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第43話 尻の守護

北門を出て人気のない場所に行く。


「では水魔法からやってみましょうか。無魔法で水を水球にして浮かばせましょう」とコウが言うとレネは掌の上に水の球を生成。


初めに見た水球とは違い綺麗な球となっている。


「はい良いですね。ではその水球を飛ばすのではなく撃ち出すイメージで無魔法を使って見ましょう」と言うとレネは少し唸り水球を飛ばす。


物凄い勢いで飛んだ水球は100m以上飛び霧散する。それを見たレネは唖然と水球が飛んだ方向を見つめる。


「はい、上出来ですね。他の属性もやってみましょうか」と言うとレネは次々に属性の球を生成しては撃ち出して行く。


「どうですか?」とレネに聞くと、レネは自分の両手をみて、


「凄いです。ぼ、僕が魔法をこんな使えるようになるなんて」と目尻に涙を貯める。


「まだ、序の口ですよ」とコウは笑顔で告げる。


「はい!」とレネは涙を拭き答える。


それから3ヶ月掛けてレネは収納魔法、遠見、身体強化、結界魔法の応用、探知魔法、魔力視を覚える。属性魔法も攻撃魔法はアロー系にジャベリン系を使えるようになった。この辺まで覚えれば大丈夫とコウはレネに卒業だと告げる。そんな時に冒険者ギルドに緊急の依頼がもたらされる。


ミリガド王国がトルドア王国に対して侵攻すると、それでトルドア王国は冒険者に戦争への参加を依頼。それが依頼掲示板に張り出される。


それを見たレネは依頼を受けると言い出す。どうやら戦場となる近辺の男爵家の4男で学院の成績が悪く放逐されたと。それでも故郷を守るために戦争に参加を決意。今回は伯爵家の求めに応じて冒険者として参加する事となった。コウは、


「仕方ありませんねぇ。知らない場所で折角育てた弟子が死んでしまったと言うのは寝覚めが悪いですからね」と一緒に参加する事となった。


レネは現在なんだかんだとDランク冒険者となっている。コウとは臨時のパーティーを組んでの参戦となる。


コウは1人、マリオの拠点へと向かう。そこで今回の戦争に参加する事を伝えると、マリオさん達も銀狼の護衛で物資の運搬をする事となったと告げられる。マリオ達は一度王都に入ってから紛争地帯へと物資を運ぶ。コウ達は直接戦場へと向かう事となった。


「ふふふ、今回がデビューで初お目見えとなります」と収納から箱馬車を出す。


その箱馬車は御者席に屋根があり前面はガラスだ。御者席はベンチシートで2人が座れる仕様だ。箱馬車の左側面には大きなはめ殺しの窓がついている。背面の扉から中に入ると左に窓の下にキッチン。右には壁に折り畳められるベッドがついている。狭いが2段ベッドになる。キッチンのシンクには魔導具の蛇口がついており。排水溝に水が流れると排水溝の奥にあるタンクで水は魔法で分解されて汚れのみがタンクに貯まるようになっている。魔導コンロも2口ついており、その上には魔導換気扇がついている。


ベッドを折りたたんでいる時は折り畳みの小さな机と椅子を出して食事をすることが可能だ。


コウはゴーレムを生成。箱馬車を引かせるとレネと並び御者席に座る。


ゆっくりとゴーレムが箱馬車を引いて歩き出す。その揺れは少ない。コウが無駄に凝った足回りは殆どの揺れや振動を吸収。


これで俺の尻は守られたとコウは終始ご機嫌だ。


街道を進む人たちはゴーレムが走っているのを見て驚く。なにしろゴーレムがズシンズシンと軽快に箱馬車を引いているのだから。


3日程で今回の依頼者である伯爵領へと入る。伯爵領の領都に到着すると冒険者ギルドへと向かう。そこで依頼票を見せて用意された宿へと向かい。部屋に入る。用意された部屋は2人部屋だ。


翌日、冒険者ギルドに行くと伯爵家の演習場へと行ってくれと言われて移動する。


そこには多数の冒険者が集まり、兵士から説明を受けている。コウ達も説明を聞くと出発は2日後。伯爵家の騎士団100と魔法師団40と民兵2000と共に移動する。


冒険者の数は300。全てDランク以上である。


出発当日となり演習場に一度集まり、出発する。先頭は領主を含めた騎士団。その後ろに馬車に乗った魔法師団。その後ろに民兵。最後尾が冒険者だ。


冒険者の集団は纏まりが無い。装備もバラバラで移動も荷馬車に徒歩にとバラバラだ。


勿論、コウ達はゴーレム馬車で目立つ。無駄に目立つ。


でもコウは気が付かない。尻の防衛で一杯なのだ。


昼休憩で昼食を取るが騎士団、魔法師団、民兵には食料が支給されるが冒険者は持ちこみだ。その分、鹵獲した物は鹵獲者の物となる。


コウ達は収納から出した弁当を食べる。箱馬車の横にテーブルと椅子を出して優雅に食べる。最後にコーヒーを淹れてマッタリ。


「何か戦場に行くのを忘れそうですね」とレネ。


「ふふふ、ミリガド王国をさっさと片付けて海に行きましょう。海の幸のストックが少なくなって来ました」


そこに騎士が巡回目的で近づいてくる。


「お前らはどこの冒険者だ?」と聞かれたのでギルドプレートを見せる。すると騎士は挙動不審になる。


「ああ、お前が例の冒険者か」と苦笑して立ち去る。


うん、解せん。レネは、


「コウさん、何かしたんですか?」と聞いてきたので多分アレだろうと侯爵家との一件を話す。それを聞いたレネは、


「やはりコウさんでしたか」と納得顔。


2日が経過して戦場へと到着した。ミリガド王国側に2万とみられる軍勢が布陣している。


こちらも続々と各地から諸侯が集まってきている。


伯爵軍はトルドア王国軍中央付近に着陣。その陣容を整える。


冒険者はその右翼に配置される。そこでコウは、


「鹵獲品は僕の物」と鼻歌を歌っている。レネは大丈夫かなと思うが口にはしない。 

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 戦争となると貴族は侯爵クラスが本陣となるけど 学園編で当時の当主が隠居においやられて子供が跡告いだばかりなので今回は出られなかったわけですね
[一言] 尻の防衛はこの世界の普通の馬車だと振動で尻に大ダメージ入るからその対策
[気になる点] 結局尻の防衛って何だったの?
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