第274話 新しい宇宙 サイとヘルミナ⑤
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇新しい宇宙 ヘルミナ
「星? 星とはなんだ!」
とギルドマスターは立ち上がりいうが、そこにメイと呼ばれる女の子がお茶を運んできて配膳。
配膳されたお茶の匂いを嗅ぐ。
「良い匂いね」
気持ちが和らぐわね。
「はい、王都から取り寄せた物です」
とメイが嬉しそうに答えてくれる。
「そうなのね」
と私は一口飲む。うん、淹れ方も良いわね。素直に美味しい。
「美味しいわ。ありがとう」
「いえ、仕事ですから」
と嬉しそうにいうと部屋を出ていく。
ゴホンッ!
と目の前に座るギルドマスターが咳払いをする。一度、興奮して立ち上がって吠えたが今は落ち着いているようだ。
「それで先ほどの話なのだが、星とはなんだ?」
と聞かれて私とサイは顔を見合わせるがサイは答える気が無いらしく私が答えることにする。
「星とは空の更に上に存在する無限に広がる空間である宇宙に存在する恒星や惑星の事を言うわ。恒星や惑星にも様々あって、この惑星のように人が住める物は少ないわね」
「無限に広がる宇宙……」
「そう宇宙。惑星は球体で宇宙には無重力」
「惑星は球体で宇宙は無重力? 球体? 我々は球体の上に立っているのか」
「そうよ」
「バカな。だったらどうして立っていられるのだ?」
「それは重力があるからよ」
「重力……重力とは何だ?」
「惑星はある一定の質量を持つと重力を発生させて物を引きつけるのよ」
「物を引きつける……じゃあ、何か我々はその重力に引っ張られて立っているのか」
「そうよ、でも宇宙はその重力が無くて無重力なのよ。空気もないしね」
「空気? それは何だ」
それもかと私は溜息を吐くと、
「では、ギルドマスターさん。口と鼻を塞いで見て」
「口と鼻を塞ぐだと、それでは苦しくなるではないか」
「そうそれよ。この星には空気が存在する。あなた達はその空気を吸って生きているのよ」
「俺たちは空気を吸って生きている……そしてその空気は宇宙には無い?」
「そう言う事。少しは分かったかしら?」
「ああ、何と無くな。ではお前達はどうやって宇宙を移動するんだ?」
「そうね、今回は転移の失敗によってこの星に来たけど、通常は宇宙を航行できる船に乗って移動しているわ」
「宇宙を航行できる船………」
ギルドマスターは少し考えた後に立ち上がり自分の執務机に向かう。ゴソゴソと引き出しの中を物色すると紙の束を持ってくる。
「これなんだが見てもらえるか」
と紙束を渡してくる。それを受け取りサイと二人で見る。
「!?」
「これは!」
サイと私はそれを見て驚いた。そこに書かれていたのは宇宙船と思われる物の写し絵。それも二種類ある。
説明文を見るとどうやら最近偶然遺跡で発見された物ということだ。
「どうだ? それは宇宙船という物か?」
「直接見ないと分からないけど、その可能性は高いわね。これは何処で?」
「王都近くにある遺跡からだ。現在、その遺跡は王家の預かりとなっていて誰も入ることは出来ない。その資料は遺跡へと入ったことのある冒険者兼探索者ギルドのトップにのみ公開されて、何かそれに関わる情報がないか調べている」
「私たちも見れるかしら?」
「扱えるのか」
とギルドマスターは真剣な目で見つめてくる。
「そうね、絵を見た感じからすると扱える可能性は高いわ」
と答える。
「そうか、少し時間をくれ王都に問い合わせる。宿はこちらで用意する。案内を呼ぶから案内してもらえ」
というとギルドマスターは立ち上がり何かのボタンを押すと部屋にメイが入って来た。
「メイ、その二人をギルドの名義で宿を借りて、その宿に案内してくれ」
「はい、わかりました。では付いてきてください」
と部屋を出ていく後に付いていく。
宿は近くにあり、割と綺麗な宿のようだ。とりあえず何があるか分からないので二人部屋にしてもらい、部屋に入る。
「食事は朝と晩が付きます。今日は晩のみですね。何かあれば私まで言ってください」
と言ってメイは部屋を出ていく。サイと二人きりになると防音の結界を張って話あう。
「宇宙に出れる可能性が出てきたな」
「そうね。運が良いわ」
「あとは王都次第か」
「勘だけど上手くいくと思うわよ」
と私はサイを見てニコリと笑う。
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