第44話 鹵獲品
レネは遠見魔法で敵陣営を見ていた。だがそれは不意に起こる。
「ブフゥッ」とレネは噴き出す。
その横でコウは、
「鹵獲品は僕のもの♪」とアポートで敵の装備を剥ぎ取っている。レネが見たのは豪華な鎧を着たおっさんが一瞬で真っ裸になった瞬間だった。
気がついたら敵の陣容の1000人ほどの装備が突然無くなりマッパの人は右往左往しているのが見える。
あっ豪華な天幕が消えた。ちょび髭の偉そうな人の装備が消える。勿論、横にいた騎士の装備も無くなっている。
ちょび髭は怒鳴り散らしているがマッパだ。
1時間ほどで敵の装備が5000人分、コウに鹵獲される。
敵陣では股間を押さえてマッパな人が多数。
まだちょび髭は怒鳴っている。ああ。着替え始めた。と思ったらマッパ。お付きの侍女と思われる人が着替えを運んで来たが。
侍女もマッパ。「キャァぁぁ」と言って走って行く。
敵陣地は大混乱だ。
「どうした?敵に何が起きている」とマルザク伯爵は側近に尋ねると、隣にいた騎士がコウを見る。それに気がついた伯爵は。溜め息を吐き。
「彼か」
「はい」と騎士は短く答える。側近は、
「止めさせますか」と聞くが、
「良い。好きにさせておけ」と伯爵は言い付ける。
その日の夕方までに敵陣の装備の3分の2はコウの物となった。
コウはその夜。鹵獲品を品定めしていた。
「これは当たりですね。魔剣です。火が出ますよ」と言って剣に魔力を流して剣を振るとブワッと剣が火を纏う。
「うん、派手ですね。あとはこれなんかも良いですね」と次々に鹵獲した装備を出しては吟味していく。
鹵獲した下着類は穴に埋めて燃やした。臭いしね。病気になりそうだし。
「えええい、どうなっておるのだ!」とちょび髭は怒鳴る。
「敵の仕業かと思いますが」
「そんなことはわかっておるわ!」と激おこだ。
「それで例の物はいつ到着する?」
「明日朝には」
「そうか、それを以って敵を撃つぞ」
「しかし、装備が」
「すぐに取り寄せろ!」
「はっ」と騎士は出ていく。
翌朝になると敵陣地に昨日までなかった大きな馬車が10台並んでいる。
「あれはなんでしょうか?」
「うん?どれどれ」と見ていると人型の大きな魔導兵器が荷馬車から下される。
「おお、ロボですね。ロボです。これは熱いです」とコウは目を輝かせる。
「ろぼですか?」
「ふふふ、これは直ぐにアポートしても面白くありませんね。少し実力をみましょうか」とニヤリとする。
翌日には敵も装備を調達したのか準備が整ったようだ。
敵陣からラッパが吹かれる。こちらもラッパが吹かれて各魔法師団が前面に結界を展開。その後ろにいる魔法師が詠唱を始める。
人型の魔導兵器は前面に出ている。そこに、両陣営より魔法が放たれる。各属性のボール系、アロー系、ジャベリン系が宙を飛び交う。
結界に着弾して魔法が霧散する。
こちらの魔法が敵前面に展開する10機の人型魔導兵器に着弾するも無傷。
「ふふふ、これでどうでしょう」とコウは1機の人型魔導兵器を結界で囲む。そして風魔法で結界内を真空にすると10分で機能停止。中の操縦者が死んで機能停止したようだ。コウはアポートで引き寄せて収納。これを繰り返して人型魔導兵器は全てコウに鹵獲される。
そこが穴となりトルドア王国の魔法が穴を突く。勿論、レネも魔法を放つ。それも連続でジャベリン系を撃ち出しては敵に被害を出して行く。
1時間ほど経つと装備の差もありミリガド王国軍は瓦解、敗走を始める。トルドア王国軍は追撃してミリガド王国はその多くの軍勢を失う事となる。
数日後、コウは1人リンドルンガに向かう。レネはその魔法を買われて伯爵の魔法師団へと入団。それによりコウは1人箱馬車を走らせる。
良かった良かった。とコウは思う。弟子は出世したし鹵獲品も多数獲得したし人型魔導兵器も手に入れた。10機中の9機は伯爵に押し付けてきた面倒事は偉い人に押し付けるのが1番だ。
褒賞は後日、冒険者ギルド経由で届けられる事となった。
数日でリンドルンガに到着。
ふふふ、人型魔導兵器。楽しみですねぇ。
お読みいただきありがとうございます。
少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!