第177話 機動紅蓮隊
大規模な宇宙害獣の群れを殲滅して2日が経ち、サンプルとして中級害獣のサンプル回収などを終わらせると原初の船の回収作業に戻る。
目的地は害獣の生息する地域では無く、害獣の生息すると思われる宙域には原初の船の移住記録がない為に他方面へと向かう。
ディープスペース航行中にアーマー各機の整備を行い。装備の再検討などを行う。
細かい回収や新たなアイディアの元に研究を始める。
数日が経つと目標の星域にディープアウトする。探査ポッドから遅れてくるデータでは、またも文明は栄えていない所か滅亡目前の状態と判明した。
原初の船との通信は確立出来、船側も合流を望むことから目標の惑星へと急ぐ。
辿り着いた惑星は不安定な惑星だ。探査結果から地脈を流れが不安定であちらこちらに魔力溜まりができては巨大な魔獣や変異種を生み出している。その魔獣が地を闊歩し人種の生活圏を荒らしていく。
それに自然災害も多く、火山噴火に地震と人が住みにくい環境と言える。
特に地脈に不安定さは酷い。地脈は同じ場所に通るのでは無く、不意に行き先を大幅に変える。今までは安全だと思われていた地域に魔力溜まりを作り強力な魔獣を生み出す。
今回、そんな地域に集まる獣人族、エルフ、ドワーフ、人族を救出した。彼らにはこの惑星の正確な状況を見せ話をして船内に移住する事となった。
原初の船も合流を果たしてコントロールAIはメインAIへと統合。空間拡張機能も母船へと移設した。
今回の空間拡張では新たに温泉地域を作成して擬似的に温泉を楽しめるようにした。成分もナブの調整により効能が高くなっている。
他の地域の人達も探したが見つからなかった。今回救出できたのは約4000名。これがこの惑星で生き残った最後の人達なのかもしれない。
移住した人たちの住居を急ピッチで土木ポッドが作成、居住する集合住宅を数多く建てた。
ルカを中心にして移住者の代表を各種族から選出して簡単な議会を作り、そこで話し合われた事をコウやナブに相談して実行・運営して行くこととなった。
1ヶ月も経つと各家族の希望を聞き、畑や仕事場を斡旋していく。もう1ヶ月もすれば生活環境が回り始めた。
ただ、中には跳ねっ返りもある一定の割合がいて、そんな彼らは大概は狼獣人を中心に犬獣人と猫獣人が数人といる。
そんな彼らはタキノに挑み、ボコボコにされて今では
「兄貴」「兄貴」
とタキノはヤンチャな獣人に付き纏われている。タキノも満更嫌では無いのか時折構い、剣を指導している。
そんな彼らはいつの間にか腰に木の棒を挿してタキノの真似をして歩いている。
ルカは食道に入ってくるタキノを見つけると、
「ボス、今日もご機嫌ですわね」
と言うとタキノは、
「ボスじゃねえ」
と言いながらテーブルの空いている席に座るとポッドに食事を注文する。
「あら、寮の外で子分たちがボスを待っているわよ」
「ああ？、そんなのは知らねえな」
と直ぐに配膳された今日の日替わりランチに手を付ける。
「アンタが勝手に拾って来て構ったんだから最後まで面倒見なさいよ」
とルカは厨房に入っていく。
「なんで俺が」
と文句を言いながら昼食を済ませると寮を出ていく、
「お疲れ様です、兄貴」
と20人近い獣人の若者がタキノに頭を下げる。
「おい、お前らはもうここには来るな」
とタキノは言うが獣人の若者たちは、
「いいえ、兄貴の側から離れません。俺らも兄貴のような剣士になりたいんで」
と20人以上の獣人は揃って頭を下げる。困ったタキノは頭を掻きながら、
「ダメだ許さねえよ」
と頑なに拒否をするが、
「俺らは引きませんよ」
とまだ獣人達は頭を下げる。そこに、
「タキノ、どうしたんだ？」
と何処かに出かけて戻ってきたコウが声かけてきた。
「あのな・・・・」
とタキノが事情を話すとコウは、
「う〜ん、そうですね。ではこうしましょうか。タキノが監督して新たに部隊を作りましょうか」
「大丈夫かコウ」
と心配そうにタキノは言うがコウは
「大丈夫ですよ。多分・・。ですが訓練は厳しくして下さい。目指すは近接特化部隊でしょうか」
「まぁ、コウが良いっつうなら良いのだけどよ。おい！お前ら厳しい訓練に耐える覚悟はあるか！」
と獣人の若者達に声を張ると、獣人たちは一斉に
「「「「「「「はい！」」」」」」」
と答えて整列する。
それを見てコウは笑い。
「タキノ、任せましたよ」
とタキノの肩を叩く。これは後に機動愚連隊という近接特化部隊の始まりとなる。
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