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第45話 ファントムアーマーと何か

多少の騒がしさに巻き込まれたが日常が戻ってくる。この日は朝から聖域へと転移して人型魔導兵器を調べる。


鹵獲した10機の内の1機にだけあった小冊子をめくり読む。この人型魔導兵器の名前はファントムアーマー。機体の識別プレートには型式ZE-001-60とあった。制作したのは帝国の兵器作成工房とある。


小冊子に書いてあるのは簡単な操作方法と魔石の交換方法だけだった。


さて中を確認する。機体は簡単に言えば鎧だ。機械的な所はどこにも無い。強いて言えば関節が上手くできているという所だろうか。


そして3つある魔法陣を鑑定で解析すると面白い事が分かった。これはロボでもゴーレムでも無い。


死霊魔術を使ったリビングアーマーとして動くと言うことだ。だから闇の属性魔石が必要になっている。


1つ目の魔法陣は死霊魔法で意思の無いリビングアーマーとして動かし、2つ目の魔法陣は使役魔法で操縦者がリビングアーマーを使役状態にして操作。3つ目の魔法陣が1番洗練されていてこれは感覚共有の魔法陣だ。


これは機体が見たり感じたりするのを操縦者が共有するという魔法陣だ。多分これは古代書からそのまま転記された物だろう。これで窓も覗き穴もない状態で操縦できる訳がわかった。


1つ目と2つ目の魔法陣は無駄が多い。これは帝国の魔道具師か錬金術師が作った物だろう。美しくないし無駄が多く、魔力も無駄に垂れ流している。見たところ大きな闇魔石で動かせる時間は2時間もないだろう。


外装にも魔力が流れているのが分かる。よく見ると装甲に魔獣の皮が使われている。鉄で皮を挟んでいる。


調べると魔獣の皮に魔力を流すと魔獣の皮の特性が発動する。正面の1番大きい装甲に使われている魔獣の皮はロッククロコダイル(AAA)と鑑定出来た。魔力を流すと魔法耐性と斬撃、打撃耐性が上がると鑑定にでた。他の場所に使われている皮はグレイハウンド(BB+)の皮だ。魔力を流すと斬撃、打撃耐性が上がる。


よく出来ているのは魔法陣から伸びる線だ。線の中には編み込まれた紐に魔石と粘土を練り込んだ物が使われていて、外側の皮膜はスライムの体液に魔力の含んだロッカ草の抽出液を入れて更に柔らかくするためにトルガ草の抽出液を混ぜた物が使われている。


この辺は参考になるな。


1つ目と2つ目の魔法陣を1から書き換えて効率化。魔法陣を重ねて多重魔法陣とすることにより、更なる効率化と魔法陣同士の同期がしやすくなった。


また、闇属性の魔石を使わなくて良いように属性変換を魔法陣内で処理。これにより安価な魔石で運用できるようになった。もういじるところが無い。つまらないな。


う〜ん、もっとメカメカしいのを想像していたからかガッカリ感が凄い。


これはオリジナルのメカメカしいのを作るかな。


まずは小型の魔力増幅炉を3基作る。少し鉱石を処理するのに手間取ったがなんとか精製に成功。3日で3基の魔力増幅炉を完成させる。


よしこれから魔獣の皮の実験だ。俺が持っている高位の魔獣の皮はワイバーン、レッドマッドボア、マッドブルの3種になる。ワイバーン翼膜もあるね。


これらに魔力を流してその特性を調べる。


調べた結果。総じて打撃と斬撃耐性が高い。勿論、魔法耐性も高い。特に魔法耐性が高かったのはレッドマッドボアの皮だ。特殊だったのはワイバーンの翼膜だ。


これは魔力を流すと軽くなる。それもワイバーンの胴体を含めてだ。これと風魔法で飛んでいたみたいだ。


大体の結果が分かった所で他の作業に入る。


ステンレスで骨格を人間を参考にして組んでいく。軟骨の代わりにスライム材を使い代用。


動力は魔導シリンダー。これは古代書で見つけた物で古代では一般的に使われていたとか。主に重機に使われていたらしいね。なので力も強い。これを大小作る。


各稼働部分に魔導シリンダーを配置。途中動作を確認しつつ調整していく。


魔法陣は5重魔法陣。各魔導シリンダー制御魔法陣、機体姿勢制御魔法陣、機体魔法陣統合制御魔法陣、魔力制御魔法陣、感覚共有魔法陣の5つだ。


魔石は使わない。


ではどうするか?収納魔法の魔法陣を設置。そこに魔力を貯められるように調整。機体胸部に左右1基ずつ魔力増幅炉を設置。


試運転。


魔力増幅炉が大気中の魔力を吸い込む。


キュィィィンと唸りを上げる。機体に取り付けられた収納を観察していると魔力がドンドン溜まって行く。成功だ。あとは機体を動かした時どうなるかだな。


装甲を作成。正面の装甲にレッドマッドブルの皮とワイバーンの翼膜を使いステンレス材で挟む。


他はマッドブルの皮を使用。魔力線を繋いで組み立てて行く。操縦席も作成。包み込むようにクッション性の高い物を座席にしよう。多少揺られても操縦者にダメージが通らないよう配慮する。操作水晶を設置して魔法陣に繋げる。


完成かな。見た目は角が多く、メカメカしい見た目でゴツい。戦車が2足歩行する感じが出ていて良いね。外装の色はモスグリーン。所々に黄色で縁取りしている。


さて試運転だ。


座席に乗り込み操作水晶の上に手を置く。


「起動」という意思と共に魔力増幅炉が始動。魔力を大気中から吸い込む。共有感覚により視界が機体の物となる。


立ち上がる。少し違和感があるが問題無く立ち上がる。次は腕を動かす。うん、問題ない。指も思い通り動く。


魔力の減りは思った以上に少ないと感じる。魔法陣の効率化が効いているようだ。聖域内を歩く。


外の空気を感じる。凄いな。足裏にも感覚がある。


本当に凄い、感覚が広がった気分だ。


道っぽい所に来たら道を走る。足音が小さい。機体の重量軽減が効いているのか機体制御が素晴らしいのか想像以上の出来だ。


かがみ込んでジャンプ。30m飛び上がる。巨木の高さを一瞬で超える。楽しい。


着陸。これも振動がない。完璧だ。翼膜の影響だろうか。これは背部と脹脛に飛行ユニットを付けても良いかもね。今度考えよう。


聖域の我が家に戻り機体を収納する。しばらくは秘匿だな。俺だけのおもちゃだ。 

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 生物素材ということは、オー○バト○ー!?
[良い点] テンポ良くサクサク読める [一言] 久々に楽しく読める作品に出会えた、作者様に感謝します!
[良い点] あっ! やっぱり、ロボを魔改造してる!(笑)
感想一覧
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