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第190話 郷愁

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。

◇日本 東京 渋谷


「おい、コウ。この格好何か落ち着かねえ」


タキノはナブのコーディネートした服を見てコウに文句を言う。だが鍛え抜かれた身体で長身のタキノは目立つ。道行く人々はタキノとクールな装いのサイを見ては溜め息を吐く。


その後ろを美女エルフであるヘルミナと美少女風のハーフドワーフのルカが歩く。


最後尾にコウが歩いているが誰も気に留めない。


前を歩く4人が異様に目立つのだ。


タキノはイタリア人のような軽薄さと彫りの深い顔をしており、サイはフランス人のような雰囲気でオシャレに歩き、その後ろをヘルミナがモデルのような容姿で続き、華やぐような眩しさを演出してルカがヘルミナの横を歩く。


勿論、地味なコウは一切目立たない。


街行く人々は4人を見て何かの撮影かとカメラを探すが、そんなカメラは無い。


5人は政府が予約したレストランに入ると個室に案内される。そこには既に総理大臣である岸田川と民自党副総裁である麻東がテーブルの席についている。


コウは軽く会釈すると席に座る。他の4人も座ると食事会が始まる。


勿論、この時個室には総理と副総裁の他にSPが4人居たのだけれど、その4人の挙動が怪しいというかプルプルと怯えるように震えている。


後で分かった事だが、この時の4人はタキノの殺気というか覇気とかそう言うものに当てられて勇気を振り絞り警護をしていたのだとか・・・ご苦労様です。なんというか殺伐とした世界で暮らした身としては平和なこの国では有り得ないプレッシャーだったのだろうと思う。


というかタキノ・・・気持ちがダダ漏れすぎだ。


そんな食事会も間にタキノとルカのフライパンの攻防を挟みつつ無事に終了した。



◇日本 東京某所


ここは東京は郊外、多摩地区。


コウは1人住宅街を歩く。懐かしい風景を確認しながら歩いていくと一軒の一戸建てが見える。築10年以上は経っているだろうか。


コウはあの日の事を思い出す。あの夜、ここに帰ってくる予定だったと思う。


地下鉄のホーム。あそこで俺の人生は変わった。


偶然なのか必然なのか、俺はこの地球上からいなくなった。


政府の調査機関の話によると、ここには両親とまだ妹が住んでいる。その家を一目見て歩き出す。あのままの人生もそれはそれで良かったのかも知れないが、今の人生は格別だ。


空を見上げる。


青い空に雲が流れていく。前から歩いてくる人影が見えるが構わず歩いていく。その女性は脚を止めてこちらを見て首を傾げる。


ああ、母さん。


久しぶりだねと・・・・・挨拶が出来ないもどかしさを感じながら歩き去る。振り返ると母さんも振り返っている。


何かを感じてくれたのだろうか?


気にはなるが声をかけるわけには行かない。我慢して歩き続ける。何か自然と涙が流れる。


ああ、話がしたい!声が聞きたい!大切な大切な家族!声が聞きたい!


父さん!母さん!元気ですか?


俺はまだ生きています。


生きています。


・・・・・


・・・・


また、今度必ず会いに来ます。


必ずです。



◇惑星アイア 日本仮拠点の島


俺はまたこの拠点を訪れている。


「逸見さん」


と手を振り出迎えてくれるのは馴染みの自衛隊員だ。今回は何故か単独でここを訪れている。ゲートがある格納庫を出ると上空をグレーの空自の人型の機体2機が飛んで行く。


その左腕に盾を装備して右手にはライフルらしき銃器を装備している。


カッコイイ。


アニメや漫画から飛び出してきたような風景だ。CGでは無い、目の前を2機は飛んでいく。日本のオタクはこの光景を見たら狂喜乱舞するだろうなと考えたら、いつの間にか笑っていたらしい。


「分かりますよ逸見さん」


と出迎えてくれた自衛官も同意してくれる。


まぁ、カッコイイね。


ある建物に入ると警察の上層部の方達が勢揃いしている。何か俺場違いだなと指定された席に座る。


今日は警察組織としての視察と今後この場所での活動指針を定める為に集まっている。


大の大人が集まって全員目を輝かしている。


この警察の上層部の方々は数時間前に陸上自衛隊の人型兵器の実演の見学をしたらしい。何か警察も防衛用に欲しいと協議されている。


俺も機会があれば乗りたいよ。


ロマンだよね。ロマン。


不謹慎だって?


良いんだよ。

お読みいただきありがとうございます。


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