第211話 サイと上級ダンジョン
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇迷宮都市 上級ダンジョン
サイは頭上に風の刃を五つ浮かべると目の前に迫るオーガに向けて放つ。
ウガァァ!
真っ二つに分かれて崩れ落ちるオーガ五体。
「これで49階層目ね」
とヘルミナがいうとタキノが、
「ああ、次はボス階層だな」
と答える。
順調に五十階層目に降りると休まずにボス部屋へと入っていく。中には3mを越える体高のハイオーガ一体と斧を持つバトルオーガが五体、メイジオーガが四体、通常の剣を持つオーガ十体が待ち構える。
サイは素早く魔法陣を展開して範囲風魔法であるサイクロンを発動。ルカは前面に結界を展開して仲間達を守る。
風魔法サイクロンはオーガの集団を飲み込み切り刻んでいく。魔法の効果が切れると残ったオーガはハイオーガにヨレヨレのバトルオーガ二体にメイジオーガ一体残っているだけで残りのオーガは切り刻まれて魔石となっている。
「ウォォォ!」
ハイオーガが雄叫びを上げる。するとハイオーガに刻まれた傷がみるみる治っていく。
「ほう、厄介な能力を持っているようだな」
とサイは不敵に笑い魔法陣を五つ頭上に展開して魔力を込めていく。その魔法陣から放たれたアイスアローは回転してオーガを穿つ。
バトルオーガ二体とメイジオーガにはそれぞれに一発づつ心臓部分を穿ち沈黙させて、ハイオーガには二発のアイスアローが穴を穿つ。
これで全てのオーガが魔石になり銀の宝箱が現れて五十一階層目へとつながる扉が開く。
「上級ダンジョンは八十階層までだったかしら」
とルカが聞けばヘルミナが、
「そうよ八十階層までよ」
と答える。その後も順調に階層を消化していく。六十階層目のボス部屋も処理して既に七十階層目のボス部屋へと到達。
一行は休まずにボス部屋へと入っていく。待ち構えていたのは六十階層目ではサイクロプス四体だったが、この七十階層ではグリフォンが四体にキメラが四体であった。
「この星ではグリフォンは普通の魔獣なんだな」
とコウは呟くが誰にも聞こえなかったらしく答える者はいない。目の前ではサイは結界でそれら八体を拘束して風魔法で首を刎ねていく。
あっという間に討伐完了だ。ルカが現れた宝箱の中身を回収して、一行は開いた扉に向かっていく。
七十一階層から七十五階層まではサイクロプスが複数で襲って来たが七十六階層から七十九階層まではグリフォンとキメラが複数襲って来た。
それらも難なく討伐して八十階層目に到達。ここまで半日掛かっていない。
一行は少しの休憩をとったあと最後のボス部屋へと入っていく。
待ち構えるのは漆黒のドラゴンである“黒龍“。
ルカが結界を展開するとサイはその結界の前に立つ。
「ガォォォォォ!!」
黒龍の咆哮が大気を震わす。それにサイは怯まずに黒龍へとゆっくりと迫っていく。
黒龍は身体を回転させてサイを、その凶悪な尾で薙ぎ払う。
が、サイは結界を即座に展開。
ガキィィィィィィン!
その尾はサイの結果に阻まれる。更に黒龍はその口元に魔力を溜め始める。
ブレス。
竜種最大の攻撃をサイへと放つ。
ゴゴゴゴゴ!
と凶悪な音を立てて放たれたドラゴンブレスがサイを襲い、その余波で土煙上がる。
土煙が収まると無傷なサイが黒龍を睨みつけて口角を上げる。
「次は俺の番だが覚悟は良いか?」
とサイは宣言して魔力を練り始め、その頭上に三十もの魔法陣が展開される。その魔法陣から放たれたのは風の刃である。
その風の刃によって黒龍は切り刻まれるが致命傷にならない。
「ほう、硬いな」
とサイは呟くと
「これならどうだ」
とサイは魔力を練り込みサイの頭上には大規模な魔法陣が展開される。それを見た黒龍は後退りを始める。
すると……、
ズダァァン!
と黒龍は仰向けに倒れて腹を出してサイを見る。
「はぁ?」
とサイは呆気に取られて黒龍を見るが黒龍はサイを涙目で見つめる。ルカは結界を解除すると、
「どうやら降参ということかしら」
と笑いながらサイに声をかけるとタキノとヘルミナは腹を抱えて笑い、コウは肩をすくめる。
サイは毒気を抜かれたかのように魔法陣を消すと黒龍は安堵の表情を浮かべる。
「これはどうするのかしら」
とヘルミナが言うとサイは
「やはり討伐しないと帰還の魔法陣は出ないか」
と言うと黒龍はガタガタ震え出したかと思えば、ハッとしてみるみる身体が縮んでいくと目の前には愛くるしいデフォルメされたかのような黒龍がパタパタと羽を羽ばたかせながらサイの周りを回る。
サイはため息を一つ吐くと
「しょうがない連れていくか」
と言うと黒龍はサイの肩に乗り頬ズリをして甘える。すると帰還の魔法陣と宝箱が現れて一行は地上へと帰還する。
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