第288話 新しい宇宙 コウ⑧
◇新しい宇宙 コウ
時間があるのでアーマーに更に手を入れる。
背面からマニピュレーターを四本付けて、その先に重力制御装置を付ける。重力制御装置背面には遠隔機がそれぞれ十五機積まれていて合計六十機になる。
これで途中何機か失っても安心かな。
上面には結界機能も追加。これでマニピュレーターを前方へと伸ばして結界を張れば防御力もアップだ。
何か楽しい。
『マスター』
「おっ、なんだナビィ」
『船の全ての試験が終わりました』
「そうか、もう出れるということか?」
『はい、マスター』
「明日には出るか」
『はい、マスター。準備を始めます』
「うん、頼んだ」
と軽く伸びをして自室へといく。
翌日。
次元潜航艦「ノーレアン」のコントロールルームにいる。
『マスター、発進準備整いました』
「出してくれ」
『はい、マスター』
軽い振動と共に船が動き出す。拠点からヌルッと魔法陣を抜けて宇宙空間へと出ると微速前進で進む。
『次元潜航に移ります』
「了解だ」
船はズブズブと次元空間へと沈んで行き、潜望鏡のみを通常空間に出して速度を上げていく。
コウは潜望鏡から得られる映像を見ながらコーヒーを飲む。
「順調のようだな」
『マスター、進路は事前に打ち合わせ通りで良いですか?』
「ああ、問題ない」
もう一つのモニターには探索ポッドが集めたデータから得られた宙図が表示されていて、船の航路も同時に映されている。
コウは席を立つとトレーニング室へと向かう。
数日が経った頃。
『マスター』
「どうした?」
とコウは食堂の席に座り古代書を読んでいた顔を上げる。テーブルには湯気を上げる紅茶が配膳されている。
『未知の船団がこの船を追い越して行きます』
とナビィが報告するとコウの目の前にモニターが浮かび、その様子が映し出される。
「この宇宙の固有種族か?」
未知船団はコウ達のいうところの中型船が三十隻、後ろには中型船の三十倍の大きさの大型船が続いて周りを艦載機が無数飛んでいる。
「戦闘艦だな」
『はい、艦載機も含めて全てが戦闘用と思われます』
「戦争でもあるのか?」
『種族間の争いでしょうか?』
「わからんな。どんな種族かもわからないからな」
『はい』
「だがこの方向になんらかがあるということは間違いないな」
とコウはモニターを見つめる。
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