第189話 航空自衛隊
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
一部表記を変更(2022・09・21)
◇惑星アイア 日本仮拠点の島
島の開発が進む。現在の拠点を中心にして47都道府県分の拠点を作成する。
土木ポッドが数百移動していくと、その後ろを自衛隊が続く。自衛隊員の人数も1000人を越えた。各企業の社員や研究者も増えて500人以上滞在している。
あちこちに各企業がラボや格納庫を建てて魔導工学を学んでいる。魔法の研究も自衛隊を中心にして研究されており、この拠点には活気が漲っている。
今日からは一部大学の研究室も合流する予定になっている。
そんな拠点で1人愚痴を言う刑事がいた。
「おいおい、俺はただの刑事だぞ。こんな所に必要ないだろうが」
と隣に佇む磯山に愚痴を溢す。
「まあ、そう言うなって」
そう磯山は逸見を宥めるが磯山自身も忙しいのにと内心思っている。すると目の前にあるゲートが活性化して黒く渦巻くと大型のSUVが出てくる。
そのSUVが磯山と逸見の前に止まると後部ドアが開き、麻東が降りてくる。
「よう、磯山と逸見」
と言いながら麻東は手を軽く上げて近づいてくる。
「今回の視察の目的は」
と磯山が質問すると麻東は、
「お偉い大学の先生方の同行だよ」
と嫌そうに答える。
「私たちは何をすれば」
と磯山は麻東に聞くと、
「お前らは俺の相手だな。お偉い先生方のお守りはコウ君達にお任せで俺らは他の所の見学だ。お前らも興味があるだろ」
とニヤリと笑う。SUVに磯山と逸見は麻東と共に乗り込むと自衛隊の格納庫に入っていく。
中にはグレーに塗装された人型の機体が3機駐機姿勢で並んでいる。その内2機のコクピットには空自のパイロットと見られる自衛隊員が乗って何か操作している。
自衛隊員が2機の前にそれぞれ立つとハンドサインでパイロットに指示を出し始める。
そのハンドサインに従ってコクピットハッチを開けたまま機体が立ち上がると次々にハンドサインが出てパイロットはその指示に従って機体の各部を動かす。
一通りのチェックが終わったのかハンドサインを出していた自衛隊員が下がると機体は歩き出して格納庫を出ていく。
それに続いて麻東達も格納庫を出ていく。
格納庫を出た機体は格納庫から離れた場所でコクピットハッチを閉めると背部バックパックに取り付けられたブースターノズルを動かしてチェックする。
それが済むと管制塔から了解が取れたのか機体の膝を曲げてしゃがむとジャンプする。5m程ふわりと浮くと背面のブースターノズルから青い炎が噴き出して
ドンっ!
と言う音ともに斜め45度の角度で撃ち上がる。その瞬間に機体前面に張られているのだろう結界が青く光り結界に大気の圧が掛かったのが分かる。
2機はロケットのように上昇していく。
上昇をしている機体が魔法陣を輝かすと機体を方向転換する。麻東さんの横には自衛隊員がいて機体の説明をしている。
空を飛ぶ2機は有り得ない空中機動をしている。それを磯山と逸見は口を開けて見ていると、そんな2人を見た説明係の自衛官は、
「あの空中機動を可能にしているのはコクピットに装備されている重力制御機構であんな空中機動をしてもパイロットには大きなGは掛かりません」
と説明する。
「それにあの機体の各所には重量軽減の魔法陣が多数組み込まれており、それもあの空中機動に寄与しています」
と言って自衛官は目を細めて飛んでいる機体を見つめる。
まあ、チートな機体なのは間違いない。しかし、
「あんな事が出来る機体ですが実際の話、彼らの専用機に比べればおもちゃのような物です。ハハハハ」
と乾いた笑いをする。
彼らとはコウ君たちの事だろう。彼らの専用機はどんな機体性能なのか想像出来ない。
2機が速度を落として降下してくると機体前部の腰周辺に魔法陣が輝き、そこから斜め下方にスラスターの噴射が始まる。背部下側のスラスター2基と前部の魔法陣によるスラスターに噴射で機体を制御して降下。地面に機体の脚を付けると1、2歩前に進むと停止する。ほぼ、垂直に着陸できようだ。
その2機がコクピットハッチは開けて格納庫へと入っていく。所定の場所で駐機姿勢を取ると機体の動力が落ちてパイロットが降りてくる。
麻東はその2人のパイロットと2、3話すとこちらに歩いてきて、
「次にいくぞ」
とSUVに乗り込んでいく。逸見と磯山も慌ててSUVに乗るとSUVは走り出す。
次の場所は先ほどの格納庫近くの別の格納庫だ。中に入ると目の前には見た事が無い輸送機と見られる飛行機が組み立てられている。
その機体の周りではヘルメットを被った各企業の社員達が動いている。基本はポッドが作業しているが社員達は何かのタブレットを見ながら作業を見ている。
こちらに気が付いた責任者と思われる男が近づいてきて、
「麻東さん!よくいらっしゃいました」
と男は麻東と握手を交わす。その男の名前は秋川修平で六角重工業に勤める男だ。兵器関連の責任者で麻東とは面識があるらしく何やら親しげに話をしている。
「まぁ、ビックリですわ」
と秋川は説明を始める。
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