第240話 模擬戦①
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇シャンバラへのルート上 演習宙域
白く塗装された機体が宇宙空間を縦横無尽駆け抜ける。
剣聖専用機はベース色は白で縁取りに銀と黒があしらわれている。
剣聖は刻々と変化する周辺状況データを目の端で確認しつつ専用機を操作していく。通常機よりも多く追加された姿勢制御用のスラスターを確かめるように使用して機体の姿勢を変えていく。
腰背部に装備された魔導ビームライフルを手に取るとライフルを構えて機体を回転させていく。その回転に従い魔導スラスターから伸びる魔力の尾は回転に合わせて螺旋を描く。
試験プログラムに沿った機動試験があらかた終わった頃。
『剣聖さん、機体は問題ないかしら?』
とルカから通信が入る。
「問題ないのじゃ。順調じゃ」
と楽しそうに返信する。
『そう、では次の試験に移るわ』
「了解じゃ」
と剣聖は言うと機体に魔導ビームライフルを持たせる。
『始めるわよ』
「うむ」
と頷くと母船からアーマーと同じ大きさのデコイが放出されて膨らみアーマーと同じ形態となる。剣聖は機体を操作してモニターに映るレクティルにデコイを合わせるとトリガーを引く。
ズンズン
とビーム照射の反動が響くとデコイが破裂する。更にデコイが放出されるとそれらも丁寧に照準、射撃して撃破していく。
『問題ないようね。次は近接ね』
とのルカの言葉と共にデコイが放出されると剣聖は機体のメインスラスターを全開にしてデコイに近づいていく。
何回か目のスラスターでのアジャストを行うと腰部に装備した専用機専用実剣を抜剣。
「シッ!」
との剣聖の裂帛と共にデコイが上半身と下半身が別れ、剣聖は次のターゲットへと向けて機体の制御を行い次々にデコイをその実剣で切り裂いていく。最後のデコイが破壊されると、
『OK、剣聖さん。最後の試験に移るわ』
その通信と共に次々と母船からアーマーが飛び出してくる。
『剣聖さん、兵器モードを模擬戦に切り替えて』
「了解じゃ」
と剣聖はパネルを操作して兵器モードを模擬戦モードへと切り替える。
『ジジイぃ! 覚悟しろよ』
と通信機からタキノの声が響く。
「ほっほっほ、出来るかのう」
と剣聖は太々しくタキノに返す。
タキノ、剣聖の両アーマーのメインスラスターが全開に吹け上がり宇宙を駆ける。長く伸びたスラスターの魔力の残滓が交差すると宇宙空間に火花が散る。
更にタキノの機体は大きな円弧を描き速度を殺さないままに剣聖の機体へと回頭していく、剣聖の機体はその多く追加された姿勢制御用のスラスターを駆使して円弧を小さく纏めて旋回に成功。
剣聖の機体はタキノの機体より早く、タキノの機体を正面に捉え、ややタキノの機体の側面に軽く制御して剣を振り抜く。
タキノは直ぐに回避を選択するが速度に乗りすぎていた為に回避が遅れてすれ違い様に機体に剣戟を受ける。
ビー!
『タキノ! 撃墜よ』
『くっ!』
とタキノの悔しそうな声が漏れる。
『次は俺だな』
とサイの機体が前に出る。互いの機体が少し離れた位置に着くと、
『それではサイ対剣聖さんね。始め!』
とルカの声が通信機に響く。
剣聖は機体のメインスラスターを全開にしてサイの機体へと突貫する。対してサイは狙いを絞らせないようにジグザグに飛行させて魔法を準備していく。
先手はサイ。魔法の準備が整うと光の矢二十を機体頭上に展開。それを剣聖の機体目掛けて撃ちつける。
剣聖の機体を二十の光の矢が襲うが剣聖はデータをモニターで確認しながら丁寧に機体を操作して紙一重でそれらを躱していく。
『やるじゃねえか。流石の魔力操作能力だな。状況判断もすげえ』
とサイは関心しつつも次弾の魔法を構築して近づく剣聖の機体に狙いをつける。剣聖は次弾の魔法がサイの機体の頭上へと展開するのを確認すると、スラスターを駆使して姿勢を制御してサイの機体の死角へと機体を滑り込ませる。
『チッ!』
とサイは舌打ちすると機体を操作して剣聖の機体を捉えようとする。だが剣聖は機体を加速して更にサイの機体を回り込む。
剣聖の身体に高Gが一瞬襲いかかるが剣聖は気にも留めずにメインスラスターを限界まで加速させてサイの機体に肉薄する。
サイは機体のアラームにより剣聖の機体が接近するのを探知して一旦用意した魔法を放棄して回避行動に移行する。
しかし高機動型の剣聖の機体はサイの機体のマニューバーに追随して抜剣。
ゴン!
と言う打撃音がすると
ビー!
『サイ、撃墜よ』
と虚しくルカの声が通信機に響く。
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次回投稿は2023年4月2日(日)になります。
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