第200話 新しい機体
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
コウの目の前には新型の専用機が整備ポッドにより整備が進んでいる。その機体は主に赤でペイントされていて胸部のコクピットハッチは黒、所々の装飾は黒と金の縁取りが為されている。
全高も10mと大型化されていて各部が強化されている。特に内部にある魔導回路は大規模魔法に耐え得る強度を獲得した。
背部にある重力ドライブユニットも能力は変わらないが大きさは5分の1まで小型化に成功している。
背部腰に装備されている魔導ライフルも大型化されて出力も上がっている。腰両側面には魔導ビームサーベルが装備されていて、このビームサーベルも出力が上がっている。
やや背面両肩部に装備されているのは2段に装備されている魔法触媒。上が光属性触媒で下が火属性触媒だ。
小さくなった重力ドライブユニット上下には小型化された魔導遠隔操作兵装が4基づつの合計8基搭載されている。この魔導遠隔操作兵装もビーム出力が上がって強力な物となっている。
他にも新規の装備がなされているが後に説明しよう。
整備の終わった機体にコウが近づくとアーマーは駐機姿勢をとりコクピットハッチを開ける。コウはそれに乗り込む。
コウの来ているパイロットスーツは今回新規に開発された物だ。ヘルメットも新規で作られていて全て魔導コアで制御されている。
『コウ、準備は良い?』
とルカの声がバイザーに響く。
「準備はOKだ」
とコウは短く答えるとバイザーの側面を操作してバイザーの前面部分に結界を展開させる。するとAR技術によって空間に各種情報が表示される。それらを確認すると操作スティックを握る。
『射出5秒前、4、3、2、1、射出!』
とルカの声が響くと軽い衝撃がコウを包むが直ぐに重力制御機構が働き衝撃を緩和させる。幾つかの魔法陣を抜け加速が増すとコウはスラスターを全開に噴かす。
ドンッ!
と言う加速音と共にコウの乗る機体は宇宙を駆ける。試乗点検メニューに従ってコウは機体を操作して機体の性能を確かめる。
『コウ、良いわね。次に移るわ。デブリ帯に向かってちょうだい』
とルカの指示が飛ぶ。コウは指示通りにデブリ帯へと向かう。
『コウ、魔導感覚拡張リンクをオンにして』
「了解」
とコウはタッチパネルを操作して魔導感覚拡張リンクをオンにする。その瞬間にコウは機体と一体になった様な感覚に陥り、尚且つ空間全体を認識することに成功する。
その感覚のまま速度も落とさずにデブリ帯へと突っ込んで行く。
その光景をモニターで見ていたタキノは、
「なんだあれ、凄いな」
明らかにオーバースピードでデブリ帯に突っ込んで行ったにも関わらずコウの機体は何もないかのようにデブリの間をすり抜ける。
「魔導感覚拡張リンク機能は俺らの機体にも搭載されるのか?」
とサイがルカに聞くと、
「ええ、このテストで問題なければコウの物よりもリンク範囲は落ちるけど搭載する予定よ。サイの機体ならモニター操作しなくとも感覚だけで敵をロックオンできるようになるわ」
「ほう、それは楽しみだな」
とサイはモニターを見ながら楽しそうに返す。
コウの機体を追いかけるモニター映像にはコウの機体が新規の魔導ビームライフルを撃つ光景が映されている。
その威力は前回の物より4倍の威力を誇り、大きなデブリを一撃で粉々にしている。
「ルカ、俺らの機体の改修はいつ終わるんだ」
とタキノは目を輝かせて聞いてくる。
「そうね、この試験も成功に終わりそうだし来週には終わりそうよ」
「そうか!」
とタキノは言い、サイは頷く。
「コウ、テストは終わりよ。帰投して」
『了解』
とコウの声がコントロールルームに響く。
今回行われている強化策は他にも行っている。
母船さくらの改修。これはヘルミナとルカの意見により空間拡張機能に頼らない施設を宇宙船内に装備してはどうか。これは何らかの影響によって空間拡張スペースが使えなくなった場合を想定しての意見だ。
これにより母船は原初の船を解体した時に出た部品や外装を使って全長100mから800mまで延長されて、それに伴い直径も6倍となって一通りの施設をその船体に装備している。勿論、空間拡張された空間はそのままだ。
他にも武装を強化して超大型魔導ビームカノンを2基装備と攻撃力を大幅にアップしている。
サイ、タキノ、ルカ、ヘルミナの機体もそれぞれ強化される。
コウのアーマードアーマーはまだ設計段階であり、構想を纏めている最中だ。サイとタキノのアーマードアーマーは単純に攻撃力がアップされてコウの機体にも積まれている機能も追加される予定だ。
来るべき上級害獣との戦いを見据えた各種強化は順調に進んでいる。
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