第31話 嘘の教え?
この日はクラスの発表のみ。明日、入学式が行われる。今日はこの後、王都に出る。
マリオさんと銀狼の3人は1ヶ月程王都に滞在する。その滞在する宿へと向かう。宿でマリオさん達がいるか確認して貰うといる様だ。
部屋に案内して貰う。
部屋に行くと驚いた様だが快く迎え入れてくれた。
そして今回の試験について話すと、
「学院も腐り始めましたか」とマリオさんは悲しそうだ。
「許せねえな」とウリル。他の2人も頷いている。
「それで何ですが銀狼の3人には酒場で、マリオさんは市場や商人にこの事を広めてもらえませんか?」それを聞いたマリオさんはニヤリと笑い。
「それは面白いですね。やりましょう」と言ってくれた。勿論、銀狼の3人も了承してくれる。銀狼の3人は早速、今日の夜から広めてくれるそうだ。
これは早い段階で広まるかも。
学院に戻り寮の部屋へと入る。ベッドに寝転びながら今後について考える。
まぁ、なる様にしかならないし、今回は引かない。とことんやる。2度目の人生だ好きな様に生きたい。
翌朝、一度分けられたクラスに集まる。教室に入り適当な席に座る。続々と生徒が教室に集まり20の席が埋まる。
しばらくすると前の扉から男が入ってきて教壇に立つ。
「俺がこのクラスの担任だ。基礎魔法学の授業を受け持つメルキスだ」と言って教室を見回す。
「全員いる様だな。これから大集会場へと向かう。俺について来い」と教室を出て行く。生徒たちは慌てて教室を出ると教師メルキスの後ろについていく。
なんか雑だな。
大集会場に着くと纏まって席に着く。他のクラスも席についていく。何か煌びやかな生徒が集まる集団が前の方に座ると式が始まる。
校長がステージに立ち何やら話しているが耳に入らない。眠いね。
次にお偉い人の話が続き最後に1年生の代表で首席の候爵家の次男が挨拶する。凄い弱そうだ。コイツが学年1位とか冗談にしか思えない。デコピンで倒せそうだ。うん、誇張なくね。
式が終わると教室に帰る。
教室に入ると机の上にテキストが置いてある。パラパラとめくると、ああこれは雑貨屋で買ったテキストに似ているな。
全て収納して席に座ると暫くして担任のメルキスが入ってくる。それで明日からの予定を説明されて今日はお終いとなった。
クラスの何人かは顔見知りらしく、直ぐに集まり話をしているが俺はさっさと教室を出て図書館を目指す。事前に教えてもらった通りかなり大きな図書館だ。
図書館に入りグルっと本棚を回る。大体の配置が分かった所でお目当ての書籍コーナーに向かう。
あったあった。魔道具と錬金術関連の書籍だ。
数冊に目を通した所でガッカリする。どれも曖昧で、だと思うとしか書いていない。古代書に書いてあるような事は書いていなかった。
ふむふむ、と考え図書館の職員のいる場所へ行き古代書が無いか聞くとあると言う。だがしかし本棚には置いていなく職員が出してくれるようだ。早速、お願いして数冊持ってきて貰う。
1冊目は恋愛物語、2冊目はグルメ旅行記、3冊目は政治学、4冊目が当たり。
最新の魔導工学というタイトルだ。古代書だけど最新とか面白い。
メモ用紙を出して火魔法を使いメモ用紙に古代書の内容を焼く事でコピーしていく加減が難しいが慣れれば便利だ。10分程で1冊をコピー。4冊合計で40分でコピーし終わる。
職員さん、口を開けて呆けているけど大丈夫だろうか?気にせず行こう。
紙が足りなくなるな休みは聖域で紙の量産だな。気軽に使える罫線が引かれたノートも作ろう。
翌日からは授業が始まった。この日は午前中に基礎魔法学で午後は武術指導となる。
基礎魔法学は担任のメルキスだ。
授業が始まると早速頭が痛くなる。なんだこれは?詠唱文言?発音?意味が分からん。しまいには精霊に魔力を捧げる?頭がおかしいのか?
俺は自重しないと決めたんだったか・・手を挙げる。
「うん?何だ」
「はい先生。嘘を教えないでください」というと教室は静まり返る。教師のメルキスは目を細めて、
「何が嘘なんだ」
「全部です」とハッキリ言う。
「詠唱、発音?何ですかそれいらないですよ。精霊?そんなもん関係ないでしょ。笑っちゃいますよ」
「?!」メルキスは目を見開き口をパクパクさせる。窓を開けて、
「ラリパッパ」と火球を飛ばし、
「ちちんぷいぷい」と水球を飛ばす。
「ラリホー」と言って土の球を飛ばし、
「リンリンランラン」と言って風の球を飛ばす。
最後に無言で次々に属性魔法球を飛ばす。何かスッキリした。クラスの生徒もメルキスも微動だにしない。
「魔法を学べると聞いて入学したのですがレベルが低過ぎますよ」と言ってみる。メルキスはハッと我にかえり、
「後で教員室に来い」と出て行ってしまう。おいおい、生徒を放置とか無責任すぎるだろう。
まぁ、良いか。昨日コピーした古代書を読もう。
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