第30話 試験
ギルドプレートを見せて王都に入る。デカいな。人も一杯いる。リンドルンガでは見た事無い種族もいる。エルフとか獣人とかドワーフもいる。
俺は学院の前で降ろして貰う。頑張れよーとか言われる。
学院の門にいる門兵に聞いてみると受付の場所を教えてくれた。教えてもらった通りに進むと建物に到着。窓口で推薦状とか色々と必要書類を渡す。それらを受付の人が確認すると何やら冊子をもらう。
それから案内されて寮へと向かう。1人部屋だ。嬉しい。相部屋とか死ねる。
冊子をみると試験は4日後。それまでは自由らしい。でも行くとこないな。明日は冒険者ギルドにでも行くかな。そうしよう。
飯は食堂で食えるらしいが俺は自分の物を食べる。食堂とか行って絡まれる予感しか無い。
古代書でも読んで時間を潰そう。
4日が経った。試験の日だ。冊子の通りに試験会場に向かう。もらった番号札を渡して指定された席に着く。先ずは筆記試験だ科目は王国の歴史と算数の2科目だ。
えっと何だろう雑貨屋で買った歴史のテキストまんまだし、本当に算数。え?王国大丈夫?
次は体力測定。50m走。えーと早く走り過ぎた。計測の人が驚いていた。次は垂直跳び。身体強化なしで飛ぶ。あれ4mは飛んだかも飛び過ぎた。これも計測の人が驚いていた。これで体力測定は終わり。え?終わり?
次は武道の試験。試験官との模擬試合。
「始め!」という声と共に模擬戦が始まるが・・・試験官弱すぎ。一歩で詰めて喉元に木刀を突き付ける。これで終わり。
次は魔法の実技試験だ。
番号が呼ばれて試験会場に入る。10m先に的がある。試験官がこちらをチラリ見て、
「あそこの的に君が撃てる最大の魔法を撃て」
「え?大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。君程度の魔法では壊れはせんよ」と鼻で笑われる。ではやってやろうでは無いか。
「では行きます」
「さっさとやれ」とこちらも見ない。
火魔法を最大威力で撃ってみようか。魔力を収束。火魔法を最大圧縮。火の弾丸だ。的に当たったら爆発する。ふふふ。
ドンっと言う音と共に魔法が放たれると火の大きな弾丸が的へと飛ぶ。試験官は驚いて振り向くが、的に火魔法が着弾。
カッと光って大爆発。辺り一体が消し飛ぶ。勿論、俺は結界で無傷。
人がわらわらと集まってくる。試験官は吹き飛ばされて気を失っている。何か偉そうな人がこちらにくる。
「君、これはどうしたのだ」
「試験官に最大威力の魔法を放てと言われましてね。一応、確認したのですが君程度の魔法では壊れないと言われたので信用したのですが」と肩をすくめる。
「では君がこれを?」
「もう一度やってみますか?」
「いやいい」と苦い顔をして首を横に振る。
「もう行っても?」
「ああ、良いぞ」
少しスッキリしたかも。決めたよ。俺はこの学院にいる間は自重と我慢はしない。来るなら来い、全て叩き潰す。
「何ですかなこの成績は」
「教頭、それは間違いない事実です」
「でも彼は平民でそれも冒険者だよ」と持っていた紙を投げる。
「それでも事実は事実です」
「ふんっ!魔法1発で試験場を破壊するなどできる筈が無いではないか」
「いえ、事実です」
「筆記試験も満点、体力測定も信じられない数値だよ君」
「事実です」
「では彼の記録全ては参考と言うことで良いね。主席は侯爵家の御子息だ。いいね」
「いいのですか?何が起きても知りませんよ」
「ふんっ、平民ごときが何が出来ると言うのだね」
「問題ないならいいのですよ。問題なければね教頭。何かあれば教頭の責任ですから」
「相変わらずですね。まぁ、良いでしょう」と席を立つ。
「これで教頭は終わるな。あいつは只で済む相手ではないよ」と呟く。
入るクラスの発表があるので掲示板がある所へ行く。確かクラスは成績順だったな。
えっ?俺がDクラス?なんで?俺より良い成績のやつがいたの?
これはアレだ学校側が貴族に忖度したな。それならそれでやりようがある。面白くなってきたな。ククク。
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