第195話 フレイム・レイ
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
ナブからの報告を聞いたコウは自室を出てコントロールルームへと移動する。コントロールルームの中では三人のオペレーターがルカの指示に従って忙しく作業をしている。
「ナブ、状況を説明してくれ」
『はい、マスター。宇宙害獣の群れですが地球を破壊後、突然5つの群れに分かれて5つの方向へ移動し始めました。分裂した群れは低級害獣が100万と中級が3〜5体の群れになっています』
「ナブ、宇宙害獣たちは資源やエネルギーを貪り喰ったあとは一定期間休眠して数を増やしたり低級が中級へと進化したりするのではなかったか?」
『はい、データではそうなっていますが、今回は何らかの原因で5つに分裂して移動しているようです。原因は分かっていません』
そこにタキノがコントロールルームに入ってくると、
「状況が変化したと聞いたが」
とタキノが聞けばコウが
「5つの群れに分裂して移動を開始した」
それを聞いたタキノは口角を上げて、
「チャンスだな」
と言ってコウをみる。コウは、
「ナブ、各個撃破は可能か?」
『はい、可能です。例の装備も10回分完成しています』
「やるか」
とコウが言えばタキノも
「やろうぜ!コウ」
とコウの背中をバンッと叩く。コウは咳き込みながらも、
「やりましょう。最初のターゲットは中級が3体の群れから狙います」
そこにルカが、
「私は今回は母船からデータ管理をするわ」
と言うとコウは、
「任せた」
と一言言うとタキノと共にコントロールルームを出ていく。アーマーの格納庫に着くと既にサイとヘルミナがアーマーに乗り込もうとしている。コウとタキノも自機に乗り込む。
コウはアーマーに乗り込むとコクピットハッチを閉める。完全に閉まるとモニターの明かりがつき、格納庫内が映し出される。
ルカから送られて来たデータを確認しながら機体を操作して所定の位置に移動すると
『コウ、射出ゲート1番に移動するわよ』
「了解だ。ルカ」
『ディープスペースへと潜航します』
とナブの声を聞きながらコウの機体は射出ゲートへと移送される。
2時間程の時間が過ぎると
『予定通り群れの進行方向にディープアウトしました。前方にこちらに向かってくる害獣の群れを確認。これより作戦を開始します』
というナブの言葉と共にコウの機体は射出される。すぐにスラスターの逆噴射が始まり所定の空間に到達する。
『コウ、アーマードアーマーを射出したわ。受け取って』
とルカから通信が入ると立体ホログラフに自機とアーマードアーマーの位置が表示される。ほぼ自動でコウの機体が動いてアーマードアーマーに収納されると、
『コウ、新兵装射出展開するわよ。準備を初めて』
「了解した」
とコウはルカに返すと新兵装を使うための準備を始める。
ピピピ
と言う音がする。これは新兵装の展開が完了した合図だ。
新兵装は直径2mで全長10mの円柱のような形をしている。それがコウの機体の前に円形状に均等に配置された。その数、200。
「新兵装起動!」
とコウが音声で指示を出すと新兵装は互いに光で結んでリンク状態となる。
「エネルギー充填開始。リンク魔法陣展開」
コウはデータを確認しながら作業を進めていく。
「魔法陣融合。増幅展開」
と音声入力する。200の新兵装の1つ1つの前に直径4mの魔法陣が現れて、それらが中央へと引き寄せられると融合し始める。200、全ての魔法陣が融合すると増幅展開して直径500mの魔法陣が形成される。
「エネルギー臨界まで10、9、8、・・・3、2、1、照射」
と言うコウの言葉と共に直径500mの魔法陣が発光してフレイム・レイが放たれる。赤白い光が害獣の群れの左端に到達すると害獣達は瞬時にフレイム・レイの熱にて溶解して爆発していく。そのフレイム・レイが右にゆっくりと振られて次々に害獣を飲み込んでいく。
群れの右辺端にてフレイム・レイの照射が終わる。フレイム・レイを照射し終わった新兵装は熱で溶解、リンクも切れて宇宙を漂う。
『低級害獣の殲滅率97%。残敵数、低級3万、中級3。タキノ、サイ、ヘルミナ頼んだわよ』
とルカの通信が飛ぶ。その通信により4機のアーマーが飛び出し、その後にアーマー隊と小型戦闘艦が続く。
コウの機体は新兵装使用後のクールタイムで動けない。コウは次々に消えていく低級害獣のマーカーを見ながら再始動の準備をする。
『コウ、そろそろ再始動出来そう?』
「今、再始動を開始した。行けるぞ」
『了解よ、コウ。コウは中級害獣の殲滅に向かって』
「了解した」
とコウはアーマードアーマーのスラスターを全開にして飛行する。
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