第186話 コンタクト
この物語はフィクションです。登場する国・人物・団体・名称は架空で有り、実在のものとは関係ありません。
◇東京 渋谷
「ねえ、ルカ。何かすれ違う人たちがこちらを見てくるんだけど」
と幻術で姿を地球人に寄せたヘルミナがルカに言うと、
「さすがはエルフの容姿といったところね」
とルカはヘルミナのモデルの様な容姿を見る。
「あの建物がコウが言っていた、女性物の服を売る店が沢山入っているのね」
「本当に人が一杯ね」
と道行く人を見ながらルカは言う。
「さぁ、ルカ。入るわよ」
とヘルミナはルカの手を取り店の中に入っていく。
◇日本 東京 内閣府 会議室内
「なあ、磯山。俺、場違いじゃねえか」
「俺だって場違いだと思っているぞ」
「何言っているんだ。お前、内閣府へ異動になったんだろ。もう立派な政府の人間だぞ」
などなど壁際に用意された椅子に座る逸見と磯山の2人はヒソヒソ話す。そんな中でも続々と政府首脳が集まってくる。最後に総理大臣である岸田川が席に座ると民自党副総裁の麻東が会議の趣旨を説明し始める。
簡単な説明が終わると各自に資料が配られる。
「まずはそれを読んでくれ」
と麻東は言うと席にどっかりと座り目を瞑る。
逸見は資料を読んでいる面々を見る。錚々たるメンバーだ現総理に官房長官、防衛大臣、外務大臣、総務大臣、文部科学大臣、法務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、農林水産大臣の今日参加可能な大臣が集まっている。
だが資料を読む大臣たちの顔を見ると半笑いや苦笑しながら読む大臣が多い。それはそうだろうなと逸見は思う。内容はどこのラノベだと言う内容なのだ。
時間が経つと、
「これは本当の事なのかね、麻東さん」
と官房長官である松山が麻東に半笑いで尋ねる。
「ああ、疑問に思うのももっともだ。俺も100%信じている訳でもねえよ」
と一度区切り出席している全員を見渡して、
「これからそれの証明をしたい。磯山くん」
と麻東は磯山を呼び、
「はい」
と磯山は立ち上がると、
「磯山くん、例の警察官は連れて来たかね」
「はい、連れて来ています」
と隣に座る逸見を見る。
「彼がそうか。逸見くんと言ったか?こちらのテーブルまで来たまえ」
と言われて逸見は立ち上がりテーブルの前にいく。
「逸見くん、君は彼らの宇宙船にまで行き、そして資料を受け取り戻ったと聞いている。間違いないか?」
「はい、間違いありません」
「そうか、その時にもう一つ彼らから預かって来たものがあったね」
「はい、連絡を取る手段を渡されました」
「そうだなそれがそのテーブルに置かれた青い石で間違いないかね?」
「はい、間違いありません」
逸見はテーブルの上に置かれた青い石を見て答える。
「では逸見くん、彼らに教わった通りに今ここで彼らと連絡をとってみてくれんか?」
と麻東は逸見を見ると逸見は頷いてテーブルの上から青い石を手に握ると石がぼんやりと光だす。暫くすると、
「ああ、今政府の人達と会議している」
と逸見は喋り出す。それを怪訝な表情で大臣たちは見つめる。
「ああ、分かった」
と逸見は足元に青い石を置いて2m急いで離れると、
「今から彼が来ます」
「今からここへ?」
と麻東が問いかけると青い石を置いた場所が光り始めて一瞬大きく輝く。
そしてそこには12〜13歳位の少年が立っていた。
「初めまして私の名前はコウです。生前に地球で生活していた時の名前は有元航平です」
とコウは笑顔で挨拶する。少しの間、沈黙が続くが副総裁である麻東がいち早く正気を取り戻して、
「君が違う世界から来たという生前の名前で有元君か」
「はい、そうですがコウと呼んでください」
「では改めてコウ君、君は他の世界から来たと間違いないかね?」
「間違いありません」
「君はそれを証明できるかね?」
「そうですね。私のいる世界は所謂、剣と魔法の世界です。ですからこんなことが出来ます」
とコウの周囲に炎や水の玉、土の玉、可視化出来る程に濃密な風の玉がグルグルと回る。それをみた人達は息を飲み、SPが総理大臣の横に駆け寄る。
「大丈夫だ」
と総理大臣である岸田川がSPに言うと岸田川は
「コウ君と言ったか?では詳しい話を聞こうではないか」
とコウを見て話を進める。
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