第39話 戦争と海鮮丼
翌朝、鉱山都市を出発して手前の都市に昼過ぎに到着。1泊して翌朝には東へと荷馬車を走らせる。
ああ、良い天気だ。
遠くにビッグバードが飛んでいる。思わず“アポート“と呟くと目の前にえ?と言う顔をしたビッグバード。慌てて結界でビッグバードを囲み首を風魔法で切って討伐。
周りをみると武器を構えた銀狼の3人と目を剥くマリオさんとマルさん。
軽く事情を説明して謝る。なぜか全員、コウだからなと言われ呆れられる。解せん。
夕方には港町に到着。潮風が海の香りを届ける。夕陽が海に沈み海が茜色に染まる。良い景色だ。
宿に入ると部屋を取る。とりあえず1階の食堂で打ち合わせ。明日はマリオさんは商業ギルドへ、銀狼の3人は冒険者ギルドへと情報収集する事となった。滞在は3日間とした。
明日の朝は早起きして港に行ってみよう。
翌朝は早起きして港へと向かう。正面に見える海から太陽が登る。海面がキラキラして綺麗だ。これだけでも早起きした甲斐があると言うものだ。
澄んだ空気と潮の香り。
港に着くと朝どれの水揚げされたばかりの魚が並ぶ。クフフ。
マグロっぽい魚が水揚げされるがあまり歓迎されていない様だ。どうしてだ?と聞いてみると血合が多く美味しく無いのだとか。これはチャンス!直ぐに買う。他の物も買う。クフフフ。
水魔法でマグロの血合を全て除去。簡単簡単。
風魔法で解体していく。赤身にトロ、大トロなどなど切り分けていく。大トロを一切れ醤油で食べる。ああ、蕩ける美味しさだ。口の中で溶ける。美味い。
昼食はマグロ丼だな。
他にも見ているとイカやタコは捨てられている。勿論、交渉して回収。みんな、こんな物を食べるのかと驚いている。
雲丹も発見。鑑定で毒持ちは弾いて食べられるものだけ購入。ただ同然だ。
他にも蟹や海老も購入。これらも見た目で食べられていない。ホクホクだ。
エビも伊勢海老クラスから小さな海老まで多数だ。エビフライを作ろうか?タルタルソースなら直ぐに作れるな。ウスターソース?作成方法はわかるが今度だな。そうするとトンカツも作れるな。
貝も豊富だな。サザエに鮑に蛤。あさりもあるな。魚介のパエリアでも作るかな。
港を後にすると市場がやっているのが見える。盛況だな。
色々と見て回るとクミンだとかの香辛料を見つける。他の国から船で運ばれたものらしい。少しお高いが全て買った。
宿に戻ると裏庭を貸してもらう。窯やオーブンを結界で作り、魚介を切り分けていく。時折、宿の方が見ていくが興味津々といったところか。
大きめの丸い深皿に米を敷いてクミンやら魚介から出汁をとった汁を入れる。その上に魚介を並べてオーブンで煮焼きする。
良い感じで炊けた所で結界を解いて結界の机に取り出す。ああ、クミンとかの香辛料の香りと魚介の煮え焼けた香りが合わさり、胃を刺激する。
起きたてのマリオさんや銀狼の3人が裏庭に出てくる。匂いに釣られたらしい。宿の方もいる。
小皿を結界で用意して装っていく。
宿の方はこれはこれはと質問してくる。これはイカだよ海老だよと言うと驚いていた。勿論、食べても驚いていた。
マリオさんと銀狼3人と遅れて来たマルさんは黙々と食べている。お口に合って良かったです。
その後は宿の方にレシピを教えて作り方をレクチャー。大変喜ばれました。良かった良かった。
マリオさん達は朝食をたっぷり食べたら外出。商業ギルドや冒険者ギルドに行くのだろう。
昼近くになり、1階の食堂に降りていくとマリオさんと銀狼の3人が何やら深刻そうな顔して話し合っている。
どうしたのだろうか?
近寄って聞いてみると、どうやらテラノ王国がモルゾ王国に宣戦布告。本格的な戦争に突入したとか。テラノ王国は一度滅んだ方が良いな。
それで地図を広げて検討した。とりあえずはテラノ王国とモルゾ王国は通ることが出来ない。次に考えるルートは船で沿岸を進み。隣国のダルント王国に渡るルートだ。そこから陸路でトルドア王国を目指すのだがダルント王国を北に抜けてコンガ王国へ入り、コンガ王国を抜けるとミリガド王国に入る。ここが問題だ。
トルドア王国と国境を接するミリガド王国はトルドア王国と争っている。今はまだ本格的な争いにはなっていないが時間の問題だという。どこも問題だらけだ。
そこでコンガ王国からミリガド王国には入らず、一度バルボア王国に抜けてトルドア王国に入るルートにすることになった。このバルボア王国はトルドア王国と国境を接してはいるが友好国であり血縁関係も結んでいる。ここに山岳地帯を抜けてバルボア王国へと抜けることに決定した。
昼食は酢飯で海鮮丼だ。マグロ各種にイカ、甘海老、ホタテに雲丹と豪華な海鮮丼。醤油を回し入れて実食。うーん、美味い美味い。これは旨い。
隣でごくりと唾をのむ音が聞こえた。マリオさんと銀狼3人、そしてマルさんまで見ている。これは出さない訳には行かないと5人分の海鮮丼を用意。なぜか宿の人を含めて8人分用意。
みんな黙々と食べている。何か怖い。
食べ終わると何故かこちらを見てくる。足りないようだ。
3回ほどおかわりを作った所で全員満足したのか笑顔。良かった良かった。宿の人にレシピを聞かれたが醤油が無いので渋々諦めたようだ。
今度どこかで醤油も作ってもらおうかな。
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