第21話 図書館
今日は朝から図書館へと行く。宿を出て中央広場まで歩く。少し遅めに出たので道は人で溢れている。
なんとか辿り着き図書館の中へと入る。
入って扉が閉まった瞬間、外の音が消えた。図書館の中はシーンと静まり返り外とは別世界に感じる。通路を真っ直ぐ進むと受付だ。
ギルドプレートを見せて銀貨1枚と大銅貨1枚払う。
受付横の扉を開けるとそこは大きな本棚が所狭しと並び蔵書の数もかなりの数だと分かる。他に人はいないようだ。
中にもカウンターがあり忙しく職員が動いている。
これは分からんな。と思いカウンターに行き魔道具関連の本がある場所を聞くと職員が案内してくれた。
「ここからここまでが魔道具関連となります。あと錬金術は向かいの棚にありますのでご必要であればご確認ください」とお辞儀してカウンターへと戻って行く。
まずは魔法陣に関する本を探す。えーと、あったあった。と、まずは1冊持って閲覧席に座る。
紋様を纏めた紙を横に置いて重複しないように確かめながら書き写して行く。勿論、無魔法で。
時間が過ぎるのは早い。昼食も食べずに調べ続けてもう夕方だ。
明日もくるかな。と席を立ち本を戻す。帰りに受付で銀貨1枚返して貰い宿へと帰る。
まだ使いたい紋様は見つかっていない。明日も頑張ろう。
翌日も朝から図書館。
慣れた物でドンドンと内容を確認しながら紋様を書き写して行く。もうすでにA4の紙で30枚分ある。残りの用紙は40枚。足りるかな?
足りなくなったら明日は聖域に行き、パンを焼くのと採取、紙作成かな。
この日も昼食も食べずに調べ続けた。最後は職員に「もう閉めます」と言われて慌てて帰った程だ。
う〜ん、まだ魔道具関連の本はある。調べられたのは魔道具関連の内の40%程だ。使いたい紋様はまだ見つけられないが、いくつか組み合わせることで似たような効果は再現できそうだ。見つからなかったら使うつもりだ。
しょうがない明日は聖域だ。
翌朝、聖域へと転移。朝食を食べたらパンを焼く。今回はバーガーバンズも大量に焼く。それが終われば採取。
昼食を摂ったら午後は紙作り。今回は大きく作り最後に裁断する。
1枚目を作っているときに、ふと思う。書いていた時、引っ掛かりが気になったし厚みも嵩張り気になった。ふむふむ。
結界で上下に大きなローラーを再現する。その間を隙間を変えつつ何回か通すとかなり表面がツルツルとなり薄くなった。これは良い。
流れ作業でローラーをいくつも設置して流すと自動でローラーをいくつも通るようにした。無魔法で紙を流すだけで良い。
あっと言う間に完成。後はまとめて無魔法で裁断して終わり。時間があるな。と厚紙も作り紙を纏めて最後に革で装丁して完成。これを6冊出来た。挟んである紙はそれぞれ100枚。これで足りるね。余った紙はメモ用紙だな。それでも90枚はあるが。
今度は気軽に使える罫線が引かれたノートでも作るかな。今度だな。
翌日は朝から図書館。
直接、作った装丁した本に書こうと思ったが、後で分類した方が使い易いと思い、メモ用の紙に書いていく。
途中、未解読の魔法陣の中から面白い魔法陣を見つけた。
状態保存の魔法陣だ。
これはタイムリーだ。清書が終わったら使ってみよう。楽しくなってきた。
夕方になった残りの分量を見れば明日で終わりそうだ。明後日からはまた狩りと採取に戻る。まだお金に余裕があると言ってもいつ何があるか分からないからね。
帰りに雑貨屋に寄って店主とお話し。話の流れでもし未解読の本があったら手に入れて欲しいとお願いしたら、かなり安く手に入るらしい。古代語で書かれた書物は解読が進まず、遺跡から発見されても物好きが買うか、見栄えは良いので飾るだけの為に買うとかで値段は安いのだとか。
それは良い事を聞いた。積極的に手に入れよう。鑑定様様だ。
ふと疑問に思う。他に鑑定持ちはいないのかと・・。
翌日、狩を再開するのをギルドでメリーさんに報告がてら聞いてみる。
「鑑定持ちですか?居ますよ。特に商人とか学者さんに多いですね」古代語について聞くと、
「それは鑑定では古代語が鑑定出来ないらしいですよ」と返された。
そうなんだ・・。俺、紋様も古代語も鑑定できるのだけど・・・あれか創造神のお詫びか?
まぁ、それしかないよね。それでも紋様と言うか魔法陣が未だに解読出来ていない物が多い理由もわかった。
午後、まだ早い時間だが狩りを終わらせる。今日の収穫はボアが7頭にディアが9頭。十分だ。
上空を鳥の魔物が優雅に飛んでいる。あれは確かビッグバードだな。遠いけど鑑定。なんとか鑑定成功、
《ビッグバード(G+)・・・結構いける》
なんか鑑定さん近頃砕け過ぎないか?まあ良いのだがね。狩るか。とビッグバードの進行方向に結界を生成。届いた。
ゴンッと言う音と共にビッグバードが完全にピヨって墜落。墜落中に結界で捕獲。引き寄せて止めを刺す。
成功成功。
血抜きをして解体。羽をむしるのがメンドクサイ。内臓は今回は捨てる。胸肉と腿肉のみを持ち帰る。他は廃棄。ああ、骨は持ち帰ろう。鶏ガラ鶏ガラ。デカいけどね。ビッグバードだけに。
冒険者ギルドに行き精算が終わり宿への帰りに雑貨屋へと寄ってワインを買う。白ワインはないらしい。瓶というより甕だね。大きい。でも安い。収納収納。
宿の部屋に戻るとジャガイモを出して片栗粉を錬金術で生成。簡単便利錬金術。イメージで出来ちゃう。有能だ。
デカいビッグバードの腿肉を出して切り分ける。塩、胡椒して揉み込んだら片栗粉を塗す。醤油、蜂蜜、赤ワインで照り焼きソースを作り魔導コンロを出してフライパンを熱して行く。火加減はコンロとフライパンの間に結界を挟み、熱の透過度を調整。
皮目から焼き、火を通して裏返して焼き丁度良い所で照り焼きソースを掛けて絡めて完成だ。
バーガーバンズをナイフで横からカット。レタスと薄切りの玉ねぎを乗せて上からマヨネーズを掛ける。その上に照り焼きチキンを乗せてバンズで挟めば完成。
あ〜腹減った〜。さて実食!
「!」
美味いよ美味い。ああ、涙が出るね。鑑定の結構いけるに納得だ。美味い。
少しだが異世界も悪くないかなと思える。
お読みいただきありがとうございます。
少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!




