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第230話 二つ目の道標の星⑤

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。

◇アクリアス近郊 遺跡背後の山 山頂付近 タキノ


山頂付近から感じる圧はこの先にある。チラリと隣を歩くコウを見ると同じく山頂付近を見ている。


間違いない。


何かが居る。後ろを歩くサイを見てみれば俺らを面白そうに見ている。最後尾を並んで歩くヘルミナとルカは楽しそうに喋りながらついて来ている。


呑気なものだ。この先にいる奴の気配は只事では無い。


「あれか」


と隣にいるコウが前を見て呟く。俺も慌てて見ると確かにアレが圧の原因だろう。近づいていくとその男の年は60過ぎの老人に見える。


山頂入り口付近に到達すると老齢な男は笑いながら対応する。


「カカカ、良く来たな。このおいぼれ爺の圧に負けずにの」


と圧を更に上げる。俺はジジイに近づくと、


「ジジイはジジイらしく大人しくしていろ」


「ほう、お主も中々やりおるの」


とジジイが目を細める。横にいるコウを見るとこちらを見ずに頷く。


フフフ。やるしかねえな。


俺は一歩前に出ると剣の柄に手をかける。


「カカカ、やる気か」


「おうよ!」


と答えてやる。


「なるほどの」


とジジイは他の面々に一瞥くれると俺に対峙する。他の面々は少し離れて見守るようだ。


「いつでも良いぞ」


と楽しそうにジジイはホザく。俺はスリ足でジリジリと間合を確かめながらジジイへと向かって行く。


ふと空気が澄んだように弛緩する。


瞬間。魔力を身体に急激に循環して身体強化を最大限に発揮する。


「シッ!」


裂帛と共に抜剣!


ジジイの魔力が膨らみジジイも身体強化をしつつ俺の剣への対応をする。ほぼ俺と同等の速さで同様に抜剣。


キンっ!


と軽い剣同士が当たった音が響く。剣で防がれたというよりも受け流された。霞むジジイの身体を探知で把握しつつ身体を動かす。


「ほっほっほ。この動きに対応するか」


とジジイは嬉しそうだ。


「くっ!」


ジジイの剣が視覚を欺き迫る! なんてジジイだ。頭上を過ぎる剣を感じながら身体を反転させて剣を横に振るうがジジイは剣の到達範囲から即座に離れる。


「ほっほっほ。まだまだ修行が足りんの」


とジジイは涼しい顔でこちらを見る。俺は魔力を絞り出して身体強化を更に強化する。


ズンっ!


踏み込んだ足元が圧に耐え切らずに陥没する。必ず、ジジイの余裕の表情を消して見せる。


が、無情にも剣は空を切る。


「なるほどの。気力は我よりも上か。でもの…」


とジジイの身体がブレると掻き消える。いや、眼での反応が追いつかない。探知で何とかその存在を感知する。


ギンっ!


何とかジジイの剣を防ぐ。このままではダメだ。俺は納刀し目を瞑り気配に集中する。


「そこか」


俺はジジイの気配を感じて抜剣。


「シッ!」


俺の剣はジジイの上着を軽く切り裂くがジジイは無傷だ。


「ほう! やりおるは!」


とジジイはホザイて更に身体を加速させる。



◇山頂 ヘルミナ


「私たちよりも魔力は低いけれど探知や魔力の使い方は凄いわね」


目の前で繰り広げられる剣戟は予想を上回る情景だわ。あのタキノが翻弄されている。


「ああ、あの爺さんは使いたい時に使いたいだけの魔力を纏っているな。このままではタキノの方が先に魔力が尽きる」


とサイが冷静に分析する。目まぐるしく展開される剣戟に目が離せない。その後に数合、剣を合わせるとお爺さんが足を止めて少し離れてこちらを向く。


「してお主らはここに何しに来た」


と少しニヤつきながら尋ねてきた。コウと私は顔を見合わせて、


「少し不自然な気配を感じたから此処に来たのよ」


と私が答えると、


「そうかそうか」


とお爺さんは楽しそうだ。それに比べて対峙するタキノは肩で息をしていてお爺さんを睨んでいる。


「もう行くのか」


とお爺さんは少し寂しそうに言うとコウが


「ああ、麓の遺跡にようがあるからな」


と言うと


「ふむ、あの遺跡には何度か入った事がある。これも何かの縁よの案内する」


と言って剣を納めて山を降り始める。それを見たタキノは


「チッ!」


と不満顔をして剣を収めると後に続く。サイとルカは何か楽しそうにタキノの跡を歩いていく。


コウを見るとコウも肩をすくめて苦笑すると後に続い行く。 

お読みいただきありがとうございます。


次回の投稿は1月22日(日)になります。


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