第276話 新しい宇宙 母船⑥
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇新しい宇宙 母船内 剣聖アルド・ミラー
母船に帰って来た我々は収集したデータをナブさんが精査して結合した物を見ながら会議を開いた。
「ではナブさんも収集したデータから、彼らは我らと同族で間違いないと思うのだな」
『そうです。使われている部品の規格が全て我々と同じ物を使っています。このことからも同じ系統のものだと推察でき、間違い無く同族が作った物と考えられます』
そうかやはり同族で間違いないのだな。そうと分かればこれからの事を考える必要がある。
まずは技術の底上げだ。ここに共和国の技術者を呼んで技術の供与をする。何とも皮肉なものだな。我らはシャンバラから技術供与を受け、我ら大船団から漏れた祖先の子孫が、シャンバラ大船団と一緒に出発したが、大船団から逸れた子孫である彼らに技術供与をする。
何とも不思議な巡り合わせだ。
技術供与の件は既にナブさんからコントロールルーム経由で共和国側に伝えられているのを今聞かされた。
流石にナブさんは仕事が早い。
内容は現在、共和国が所有している艦船を修理及び建造が可能になるレベルの技術を供与する。その後の発展は彼ら共和国に委ねる。
そう考えるとコウさんは凄いのだなと改めて思う。一人で活動している時から色々な物を作り古代書を解析して技術を掘り起こして、しまいにはシャンバラへと辿り着いた。
どうにか早く彼らコウさん達と合流をしたい物だ。彼らは必ず生きている。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
数日が経つと共和国の技術者や研究者が集まって来て講義が始められる事となった。これにはナブさんもナブさんに繋がる端末を共和国の拠点内に持ち込んで参加する予定だ。
時間となり講義が始まると初めのうちは唖然として呆けていた彼らも、講義が進むにつれて目が輝き出して熱を帯びてきた。途中様々な質問に受け答えしながら講義が進み、一回目の講義は成功裡に終わった。
明日は彼らが今日聞いた話を咀嚼するために設けていて、明後日に二回目の講義を行う。
今は技術者、研究者どうしで議論をしている所だ。良い刺激になっているようで何よりだ。
二日目の講義が始まると更に講義を受ける人数が増えている。どうやら整備の人間も参加しているようだ。
ハハハ、彼らが興奮しているのが分かる。積極的に質問して分からない所は分からないと言い、更なる説明を求める。貪欲だ。
今回まではモニターに写した物で説明していたが、次回からは実物を弄りながら講義をする。
「ふう」
二回目の講義が終わり一息つく。我が講義をした訳では無いのだが何か疲れた。そう、彼らの熱に当てられたようだ。
少し休んでから食堂に行くと何やら騒がしい。どうやら整備班がナブさんと三回目の講義の打ち合わせをしているようだ。
我は適当な席に座り給仕ポッドに注文をする。とりあえず冷えたビールが飲みたい。暫くするとジョッキに注がれた冷えたビールと枝豆が目の前に置かれた。
勢いよくジョッキを掴みゴクゴクとビールを飲む。美味い!
これが仕事が終わったと感じがして開放感がある。直ぐに一杯目を飲み干す、二杯目を頼むとビールと一緒に注文していた唐揚げも目の前に置かれる。
ゴクリと喉がなる。いつ頼んでも美味そうな唐揚げだ。う〜駄目だ、我慢が出来ん。フォークを唐揚げに刺してガブリと一口。美味い!!
そこにビールを流し込む。これは至高の美味さだ。
ふと顔を上げるとまだ整備班は話をしている。彼らも共和国の技術者や研究者を何とかしてやりたいと燃えているのだと思う。頭が下がる思いだ。
ああ、でも唐揚げが美味い。この歳になって油物が頑張らずに食べられるのは幸せだ。
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三日目の講義は実地訓練となり拠点内にある中規模の格納庫内で行われる。
時間となり格納庫に行くと既に作業着姿の技術者、研究者、整備員が集まっている。今回は母船の整備班が中心となって魔導エンジンの分解組み立てや各部の説明を行なっていく。
講義が始まると見ている側は静かになり、食い入るように観察している。
所々で大切な場所は手を止めて説明していき、ある程度の所で質問を受けて答えた。母船の整備班も何やら楽しそうだ。
都合、五回の講義を予定しているが、この回だけで技術が身につけられるとは思ってはいない。これから数回は同じ講義を繰り返す必要があるだろう。
他にも既にナブさんが中心となって、この拠点内に共和国の技術で構築可能な製造設備を作成し、今回はスピード優先で作業ポッドが作業している。
あと数日で完成予定だ。これらの設備も共和国側に説明する必要がある。日程的に頭が痛い。
コウさん達を見つけるために入手した宙図を元に探索を続けているが、いまだに手がかりは無い。
早く共和国への技術供与を完了させて探索に集中したいものだ。
コウさん達が元気で居てくれれば良いのだが。
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