第29話 王都へ
翌日は聖域に来ている。魔導蒸気機関を試す為だ。先ずは結界で作成してみる。
古代書を見ながら蒸気機関を作成していく、かなり単純な物だ。簡単に出来た。
次に魔法陣を結界で作成して設置。これも簡単。
水の魔法陣から一定の水位になるまで水が供給される。一定の水位になったところで火の魔法陣を起動。火の熱を通しても良い場所を見極めて調整。熱の損失を防ぐ。蒸気圧が上がり初めてシリンダーが回転し始める。
成功だ。
なんか良いね。初めのうちは透明にして機構を見ていたが、しばらく見て問題ないので光を不透過にする。
なんか面白い。魔法陣を止める。
結界でレールを作成して設置。楕円形に敷設。それに合わせて汽車を作る。楽しい。昼も食べずに作成、何とか完成してレールの上に乗せる。
汽車に跨がり魔法陣を起動する。しばらくして蒸気圧が上がり、
「出発進行!」と言って汽車を走らす。
シュシュポッポと小さい汽車が線路を走る。ああ、楽しい。短い線路だけど心地よい。
シュシュポッポ、シュシュポッポと元気に走る。警笛を鳴らす。
ポーっと鳴る。楽しい。
でもアレだね鉄とかで作ると重量とかどうなんだろうね。これは結界だからかなりというか重量は無いに等しい。
まぁ、良いか趣味だ趣味。実際の物を作ろうとかは思わないな。これで十分だ。
今度は2気筒の魔道エンジンでも作るかな。
では宿に戻るかな。ああ、この汽車結界消すのが勿体無いな。でも消すけどね。と消す。
宿に戻りベッドに横になる。
ああ、楽しかったな。息抜きになったよ。
また明日からは狩りと採取を頑張ろう。
もう11の月になった。寒い。けど大丈夫。安定の結界様様だ。
最近の流行りは生命の実のジュースを朝飲む事だ。何かエナジードリンクの様だ。
あと最近気になるのが身長の伸びが鈍ってきた。現在は165㎝程の身長だ。170㎝は超えたい。超えるよね。心配だ。
今日も安定のボアとディア狩りでついでに採取。メリーさんにはCランクになったのだからと色々と依頼を勧められるが断っている。効率が悪いからボアとディアを大量に狩った方がお金になる。依頼の拘束で3日間とかメンドイ。
マリオさんと銀狼の3人は遠征に行っている。戦争が近いとかで物資が足りない場所で売るのだとか、それに銀狼の3人が護衛で同行している。無事で帰って来てねと思う。数少ない知り合いだからね。
年が明けてしばらく経った頃、マリオさん達が帰って来た。帰りは王都経由で帰って来たらしい。
こちらで買い付けた物はかなりの高値で売り抜け、あちらで買った物は王都で捌いて来たらしい。かなり儲かったと言っていた。無事で何よりだ。
それでマリオさんから提案を受けた。俺が王都に行くときに同行したいらしい。今回の商いで王都に伝手が出来たとかでもう一度荷物を王都に運ぶのだとか。勿論、護衛は銀狼の3人だ。
1の月の終わりにギルマスに呼び出された。どうやら学院の試験日が決まったとかでその日程調整だ。王都に行ったら試験を受けてそのまま寮に入るのだとか。ふむふむ。
馬車を用意するとか言っていたが断った。まぁマリオさんの馬車があるしね。それらを説明して了承してもらう。
とりあえず推薦状やら何やらもらい帰途につく。
さて出発の日になった。俺はマリオさんの馬車に銀狼の咆哮の3人と乗り込み王都を目指す。行きたく無いけど。
どうやらとても嫌な顔をしていたらしく銀狼に慰められた。はぁ、代わってくれないかな。図書館の為だ図書館の為。
今日は曇り空だ。何かやだな。
馬車を結界で包む。中を火魔法と風魔法で温める。この結界は空気は通すが熱は通さない。これで幾らか穏やかな気分になる。隣町を抜けて王都へと向かう。
出来れば美味しい食事でもあるといいなとか思う。ああ、そう言えばメリーさんと最後話して無いな。まぁ、良いかな。あっ!雑貨屋に言っておくのを忘れた。マリオさんにでも頼もう。それとも買って送ってもらうかな。
今日はルンダと王都の間の町、オルメドに宿泊する。泊まる宿はマリオさんオススメの宿だ。
かなり綺麗な宿だ。従業員の態度も良い。食事もまぁまぁ。良いね良い。ぐっすり眠れた。朝起きて1階の食堂に行けばもう4人は朝食を摂っている。俺は自分で用意。生命の実のエナジードリンクを飲んでリフレッシュ。これでOK。実は朝はこれで済ませられるので簡単だ。
準備が出来たところで出発だ。
順調な旅だ。ああ、ビッグバードが飛んでいる。狩りたいでも届かない。そういえば焼き鳥の屋台やって無いな。
「コウくん、王都が見えて来ましたよ」とマリオさんが教えてくれる。
前を見ると大きな壁が見えて城が遠くに見える。あれが王都か。
銀狼の3人も王都を見てほっとした様だ。彼らは馬車の中で随時魔法の練習をしていた。熱心だ。
そりゃぁ上達も早いよね。マリオさんも鑑定を練習している。もう名前以外もわかるようになって来たと言っていた。良いね。みんな頑張っている。俺も頑張るかと王都を見つめる。
やっぱり程々にね。頑張る。
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