第193話 移住と到達
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇埼玉 入間基地
入間基地は人手ごった返していた。今日は11月初めの祝日でここ入間基地では入間航空祭が行われる。
特に今回の航空祭には例年以上の人が訪れている。その原因は数日前まで遡る。総理による他の惑星への移住計画が発表され、その3日後にルカ、ヘルミナと獣人女子数人が記者会見を行った。勿論、彼女達の背後には屈強な狼獣人、犬獣人、猫獣人の兵士が睨みを聞かせながらだが。
サービス精神旺盛なルカははっちゃけて会見を行い話題を攫う。
一部で熱狂なファンを獲得した。
“エルフキターーーー!“
“合法ロリキターーーーー!“
などなど世間を騒がした。そこに政府より今日の入間航空祭にて日本の対中大型魔獣用人型兵器が行動展示されると写真付きでアナウンスされた。
その為の混雑だ。
人型兵器であるHF-3(ヒューマノイド・ファイター)が起立して4機並べられている。その胸には白い塗料で001、002、003、004と書かれている。
左手には盾を持ち、背部腰にはライフルが固定されている。
その4機の前には人が集まっていて身動きできない状態だ。
航空祭が始まりプログラムが進むと午前中最後の行動展示となった。
人型の4機の前にはパイロットが並んでいる。それぞれの機体の前に移動すると機体が自動で駐機姿勢を取りコクピットハッチが開く。
観衆はそこで「おお〜」と声を上げる。
パイロットは機体外装を確認するとコクピットに乗り込んでいく。パイロットはコクピット内部を確認すると機体が動き出して立ち上がる。まだコクピットハッチは開いたままだ。
各機の前に自衛隊員が配置に着くとその自衛隊員がハンドサインを送るとそれに合わせて機体が動く。それも終わるとハンドサインを送っていた自衛隊員は下がりコクピットハッチが閉まっていく。
機体が滑走路の方へ歩いて移動し始める。1機、2機と縦に並ぶ。管制塔から飛行の許可が降りたようだ会場にアナウンスが流れる。
001の機体が素早くしゃがむとジャンプ。そして背部スラスターが点火して
ドンっ!
と機体を上昇させる。
続いて
ドンっ!ドンっ!ドンっ!
002、003、004の機体が続く。その4機は上空でダイヤモンド編隊を組むと会場前を通過する。通過した先で2機編隊になり左右に別れていく。
その後繰り広げられたのは通常ではあり得ない機体の機動だった。一部の観客はパイロットを心配するがアナウンスで重力制御機構が紹介されると会場は更に盛り上がる。
こうして航空祭は成功裏に終わった。
その頃、海外では日本政府が宇宙害獣の発表と他の惑星への移住計画も発表すると世界は騒然となるが各国政府は現在地球の危機は確認されていないと封じ込めた。
しかし、そこに台湾政府が記者会見を行い。台湾政府は1年前に日本から情報を得て、この移住計画に参加していることを発表。勿論、各国政府には1年前に日本政府から情報を得ていた事もバラされた。
これにより各国は暴動寸前までいくが、なんとか鎮圧。そこに悲劇が訪れる。
宇宙害獣の斥候の襲来だ。
3体の低級害獣は大気圏を突破するとロサンゼルスに直撃する。地上に大きな被害をもたらすと穿った穴から這い出してきて都市を喰い始める。
それを食い止めようと警察が出動するが警察の持つ火器では傷ひとつ付ける事ができなかった為に軍が出動。
これにまずは空軍により攻撃がされるが害獣は無傷。陸軍も戦車で対抗するが傷1つつける事ができない。
米軍は総力を結集して害獣を退治に成功するもその被害は甚大であった。
400万人いたと言われる人口の4分の3の死者・行方不明者を出し、害獣を撃退は出来たが使用した兵器の数が尋常ではなく、日本が言う500万以上の害獣に対抗するには不可能に見えた。
各国政府はこの事実から日本政府に移住の協力を依頼するも日本政府は自国民の移住を優先するために協力は出来ないと返した。
それを不服と思ったC国、R国、半島の3国は武力を持ってして協力を強引に押し付けようとしたが次々に飛来する害獣の対応に精一杯となった。
この他国の反応により日本政府は在日外国人の国外強制退去を命じて発令。
米軍も各国に駐留している駐留軍を本国防衛の為に呼び戻し始めた。
日本は害獣が大気圏に突入した時点でHF−3が迎撃にあたりその侵入を防いでいた。
同盟国であるアメリカとイギリスは水面化で日本と交渉。これにより日本、台湾の移住が完了次第に移住に協力することとなった。
これに続いたのがイタリア、インド、アフリカの一部で、これらはアメリカ、イギリスが移住を完了させた後に移住の協力をする事になる。
日本では移住が始まった。最初の地域は北海道と沖縄、それから徐々にゲートが増えて3ヶ月で日本の人口の3分の1を惑星アイアへと送り出した。
一方、少し遅れて始まった台湾の移住はかなりスムーズに行われて、この時点で80%の移住が終っていた。それから半月程で全ての移住が終わると、そのゲートはアメリカとイギリスに送られ緊急で移住が進めれたがアメリカは国土が広く、害獣の被害も広がっていたことから移住は中々進まなかった。
イギリスの方は順調に移住は進み、用意されたイギリス本土同程度の島に移住が2ヶ月で完了した。イギリスにあったゲートはイタリアに運ばれて移住が進められたが他国の民が押し寄せて暴動が起こり惨事が起こった。
日本も移住が終わり日本にあったゲートの半分は更にアメリカに送られ他はインド、アフリカはケニヤやコートジボワールに設置されて移住が進められた。
そして時は進み、その時が訪れた。
害獣の群れの到達である。
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