第61話 カレー
数日が経ったある日。マリオさんが訪れた。
内容は、どうやらファントムワゴンやファントムギア、魔導コンロが普及したことによりホーンラビットなどが乱獲されて肉余りが深刻らしい。これは安値になるということで低級冒険者の生活に影響しているんだとか。
う〜ん、それは問題ですね。
で、魔石に魔導具で魔力を補充出来ないかという相談だ。
まぁ、結果から言うとできると回答。では作成してくれないかと依頼を受けた。数日の猶予を貰い、
仕様を決めて設計する。初めのプロトタイプは大き過ぎた為に、すぐに改良。何度かの試行錯誤で小型化に成功。
これを銀狼の3人に運用試験をしてもらう。数日使用してもらい概ね結果が良好な事からマリオさんへと設計図と共に引き渡す。
仕様は簡単に持ち運び可能な大きさで低級魔石一握り分が1時間で空中の魔力を補充できると言う物だ。
無事、商業ギルドへの登録も済ませて、商業ギルド主導の元、量産を開始。販売と共に爆発的に売れた。国からの要請もあり国や貴族にも販売。これで乱獲と肉の値段も安定。
これを契機にマリオさんは我がガレージにあった、冷凍庫や冷蔵庫に製氷機、炭酸水製造の各魔道具を販売。
これも売れに売れた。特に酒場や食堂、宿などに売れた。
炭酸水は貴族といったセレブに人気で。簡単に氷を入れた炭酸水に柑橘類を絞った物が流行った。
ワインも炭酸水で薄めて飲むなど、色々と工夫されて普及していった。
コウの商業ギルドの口座には莫大な金額が振り込まれて、もう一生働かなくても良い金額があるが、だがコウは関係ないとばかりに物作りをし狩りをする。
今日もコウは肌寒くなった屋上で1人、ピザを焼いている。
空を眺めては笑顔になり、ニヤニヤしている。空には子爵家のモーターハングライダーが数機飛んでいる。
窯の近くに机と椅子を設置。窯の火で温まりながらピザの焼き上がりを待つ。
焼き上がったピザを結界で取り出して結界で作ったピザカッターで切り分ける。ピザカッターも作らねば。
熱々のピザを食べる。今回のピザは厚切りベーコンに玉ねぎ、ピーマンを乗せたオーソドックスな物だ。
ああ、美味い。寒空で、熱々のピザを食べる。美味いね。最後に口の中の油をビールで押し流す。
ああ、至高だね。
上空をモーターハングライダーが通過。手を振ってくる。勿論、振り返す。
上空は寒そうだな。何か考えようか?
そうだ。安全性も考慮して結界の魔道具を付けるのはどうだろうか?これに暖房の魔道具を組み合わせれば良いのではないか?
明日、子爵様の工房に行ってみようか。
まぁ、今日はこのままマッタリだな。さて食事も済んだし片付けてガレージに移動しようか。
そうそう、我が家の前の通りに街灯を設置した。22時位まで灯りが点く。評判は良い。
ガレージで我が家のガレージや各部屋に付ける暖房の魔道具を作成。大型の物を2基、ガレージに設置。すぐにスイッチを入れて作動させる。徐々に温度が上がっていき、指定された温度で止まる。また、温度が下がれば動く仕様だ。他の小型の物を各部屋に取り付ける。これで冬も大丈夫だな。
まだ、我が家の魔力には余裕がある。
ぬくぬくとソファーでマッタリ。
ピアノのスイッチを入れて音楽を流す。ああ、癒されるね。
最近、カウンターのところにキッチンを設置した。何か、居間とキッチンはあまり使ったことが無い。
主に使うのはトイレ、ガレージ、寝室、風呂。あとは屋上。
今日は、香辛料が揃ったのでカレーをうろ覚えなレシピで作ってみる。まぁ、今日は試しなのでフライパンで作る。
玉ねぎを飴色になるまで炒めてボア肉をゴロゴロと投入。
水を入れて各種スパイスを入れていく。味見をしながら試行錯誤。うん、これで良いかな。最後に水溶き片栗粉でとろみをつけたら完成だ。
良い匂いだ。
皿に白米を乗せてカレーをたっぷり掛ける。ふふふ、美味しそう。
スプーンで掬って食べる。
ああ、美味い。涙が出るね。うん、これだよこれ。少し甘口で家庭な味。
もう少し多く作るべきだったな。あとで大量に作ろう。
うん?呼び鈴。
いつもの3人。銀狼です。
なになに?外に良い匂いが漏れてる?ああ、換気扇ですね。これからは気を付けましょう。
それで匂いの元?これですカレーです。
あなた達に食べさせる分はないですよ。
え?泣かないでください。はい、分かりました。少し待てますか?待てますよね。
これから作ります。はい、泣かないの。
はぁ〜、さてと作りますか。
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