第198話 反抗
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
「低級害獣の殲滅はどうなっているかしら」
とルカが言うとオペレーターの1人がモニターを操作する。するとモニターに、
“残り低級害獣4000“
と表示される。
「もうすぐね」
とルカは呟いてコウ達が上級害獣と戦う様子が映るモニターをみる。
中型戦闘艦は距離を取り、上級害獣の周りを旋回しながら魔導ビーム砲を撃ち込んでいく。傷は直ぐに塞がってしまうが初めの時よりも治りが遅くなり、治った後もグレーになりだんだんと黒ずんで来ている。
着実にダメージを与えている。
コウは機体をヘルミナの機体近くまで移動して様子を伺っていた。そこに変化が訪れる。焦れた上級害獣が全ての触手の先を中型戦闘艦へと向けるとエネルギー弾を発射。そのエネルギー弾は中型戦闘艦の高出力な結界に阻まれることとなる。
「ギャラギャラガガガ!」
と上級害獣は何か吠えると太い四肢のような短い触手を中型戦闘艦へと向けると触手の先がパカッと開く。
そこにエネルギーが収束すると今までの触手のエネルギー弾とは比べものにならない位、高出力なエネルギー砲弾が放たれる。
コウはリンク状態の中型戦闘艦を操作して回避しようとするもエネルギー弾が結界へと着弾。そしてそれを突き破り中型戦闘艦へと着弾を許してしまう。
中型戦闘艦の後部へと着弾し損傷。その場からなんとか離脱する。もう1隻の中型戦闘艦は被害を受けないように一旦距離をとる。
『手強いわね』
とヘルミナから通信を受けるとコウは、
「そうだな、手がない訳では無いんだがな。どうにか時間を稼げれば」
と言ったところでルカから通信が入る。
『コウ!低級害獣の殲滅が終わったわ。サイとタキノの機体がそちらへ急行中よ!』
「了解だ。それまでなんとか時間を稼ぐ。ヘルミナ、援護射撃を頼む」
『了解よ、コウ』
コウは機体を操作して上級害獣へと突っ込んでいく。魔法触媒を展開して魔法陣を多重展開。魔法をばら撒きながら上級害獣の周りを飛び回る。
上級害獣は鬱陶しいのか触手を伸ばしてエネルギー弾を放って迎撃する。それをコウは巧みに躱して魔法を打ち込んでいく。
そこにヘルミナのレールガンの砲弾が上級害獣へと着弾。更に上級害獣はイラつきを増してコウの機体へと触手を伸ばす。
何回目かの攻撃の後、コウは更に触手を掻い潜り接近する。触手が迫るがコウは魔導ビームサーベルを最大出力で抜刀。
幾本かの触手を切り裂きコウの機体のスラスターの光跡が宇宙に煌めく。
「キュアアアアアアアア!」
と上級害獣は叫びコウの機体を触手で追いかける。その上級害獣の視界外から・・・、
『待たせたなコウ』
タキノの声が戦場に響く。サイとタキノのるアーマードアーマーが機体を回転させながら魔導ビームサーベルを連続で振りぬく。更にサイの魔法が邪魔な触手へと振り注ぎタキノの攻撃をサポートする。
再度大きな傷を負った上級害獣は身を捩り咆哮する。
「グギャァァァァ!」
そこに追い討ちをかけるようにヘルミナのレールガンの砲弾が着弾して傷を広げる。
『手はあるのかコウ!』
とサイの通信がコウへと入るとコウは、
「手はある!時間を稼げるか?」
『任せろ!』
とサイが言うとタキノも、
『いくぜ!』
と機体を操作する。
コウはヘルミナの機体の後ろまで後退して精神を集中させる。これから組む魔法は古代の資料の断片を繋げてやっと完成した大魔法だ。成功するかも怪しい。それでもやってみせる。
遠距離兵装を5基射出する。それらが配置に着くとリンク状態を維持しつつ魔法陣を編んでいく。5基の遠距離兵装は魔力で繋がり5芒星を形作る。
するとその前面に大きな魔法陣が浮かぶ。
その魔法陣の中に1つ1つと歯車が形作られてガチャリガチャリと組み合わさってギリギリと回転していく。
魔法陣の中が歯車で一杯になると、その前にも魔法陣が現れて同じように歯車が形成されていく。それも一杯になるともう一つ前面に魔法陣が形成されて歯車がガチャガチャと形作られて回転していく。
それも一杯になるとその3つの魔法陣が互い違いに回転し出す。ガチャガチャギリギリと回転していくと更に巨大な魔法陣が前面に生まれる。
その魔法陣は巨大で赤黒く禍々しい光を放つ。
赤黒い巨大な魔法陣がドクンドクンと波打つとその前面に巨大な両開きの扉が現れてバタンっと開かれる。
そしてガチャガチャガチャと音がして扉の中から鎖で雁字搦めにされた、これまた両開きの扉が現れる。
そこでコウは、
「究極禁忌魔法、断罪の女神!」
と言葉を紡ぐ。
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