第277話 新しい宇宙 コウ⑤
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇新しい宇宙 コウ
ナビィが集めたデータを見る。う〜ん、かなり古い遺跡という感じだ。
規模はかなり大きい。遺跡? 古代施設? の半分は宇宙艦船の係留出来る場所とドックになっている。その規模は大型艦船を係留出来る場所が五ヶ所、中型艦船を係留出来る場所が十ヶ所、小型艦船を係留出来る場所が四十ヶ所になり、整備などを行えるドックと思われる場所は大型が四ヶ所、中型が八ヶ所、小型が三十ヶ所になる。
その他にも艦載機用と思われる格納庫があり、推定で百五十機が収納できて、それらのドックもあり、かなり機能的に作られている。
施設のもう半分は、資材などの倉庫や居住施設になっていた。勿論、これらの施設は朽ち果てており機能する物は一つとして無い。
「どうするか」
とデータが表示されているモニターから目を逸らすと、湯気を上げるコーヒーカップが目に入る。
そうだな、今は一人だ。仲間といつ合流出来るか分からない。じゃあ、合流出来るまでの拠点が必要では無いか?
うん、ここを改修、改造して拠点としよう。今、建造している船もこれで安心して建造できる体制になるのではないかな。
まずは、ナビィと相談して船を建造するためにドックから改修、改造することとなった。それに伴い、他の必要な施設、設備を構築していく。
数日かけて準備をしたところで、一息つけた。
そう言えば、まだ新アーマーの試乗をしていないな……。という事で初乗りを行う事にした。
拠点に新たに作られた自分の工房から直接、宇宙へと出る。
『マスター、準備は整っています』
「了解だ。射出してくれ」
『ハイ、マスター。射出シークエンス開始します。…5…4…3…2…1…射出。
軽いGを感じながらアーマーが加速の魔法陣をいくつか抜けて宇宙へと射出される。宇宙が広がる。目の前が開けた気分だ。
まぁ、殆ど室内で過ごしていたからな仕方がない。
ナビィと相談して作成した検証プログラムに沿って機動をこなしていく。うん、かなりのレスポンスで機体が動く。凄い。
新たな重力制御ユニットと新たなスラスター制御ユニットの組み合わせは成功だ。自由自在に機体が動く。
機体制御AIの恩恵もあるのだろう。軽快だ。
『標的ユニットを配置します』
とのナビィの声を聞きながら目の前に浮かぶ立体モニターを見ると赤い点が表示される。その数、十!
刻々と変化する立体モニターを見ながら兵装を選択する。新型の魔導ライフルを試す。
一番近い、目標が選択されてレクチルが表示され目標を捉える。
引き金を引く。
ズンッ!
低い腹に響くような振動が一瞬伝わると光の線が目標へと伸びる。
命中だ。立体モニターから目標物の表示が消える。
ふふ、射撃補正も正確で素早い。これは楽しい。他の目標も殲滅してライフルの検証を終える。次は魔導誘導弾を試す。
八発しか積んでいないが多種多様な弾頭を選択できて応用の幅は広い。色々なミッションで活躍出来ると思っている。
これも幾つかの弾頭を試して、その有用性を確認出来た。
最後に遠隔操作ポッドを試す。最大で一八機のポッドを格納出来て、今回は八機のポッドを使う。
「いけ!」
と拡張された意識の中で指令を出すと勢いよくポッドが飛び出していく。ポッドが離れて拡散していくと、それに伴い意識が拡張されていく。
これは何だろうか?
今までにない感覚だ。ポッドから魔力波が逆流して周囲の状況がわかる。
凄い! シャンバラの技術を取り入れた機体制御ユニット。これが自分の意識をアシストしているのがわかる。多重思考。
試しにシャンバラのVR技術を一部を使ってみたのが影響しているのだろう。
凄い! 凄い!
宇宙と一体となった感覚だ。
自由自在に個別にポッドを操作できるし、機体の操作も疎かにしていない。逆に周囲の状況が手に取るように把握できて機体がスムーズに動く。
少し怖くなった。
これ、何か自分に影響は無いのだろうか? 脳とかに………。
興奮も収まって来たところで帰投する。まずは成功といったところだろう。
……自分に何も影響が無ければだが。
帰投後は直ぐにメディカルルームにて精密検査を行った。その結果は………。
問題無しと出た。
ああ、安心した…。
このメディカルルームだが、まだメディカルポットは三つしか無いがシャンバラの進んだ医療技術の集大成とも言える性能だ。
多分、信頼出来る。
多分ね。
ふぅ〜と一息ついて拠点内に新設された食堂でジョッキで冷えたビールを飲む。
ゴクゴクと喉に流し込んで行き、ツマミとして用意された肉じゃがを食べる。ジャガイモがホクホクしていて美味しい。
ああ、
何か生きているという感じがする。
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