第38話 ボア丼
翌日は荷馬車で出発。荷馬車の後部で結界で米を炊き、ボア肉のバラ肉を使い甘辛なタレで煮込んでいく。使ったのはボア肉のバラ肉と玉葱、生姜とニンニクに蜂蜜。塩胡椒に赤ワイン。美味しそうな匂いを出しながら荷馬車は進む。
昼食どきに適当な場所で休憩を取る。
そこで結界で作ったドンブリにご飯をたっぷり入れてボアの甘辛醤油煮を汁だくで掛け入れる。マルさんを含めた5人は結界で作ったレンゲでボア飯を食べる。
一口、食べたマリオさんは目を見開き食べる。銀狼の3人はガツガツ食べている。マルさんは噛み締めるように食べている。
マルさんは2杯食べて馬の世話に向かうが4人はまだガッツいて食べている。
最初に我に帰ったのはマリオさん。
「これはやばいですね」
ウリルは目の光を失いつつ食べている。大丈夫か?途中で意識が戻り水を飲んだら正常に戻る。
えっ?そんなにか?
これでマリオさんはライシィを買い付ける事が決定。
銀狼の3人も何やらやる気だ。買い付けも独自でしそうな勢いだ。
昼食を食べたら荷馬車に乗り先へと進む。夕方には次の町に到着。宿を取る。明日もこの町にもう一泊する予定なので2泊分取る。
翌日は朝からマリオさん達と銀狼の3人は街へとお出かけ。俺は町に用事が無いので聖域に行く。
何をしようかと考える。ピンっと閃く。
紙を作る準備をして結界で型を作る。ここに紙を流し込んで上からプレス。乾燥させたら完成だ。
紙のドンブリが出来た。これだけだと耐水性能が無いので魔法陣を作る際に使うスライム素材を薄めて結界でスプレーを再現してドンブリに吹き付ける。乾けば完成。
ドンブリに水を入れてみるが水が染み込む事が無い。上手くいった。この丼を500程作成。同じ製法で丼の蓋とレンゲも作成する。数はドンブリと同じだ。
まだまだ時間があるなと確認すると、米を大量に炊く。その横でボア丼に乗せる具を煮る。ついでに半熟卵も大量に作る。
炊けたご飯をドンブリに入れて具を掛けて蓋を閉めて収納していく。うん、これでいつでも食べられるね。
夕方になり宿に戻ると1階の食堂でマリオさんと銀狼の3人が何やら話をしている。こちらに気が付いたウリルが手招きして呼ばれる。
話を聞くとどうやらライシィを大量購入したようだ。それをどうするか話し合っているのだとか。参考になるか分からんけど聖域で作ったボア丼セットを4人に渡す。そうそう一味も作成したよ。ちゃんと瓶を作りスライム素材でキャップと内蓋を作成して内蓋は白、キャップは赤い花から赤い色素を抽出してキャップ表面に合成したものだ。なかなかのこだわりの一品だ。これを10本作成した。
1人5食分ずつ半熟卵と一味をひと瓶つけて渡す。ちゃんとマリオさんにはマルさんの分も渡したよ。抜かりは無い。
もらった4人は直ぐに収納にしまい、1つだけ取り出して蓋を開けて半熟卵を割り入れてレンゲで掬い食べる。ガツガツと音が聞こえるような勢いで食べてる。周りの人がビックリして振り返り見ている。恥ずかしいよ。
途中、思い出したかのように一味を掛けて食べる。一口目で目を見開き更に食べるのが加速。一気に食べきった。4人とも笑顔だ。口にあって良かったよ。というか昼にも食べたか。
王都に戻ったら屋台をしようと5人で相談する。メインはボア丼で、その他にはボア皿。これはボア丼の具のみを皿に盛ったものだ。これに冷えたエールとセットで売れば良いのではと提案。それは良いなと4人。マリオさんには作り方を書いた紙を渡して部屋へと戻る。
翌朝は宿を出ると荷馬車に乗り鉱山を目指す。半日で着ける距離なのだとか。
半日程荷馬車に揺られると鉱山都市に着いた。ここから更に奥へと荷馬車を進めて鉱山に到着。ここからはマリオさんが交渉。
俺らはブラブラと鉱山を見学する。ふと道の脇に大量の鉱石が転がっている。鑑定するとこれは魔力増幅炉に必要な鉱石だ。こんな所で見つけるとは。
歩いてきた坑夫に聞くと使えない鉱石だと言う。譲ってくれないかと言うとあっさりと持っていけと言われる。邪魔なのだとか。それならと収納にドンドン入れて行くと坑夫はアングリと口を開ける。
収納持ちか良いな羨ましいと言われる。
荷馬車に戻るとマリオさんと銀狼の3人は交渉成立して引き取りに行っているようだ。これでミッション達成かな。
マリオさん達が戻って来た。銀狼の3人も手伝って収納したらしい。それは大量だね。遅い昼食を食べた。マリオさん、銀狼3人、マルさんはボア丼を食べて、俺は野菜サンドを食べる。食後は全員にコーヒーを振る舞う。ああ、芳しいね。
さて休憩も済んだので出発する。今日は鉱山都市で1泊の予定だ。
鉱山都市で宿を取ると1階の食堂に集まり今後の予定を話し合う。マリオさんの話では一度手前の都市に戻り、そこから東に進めば海に出るという。折角なので行ってみてはどうかとマリオさんから提案される。もちろん、断る理由も無いし海に行きたい。海の幸が食べたいし手に入れたい。銀狼の3人も了承。明日は手前の都市まで行き1泊して、その次の日には海へと行く。
ああ、楽しみだな酢飯も作れるし海鮮丼も良いかな。刺身と日本酒で一杯なんて良いね。うん?日本酒?そうだ米があるんだから米から作られる日本酒か濁酒があっても良いのではないか?
なぜ俺は気が付かなかったのか。直ぐに宿の人に聞いてみると濁り酒があるらしい。売っている場所を聞いて宿を飛び出す。
店に入ると実物を確認。濁り酒だ。間違いない。勿論、全部購入。大量だ。
宿に戻り1樽出して蓋を開ける。そうだと聖域へと転移。直ぐに戻ってくる。収納から灰を出して濁り酒の樽に入れる。
すると濁りが沈澱して上は透明な酒となった。清酒だね。これを結界のフィルターで濾して完成。
結界でお猪口を作成して清酒を入れる。グイッと一口。
ああ、美味い。窓を開けて夜空を見上げる。今日は満月か。月見酒とは風流だな。
これで海の幸がより一層楽しみになったな。
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