。る、ルイスさん、アリオンさん」
学院の入り口にある掲示板を見ていたアリスが、挨拶をして、これを見て下さいと、1枚の紙をルイスに見せてきて、そこには、
「1年A組の生徒は、2人1組で、学院の地下ダンジョンを攻略する事。期限は明日の放課後まで。A組担任マーティン・アルバラン」
と、書いてあった。
「シャナがアリスと一緒にいないって事は、ウェルとシャナは、もう出発したの?じゃあ僕を待っててくれたんだ。ありがとう」
ルイスがアリスに尋ねると、アリスは顔を真っ赤にしながら
「べ、別に貴方を待ってた訳じゃ無いわ!シャナが、ウェルとどうしても行きたいって言ったの!だから必然的に私が貴方とペアになるしか無いじゃ無い、ほ、ほら早く行きましょう」
アリスは、少し恥ずかしそうにそして嬉しそうな顔をしていながら、学院生用の初級ダンジョンに一緒に向かうのだった。
学院内部にあるダンジョンは、地下3階で構成された訓練用のダンジョンで各階には緊急用に回復魔術師も配置されていて、軽い怪我をしても死ぬ事は無い作りになっていた。
「結構暗いね。あ、そこ滑るから気をつけて、アリス」
「きゃっ!」
アリスとルイスは、ダンジョンの地下1階へ向かう階段を降りていると、足を滑らせてルイスにもたれかかった。
「ご、ごめんなさい。ルイス」
「大丈夫?気にしなくていいよ」
ルイスは、優しく言うと、
「ねぇ、ルイス?貴方自己紹介の時に赤色のものが好きって言ってたじゃない?なんで赤が好きなの?」
アリスは、前から気になっていた事をルイスに聞いた。
「大した理由じゃ無いよ?僕の母親が赤色の髪をしていて、赤色のものを見ると、安心するんだ。でも、アリスの髪もとっても綺麗だ」
アリスは、顔を真っ赤にさせていたが、暗い階段の中でルイスは気づく事は無かった。
「る、ルイスのお母さんは今どこに居るの?」
「10年前に魔族に父親と一緒に殺されたよ……」
「……ごめんなさい。そんなことを知らなくて、嫌な事を聞いたわね」
アリスが申し訳なさそうに謝ると、
「大丈夫だよ。それに両親が死んだ時は、悲しかったけど、今は、孤児院のリゼさんや、5人の兄弟達と一緒に暮らしているから毎日楽しいよ。今度アリス達の事も紹介したいな」
ルイスは、笑顔でアリスを見ると、アリスはまた顔を真っ赤にしていた。
「僕も話したんだ。次はアリスのことを教えてよ。なんで王族のアリスが、騎士団に入ろうと思ったの?」
ルイスはアリスに聞くと、
「……私ね。家族から疎まれていたの。理由は2つ、1つは、私にはお姉様とが2人と、私と双子のお兄様が1人いるのだけど、お父様がお兄様を次の王にしようとしていて、後継が生まれたお父様は、お兄様だけを可愛がっていたの。お父様が可愛がっていると、みんなそっちを可愛がるわ。当たり前よ。」
アリスが震える様な声で話すと、ルイスは、その声だけで、アリスがこれまでどんな扱いを受けていたのかが分かった。
「それとね、火の精霊を上手く扱えなくて、暴走させたことがあったの。元々可愛がられてなかったのに、事故とはいえ城に放火しようとしたんだもの。誰も構ってくれなくなったわ。シャナ以外は」
これまでの人生きっとアリスはシャナにとても助けられたのだろう、その話を聞いたルイスは、心の中で1つ決めた事があった。
「僕の手の届く範囲の人は、必ず守ろうと」
ルイスとアリスは、お互いの話をしていると階段を下りきったのだった。
次話からはいよいよ本格的にダンジョン攻略になります、ルイスとアリスは、無事にモンスターを倒せるのか?監視していた魔族は、どんな動きをするのか、色々書きたい話があるので次話も楽しみしていて下さい。
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