第284話 母船⑧
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇新しい宇宙 母船内 剣聖アルド・ミラー
何とか共和国側との調整が済んで辺境の地へと飛び立つ事が出来た。
食堂の大型モニターに映る共和国の拠点を見ている。
「何とかなりましたね」
と羊獣人であるオペレーターの女の子が声を掛けてくる。
「そうだな。君らにも苦労を掛けたね」
「いいえ。良い経験になりました」
と彼女は少しづつ小さくなっていく共和国の拠点を見つめる。
「そうか。少しでも経験として何らかを残せたなら良かった」
「はい、何となく共和国の方達の心境が分かるんです」
「そうなのか?」
「はい、私たちもコウさん達と出会うまでの生活や文明レベルは共和国の人達よりも低かったですからね」
と笑う。
「ほう」
「ええ、本当に何も知りませんでしたし、生活も酷かったです。それがコウさん達と出会って、まずは生活が激変して、ルカさんやナブさんに揉まれて今に至ります」
「そうか」
と彼女の横顔をみると何か晴々とした表情をしている。またモニターへと目線を移すと、もう拠点は豆粒位に小さくなっている。
『剣聖さん』
「ナブさん」
と返事をすると目の前にモニターが展開される。そこに映るのは辺境の宙域の宙域図だ。
『予定ですが一番近い宙域がココになります』
とナブさんが言うとモニターが切り替わり二つの星をクローズアップさせる。
『手前の星が目当ての星で、奥にある星は人種が暮らすことは可能ですが恒星から少し離れていて、陽光が届きにくく気温が低い星となります。それゆえに役目としては資源採取を目的として開拓されていた様です』
「ではまずは手前の星か」
『そうです。あと二日程で探査ポッドが当該惑星へと接近します』
「そうなればデータを入手できると言うことだな。この星へはどれくらいで到着できる?」
『予定到着日は一ヶ月後の予定となっています』
「かなり掛かるな」
『久しぶりの航海と新たに組み込んだり交換した部位の検査を行いつつ向かうので、多少時間が掛かります』
「新たな物といえばエネルギーユニットか」
『はい、シャンバラの技術により大幅に改良された縮退炉の試験となります』
「アーマーの新しい融合炉はどうか?」
『そちらも既に剣聖さんの機体には換装済みで、アーマー隊へは随時行っていき当該目標へと到達前には全て完了します』
「シュミレーション施設には、それらは反映されているのか」
『はい、既に反映されて順調に訓練は進んでいます』
「他に何かあるか?」
『以上です』
「もう自室へと戻るが何かあったら呼んでくれ」
『はい』
とのナブさん声と共に目の前のあったモニターは消え去った。食堂を見渡すと既に集まっていたクルーは解散しており、数人が飲み食いをするだけとなっている。
「ふうっ」
と息を吐き出して自室へと戻る。部屋の中に入るとベッドへと倒れ込むように横になる。何もない天井を暫しの間見つめると
「そういえば」
と思い出す。確か我らの拠点の星へと戻ると新たにアーマー隊員が増員されるとあった。悪ガキタキノ配下のアーマー隊を除いたアーマー隊はいつの間にかワシの預かりとなっていた。
他のメインの人員は忙しいからの。
タキノは分からんが……。あれもワシからすれば、ヤンチャだが可愛いものだ。
どうしているのかの。
ふと、コウさんやサイ、タキノ、ルカさん、ヘルミナさんの顔が浮かぶ。
「こちらはこちらで何とかしていくしかないの」
と宇宙空間を映すモニターを見る。
みんな無事だといいが……。
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