第23話 冷えたエール
テーブルは4人用が2つ。1つのテーブルには銀狼の咆哮が座り。もう1つに俺、マリオさんとマルさんだ。
マリオさんが宿の人に声をかけると次々に料理が運ばれてくる。ある程度並んだ所で木のジョッキが人数分運ばれてきた。エールらしい。
マリオさんの乾杯の合図で宴会が始まる。
エールを一口。う〜ん、悪くないが生ぬるい。元日本人としてキンキンに冷えているのが飲みたい。と言うことで魔法で冷やす。そして一口。
「うん、悪くない」つい口に出てしまった様だ。
「それは」とマリオさんが質問してきたので魔法で冷やしたと話をした。ぜひ自分のも冷やしてみてくれないかと言われたので冷やしてみる。
「おお、これはまた新しい!」と一口飲んだマリオさん。それに気が付いた銀狼の3人がなんだなんだと聞いて来る。で全員のエールを冷やす。ゴクゴク飲む銀狼の3人。ぷはぁ〜とか言っている。
「うめぇな!」とかやんややんやと吠えている。
肉が盛られた皿から肉を一切れ取り食べる。う〜ん、微妙だな。塩と何かのハーブで味付けしてある。収納からコショウ出して掛ける。うん、味が整った。
これにもマリオさんが反応。流石、商人だな。
肉1切れに胡椒を適量かけて渡す。それをマリオさんが一口で食べる。目を見開いている。そんなにか?
「これはなんなのですか?」
「え〜と森でも取れる胡椒という物です」
「ではこの辺の森でも?」
「はい、取れますね。これもリンドルンガの森で採った物を乾燥させて砕いた物です」と説明。するとマリオさんの目が鋭くなる。
「コウさん、リンドルンガに帰ったら少し乾燥する前の実を採ってきて貰えませんか?」
「良いですが出来ればギルドの依頼にしてもらえると助かります」
「はい、勿論です」と満面な笑顔のマリオさん。
「あとコウさん、先ほど胡椒は収納から出したので?」
「そうですね」
「それは羨ましい。商人の中には収納持ちが多いのですが私は無いのですよ。羨ましいですね」
「そうなんですか?取得はしないのですか?」
「取得ですか?」
「はい、絶対取得出来るとは言いませんができる可能性はあると思いますよ」とサラダを摘みながら言うと、
「え!本当ですか!」とかなり食いつきが良い。うん?出来ないの?と疑問に思う。だから商人に多いのかと思っているのですが・・、
「出来ると思いますが、他の方も後から取得したのでは無いのですか?」
「いえいえ、収納を持っているから商人になったと言う方が殆どです。後から取得した話は聞いた事が有りません」
「そうなんですね」と今度はソーセージを摘む。これは中々。ハーブが効いていて美味しい。
「もし良かったら取得方法は教えて頂けますか?勿論、お礼はさせて貰います」
「良いですよ」と軽く言い、次は何にしようかと品定めをしていると、隣のテーブルの銀狼リーダーが、
「それって俺たちも教えてもらえるのか?勿論、お礼はする」
「うん?良いですよ」と焼き魚の身をほぐす。そこに醤油を垂らして食べる。なかなか美味い。
「コウさん、それは?」
「これですか醤油という調味料ですね。こういう魚にかけると美味しいんです」
「私にも少しもらえますか?」いいですよと魚に掛ける。それを食べたマリオさん。
「これは美味しいですね。これはどちらで」
「え〜これは私が作った物なので売ってはないですね。もしかしたら東の方にあるかもしれません」とライシィという米らしい物を思い浮かべて答える。
「そうですか東は難しいですね」と残念そうだ。
「作り方は教えられますよ」
「本当ですか?」と嬉しそうなマリオさん。
「はい、麦麹という物が必要ですが初めは私が提供しますから大丈夫です」ともう一度ソーセージを食べる。この中ではこれが当たりかな。
「是非、お願いします。勿論、お礼は致しますから安心してください」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」とサラダにマヨネーズを収納から出して掛ける。塩味だけではね。うん、美味しい。
「コウさん、それは?」とぐいぐい来るマリオさん。
「これはマヨネーズです」とサラダを取り分けてマヨネーズをかけてマリオさんに渡す。それを食べたマリオさん。
「これも美味いですね」と真剣な目だ。
「これは卵と塩とスウで出来るのですが難しいと思いますよ。すぐに駄目になりますし、それに卵に人間に有害な物が付いている場合が有ります。火を通せば大丈夫なのですが。私は浄化魔法が使えるので大丈夫なのですが」というとマリオさんは残念そうにしている。暫くするとお開きとなりそれぞれ部屋へと帰る。
さてソーセージは美味しかった。明日朝、少しもらえないか聞いてみよう。
寝ますかね。
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