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第179話 グリフォン

コウ達は目標の惑星軌道上に到着した。


探査ポッドのデータでは地表に1人として人種を確認出来なかった。惑星の魔力が通っている地脈も安定しているし、自然災害が多く発生しているようにも見えない。


存在している魔物も平均的な物ばかりで人種を滅ぼすに至るような危険な魔物は見られなかった。


これらの事は原初の船と合流するに至り判明する。


人種は原初の船に乗った瞬間から諍いが多く、多くなるにつれて暴動に発展して何回かポッドが介入して鎮圧するも、何回も争いが起こり目標の惑星の地表に降り立つ事が出来た人種は約300名。


その300名もいくつものグループに分かれて協力する事なく別れて活動して1年も経たずに全滅したとデータにはあった。


なんと愚かな。


今、見下ろしている惑星は安定していて魔力も潤沢だが魔物もそれほど脅威になる物はいない。ちゃんと開拓できていれば発展できたと思う。


勿体無い。


ここは将来人族が移民可能な惑星として記録しておこう。


今回の原初の船のAIは中型戦闘艦1番艦のコントロールAIとした。空間拡張機能もドックに使い中型間のスペースを確保した。


暫くはこの宙域で習熟訓練を行う。殆どの訓練生はアーマーの操作にも慣れて来て模擬戦でも良い成績を残している。


そろそろ、正規のパイロットとして採用したい。


あのヤンチャな獣人族たちも従順になり、今では規律正しく生活・訓練をしている。


何かヤンキーが少しまともになると凄くまともになったように感じるのと同じような感じを受ける。


この状態を見ると躾って大事だね。


数日が経った頃に訓練生を正式に正規パイロットに格上げした。


通常アーマーパイロットは現アーマー部隊に配属、魔法機パイロットも魔法機部隊へ配属。


タキノが鍛えた獣人部隊は特殊強襲部隊となった。この部隊は遊撃や強襲偵察などを行う部隊だ。


アーマーには追加装甲が装備されて左手には大型の盾。右手にはヘルミナがオーダーした魔導サブマシンガン。腰背部には新規に開発された高周波ブレードを装備。


他には補助兵装として魔導ビームサーベルを1つ装備。


オプション装備としては背部重力ドライブの左右に魔導バルカンか魔導弾砲を装備することが可能だ。


アーマーの塗装は青を基本としたデジタル迷彩に塗装されている。


次の目標へとディープスペースへと突入していく。


コウは自室でナブと新しい兵装の話をしている。それがまとまり研究・開発へと進んでいった。


コウは自室の椅子に座りモニターを眺める。モニターには船内の状況が次々に切り替わり表示されていく。


ふふふ、タキノが魚を釣り上げる瞬間が映りました。ここの寮の食堂が映り何かルカが試作をしている様子が映ります。


畑が映り人々が働く様子も見える。


コウは収納から缶ビールを取り出してプルタブを開ける。


プシュっ


と音がして少し泡が溢れでる。それを口で掬うように飲む。


ゴクゴク


と喉を鳴らしてのみ。一息吐く。


美味いな。


やっと落ち着いてきた感じかな。


コウは一本を飲みきり、もう1本収納から出してプルタブを開けて飲む。


収納からチーズを出してつまみにする。これが美味しい。


部屋の隅を見ると魔導ピアノがある。


コウは立ち上がると魔導ピアノを操作して曲を流す。


うん、安らぐね。


椅子に座り直すとビールを飲む。ああ、美味い。


その1本を飲み切るとベッドに倒れ込む。


目を瞑ると魔導ピアノの優しい音色が聞こえる。コウはウトウトと眠りに誘われて意識を失う。



『・・・ウ』


『コウ・・ゃ』


コウは何かの声に気がつき覚醒していく


『コウ、ワシじゃ』


と頭に響く。コウは辺りを見渡すとこれが念話だというのに気づく。


『コウ、ワシじゃ。聞こえるかの』


コウは頭を振ると念話に答える。


「はい。コウです」


『コウか!久しぶりじゃの』


「グリフォンさんですか?」


『そうじゃそうじゃ』


「この距離で念話が通じるのですか?」


『ふむ、これはの神の計らいじゃ』


「そ、そうですか」


『神からの伝言じゃが、“コウよこの星は心配せずとも良い。この星には虫どもは近づけぬ“だそうじゃ』


「そうなんですか?」


『そうじゃそうじゃ。コウよ、疑問に思わなんだか?他の惑星に神や神の眷属は存在したか?』


「いいえ、ありませんでした」


『そうじゃろう。神の話ではの、まぁ一方的に話て言っただけだが・・・。そうそう、神の話ではのこの宇宙にはあの神しか存在していないといっておった。それに我がいる星は神が息抜きとして見ていた星なのじゃよ。だからのあの星には神の聖域となる隔離された森がある』


「そうなんですね」


『そうなんじゃ。わしも初めて聞いたわい。それでなある時にな神の不手際でコウがあの星に転生したのじゃ。それは神の天啓となった。コウはあの星の悪の元凶を滅ぼしたろう。それでな神は喜んじょった』


「はぁ」


『それでこの念話に繋がるわけじゃ。それにのう、コウに神からの伝言じゃ』


「なんでしょうか?」


『ふむ、コウが生まれた地球といったかのう。その星に2〜3年後に危機が迫ると言っておった』


「何が起きるですか」


『それは分からんが神はこうも言っておった。あの地球は神も一度は見ていたようなのじゃ。そこで魔力が薄いことが心配になり眷属を置いたのじゃ』


「それはグリフォンさんのような眷属ですか?」


『いや、ワシらのような魔物をベースにしたものではない。人種の姿をした神の眷属を複数置いたのじゃ。まぁ、魔力が薄くて魔物は生まれんからの人種の形の方が良いこともあるじゃろう。そこでその地球では面白いことが起こったのじゃ。魔力が薄いと言ってもゼロではない。そんな中に魔法適正があるものが生まれたのじゃよ。それらは魔力の関係で連続で魔法を行使できなかったが、それでも奇跡と見える魔法見せた。それが時には人の体を治す魔法や海を割るような魔法じゃ。そして皮肉なことになその者たちが神と地球の者が崇めるようになったのじゃ。それで神の眷属が力を失い今に至るわけじゃ』


コウはなんとなく地球で一番広く広まっている宗教のことを思い出す。


『そんな地球じゃがな、もしコウが助けたいと思うなら気にかけると良いじゃろうな。これで終わりよ。それではコウ。達者でな』


と念話が切れる。


コウは暫く考え込んでモニターを見つめる。

お読みいただきありがとうございます。


17:00にももう1話。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] この宇宙でただ一人の神? じゃコウが巻き込まれ召喚された場所に確か神が他の神がコウが元地球人だから引っ張られた的な発言したんだよね? じゃどの神? 別宇宙または別次元の神? スケールデ…
[一言] やっと話が進みそうだ
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