第275話 新しい宇宙 タキノとルカ⑤
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
今年初めての投稿となります。今年も宜しくお願いします。
◇新しい宇宙 タキノ
ああ、めんどくせぇし、何かイラつく。
朝、久々のベッドから出て隣のベッドを見るとルカの奴は既に居ねえ。桶に入った冷たい水で顔を洗い身だしなみを整えているとドアが開けられてルカが入ってくる。
「タキノももう起きたのね。朝食の準備は出来ているそうよ」
というと部屋を出ていく。しょうがねえ。
食堂に降りていくと商人と思われる数人が既に朝食を食べている。辺りを見渡すとルカが座っているのが見える。そのテーブルに行き、ルカの正面に座る。
「今日も冴えない顔ね」
とルカが顔を覗き込んでくるので横を向く。そんな事をしていると女将さんが朝食を持って来てくれた。
朝食はまだ暖かいロールパンとクズ野菜のスープ、目玉焼きにソーセージが二本だ。クズ野菜のスープを一口。
美味いな。冷えた体に染みる。
目玉焼きには塩を振りかけて食べる。とろとろの黄身の部分に千切ったロールパンを浸して食べる。
これも美味い。
ソーセージはロールパンに切れ込みを入れて挟んで食べる。こっそりケチャップを収納から出して掛けるのも忘れない。
美味い美味い。
すぐに食べ切ってしまった。ふ〜と息を吐き出すと食器を下げに来た女将が下げるついでに暖かいお茶を置いてってくれた。
それを冷ましながら飲む。ほっこりする味だ。
ルカも食べ終わりお茶を飲んでいる。そんな時間が過ぎる頃にルカに今日の予定を聞く。
「今日はどうするんだ?」
「今日の午前中私はギルドの資料室で何か手掛かりがないか調べるわ」
「そうか、なら別行動だな。確かギルドの裏手に訓練場があったよな。そこで体を動かすか」
「分かったわ。こちらの用事が終わったら訓練場に行くわ」
「了解だ」
と言って俺らは席を立ち宿を後にする。ギルドの中は混雑している。依頼の取り合いになっているのだろう。俺らは事前に取り決めた通りに分かれて行動する。
ルカはサッサとギルドの二階にある資料室へと向かい、俺はギルドの裏手にある訓練場へと向かう。
訓練場に着いたが早朝なせいか、まだ誰もいない。
「ふむ」
と辺りを見渡すと壁際に木剣が何本も箱に入れてあるのが見える。多分だがギルドが管理している物だろう。その中から自分好みのバランスの木剣を一本選んで訓練場に戻って行く。
一度、大きく息を吸いゆっくりと吐く。腰を落とし木剣を構える。
敵をイメージする。今回はハイオーク五匹。その幻影のハイオーク達が俺を囲もうとしてくる。
魔力を練って身体強化を重ねがけする。準備は整った。
鋭い踏み込みから正面にいるハイオークを袈裟懸けで斬る。まずは一匹。
次に右側の木の棍棒を振り上げているハイオークに下から地面を擦るように剣を跳ね上げて斬る。二匹目。
直ぐにその右に居るハイオークの首を刎ねると後ろに跳躍する。元の自分のいたところにハイオークが振るった木の棍棒が突き刺さっている。
着地と同時に地面を蹴り込んで前に出て棍棒を振るったハイオークに肉薄して心臓がある左胸を一突き。四匹目。
最後の一匹は逃走を図ろうと背を向けた所をバッサリと斬って五匹討伐完了だ。
「うん?」
気がつくと複数の冒険者がこちらを口を開けて見ている。何だ?
すると訓練場の出入口で腕を組んでこちらを見ているジジイが寄って来て、
「にいちゃん、なかなかやるな」
と肩を叩いてくる。
ウゼェ
少し殺気を込めて睨みつけると
「おいおい、他意はねえよ」
と両手を上げる。そんなジジイをほっといて訓練場の端により坐禅を組んで瞑想に入る。精神を集中させて雑念を取り除いていく。
ふう、少しづつだが周りの音が聞こえなくなってくる。どれくらい経ったのだろうか、突然肩を叩かれる。
ふと目を開けるとルカが仁王立ちしている。
「あ? 何だ」
「さっきから声を掛けても反応しないじゃない」
と何かご立腹だ。俺はただ瞑想をしていただけなのだが……。まぁ、こいつに何を言っても始まらない。俺は土を払いながら立ち上がり、
「何か分かったのか?」
「気になる事が少しね」
「もう昼か?」
「そうよ」
「昼飯を食いながら聞かせてもらおうか」
「分かったわ」
とルカは訓練場の出入口に向かっていく。その後ろを歩いて辺りを見渡すと冒険者が一人しかいないようだ。
ギルドを出るとルカが事前に調べていた飯屋に向かう。
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