第247話 シャンバラ④
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇シャンバラ仮想空間 タキノ
「面白え」
手を何回か握りしめて違和感を消していく。俺は辺りを見渡してジジイを見つける。彼方も察したのか近づいてくる。
「やるかの」
と剣聖の爺さんはニヤけながらそんな事を言う。
「おうよ」
と爺さんに着いていくとナブが戦闘用の仮想空間を作り出して、そこに転送される。爺さんと目が合う。その刹那、二人の身体が消える。
紛れもなく全力の戦闘状態。死んでも死なない世界。
「いくぜ」
とタキノは気合を入れると風魔法の風の刃を大量に放出。爺さんの前に放り込んで面で対応する。
「ぬっ」
と爺さんは結界を周囲に展開しつつ氷の矢を放ってくる。それらを回避して爺さんに迫るが、彼方も風魔法で速度を出しつつも風の刃を展開してタキノの進路を限定しにくる。
だがタキノは力技で対処。全方位に風魔法で風の壁を展開して風の刃を無力化に成功する。更に生成した結界を蹴りスラスターを吹かして爺さんに肉薄。
「シッ!」
と抜剣して爺さんの胴体を薙ぐが全力のスラスターで急激に方向を変えてタキノの剣戟を凌ぐ。
◇シャンバラ仮想空間 ルカ
ああ、本当に懲りないやつね。
目の前に浮かぶモニターには全力で戦闘をするタキノと剣聖さんが映っている。
「ふふ、元気よね」
とヘルミナが横に来てモニターを眺める。ふと視線を横に向けるとコウが誰かと話している。クルーでは無い。
近づいていくとどうやらこの主星の評議会の方らしい。これからリアルタイムで展開されている仮想空間を使ってシャンバラ各地を巡るらしい。
気付くとタキノと剣聖さんの戦いは終わったらしい。判定では同時に死亡判定になっている。
「くっ!」
と唸りながらタキノがこちらの空間に転送されてくる。
「タキノ、凄いじゃない。剣聖さんと引き分けるなんて」
と言うと、
「凄かねえよ。最後は捨て身だったしな」
と頭をかきむしる。そこに
「ほっほっほ。またやろうぞ」
と剣聖さんはコウ達のいる方へと歩いていく。
◇シャンバラ仮想空間 コウ
「ではこの仮想空間は現実世界とリアルタイムで連動していると?」
「そうだ。シャンバラ中にばら撒かれているナノポッドが現実世界の情報を逐一シャンバラに送信して仮想空間と連動させている」
それは凄いな。仮想空間にいながら外部を鑑賞できるのか。
「分かりました。ではスケジュールはそちらにお任せします」
「了解した。今日の所はログアウトしてもらい休んでもらう。明日また連絡しよう」
と言うと評議会の方は姿を消す。
「ナブ」
『はい、マスター』
「この仮想空間の技術は我々で再現可能か?」
『はい、私はこれから数度のアップデートする予定です。それにより将来には可能です』
「そうか、可能か」
ふと周りに目を映すとルカとタキノがこちら向かってくる。どうやら仮想空間での模擬戦は終わったらしい。タキノの様子を見るにあまり良い結果では無いのだろう。
ナブが全員に連絡したらしく次々にログアウトしていく。
「楽しみだな」
と思わず呟く。
翌日の朝には朝食を済ませると仮想空間へとログインしていく。
「今日から数日はシャンバラの歴史を学んでもらう」
と案内の者が先導して仮想空間を移動する。ホールのような場所に着くと全員が座れる椅子が用意されて全員が座る。
すると室内は暗くなり映像が映し出される。
シャンバラが次元転移でこの宇宙に来てからの話が映像にて説明されていく。
俺たちが辿って来た星々の説明も入りシャンバラの成り立ちが説明され、なるほどと思う。かなりの試行錯誤があったようだ。
人種が不安定になる因子を除去できるようになると飛躍的に発展していく。第一世代と呼ばれる人達にナノポッドで邪魔な因子を除去することにより、その後の世代ではその因子はなくなる。
それにより現在のシャンバラ人はかなり安定しているようだ。
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次回投稿は2023年5月21日(日)になります。
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