第278話 新しい宇宙 サイとヘルミナ⑥
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇新しい宇宙 サイ
数日が経つと連絡があり王都へと向かう事となった。だが………。
「尻が痛い…」
あまりにも長い間、馬車に乗っていなかったせいか尻にダメージを受けている。チラリと横に座るヘルミナを見るが平然とした表情をしている。
「なあ」
「何かしら?」
とヘルミナは若干面倒くさそうに、こちらを見る。
「痛く無いのか?」
と聞くとヘルミナは溜息を吐いて、
「柔らかい結界を敷いているから平気よ」
というとプイッと前を向く。ああ、そう言うことか……結界か。直ぐに柔らかく丈夫な結界を張ってお尻を防護する。
ふう、これで大丈夫だな。
と俺は箱馬車に取り付けられている、濁ったガラス越しに外を見るが特に何も無い。あと3日かかるのか…。何かゲンナリする。俺とヘルミナだけならば身体強化して走れば、多分だが1日で到着できる。
ハァ
今回はギルドからの同行者もいて自由が効かない。野営で出される飯も不味い。
あと3日だ。頑張ろうと目を瞑る。
◇王都 ヘルミナ
王都の城壁が見えてきたと言うので窓から顔を出して見てみる。
う〜ん、10mくらいの壁がぐるりと王都を囲っているのが見える。まぁ、普通よね。隣のサイを見るが興味はないらしい。そりゃそうね。
門には人がかなりの数、並んでいたが馬車は横を通り過ぎて門の前に止まったかと思えば直ぐに走り出す。
どうやら事前に連絡をしていたらしく最優先で入れたらしい。馬車は王都の中心に向けて走っていく。
立派な城が見えてきた。
「あそこが目的地かしら」
と呟くと、
「ハイ、直接城に参ります」
とギルドからの同行者が答えてくれる。城の門に着くと直ぐに開いて中へと入っていく。暫くすると馬車が止まり、
「到着しました」
と同行者がはじめに降り、その後をサイに続いて降りる。降りた場所には18歳位の綺麗なドレスを着た女の子がおり、その後ろに女性の騎士と思われる者が四人従っている。先頭の女の子は興味深々で目を輝かせているが、後ろの女性騎士四人は目つきが鋭く、どうやら歓迎していないように見える。
「ようこそいらっしゃいました」
と先頭の女の子は見事なカーテシーで出迎えてくれる。
「お招き頂き光栄です」
とサイも綺麗に礼を返す。サイって結構良い所のおぼっちゃんなのよね。同行者の説明によれば、この女の子は第三王女らしい。どおりで気品があるわけね。
私も無難に挨拶をして案内されるままに後ろに付いていく。五分ほど王城内を歩いて豪奢な応接間へと入る。
言われるがままにソファーに座ると対面に王女が座り、紅茶とお菓子が用意される。なかなか良い紅茶ね。良い香りがするわ。
少し同行者が雑談をすると、
「では本題に入りましょう」
と王女は真剣な顔になる。すると王女の従者がテーブルに数枚の紙を並べる。
「これらの物が何かわかると伺いましたが」
と王女は紙に描かれた宇宙船を指差す。
「ハイ、わかります」
とサイが答える。
「そ、そうですか!」
とパァと王女の顔が明るくなる。そこに、
「嘘では無いだろうな」
と後ろにいた女性騎士の一人が凄んでくる。
「おやめなさい! クローディア」
「しかし、王女様…」
と尚もクローディアと呼ばれた女性騎士が何か言おうとするが、
「今までの者達とは違うと聞いている」
と王女はキッパリと騎士にいうと、こちらへと視線を移す。
「本当に分かるのですよね?」
「ハイ」
とサイも王女の目をしっかりと見てハッキリと答える。
「分かりました。ではこれらは何なのですか?」
と王女は真剣な顔で聞いてくるとサイは上へと指を差し、
「空を飛び、空を超えてその先の宇宙へと行くための船になります」
と返すと、
「空を飛ぶ船……」
と王女は言葉を失う。
お読みいただきありがとうございます。
少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!




