第175話 対中級害獣
数日が過ぎた頃には低級宇宙害獣の群れを3つ潰すことに成功し、最後の大きな群れに対する準備を整えている。
コウとタキノはそんな中、時間を見つけて海エリアで船釣りをしている。
ポカポカと擬似太陽が照りつける陽気、風も心地良い程度に吹き船上はのんびりとした空気が流れている。
船の左右に分かれてコウとタキノは釣り糸垂らし当たりを待っている。
「なあ、コウ。次の駆除は成功するのか?」
とタキノは群れの規模を聞いているのでコウに疑問を聞く。
「う〜ん、一応は大丈夫じゃないかな。ナブも駆除できる確率は90%だと試算しているしね」
「まぁ、今回の作戦では俺は中級1匹相手にするだけだからな。腕が鳴るぜぇ」
とタキノは獰猛な笑顔になる。
「ハハ、程々にねタキノ」
3日後・・・・。
母船のコントロールルームではルカに鍛えられたオペレーター3人が、探査ポッドとルカの機体から送られてくるデータをナブと共に精査して、各機にデータを送信している。
コントロールルーム中央にある立体ホログラフには、リアルタイムに敵と味方機の動きが反映されているのが見える。
敵の低級害獣の数は約20万、それに中級害獣が3体群れの最後に控えている。
コウは母船近くでアーマードアーマーにて待機している。
『マスター準備は整いました』
「了解だ、ナブ。これから害獣殲滅戦を開始する」
『はいマスター。全機に作戦開始を通達します』
コウは息を一息吐くと新たに積まれた2基目の大型補助AIに、魔法陣構築を手伝わせながらアーマードアーマーの周りに魔法陣を展開していく。
その数2万。1射目の準備が整う前にもう一つの大型補助AIが次射の為の魔法陣構築を始める。
コウは準備状況を確認しながら母船から送られてくるデータを元に害獣をロックオンしていき、それが済むと1射目を発射。
数多の魔法陣が煌き光の矢が中空を突き抜ける。
コウはその結果を見る事なく次射の準備を始めて2基目の補助AIと共に準備を完了させて2射目を撃つ。
この繰り返しにより10分もかからずに20万もの低級魔獣が壊滅。残りの低級魔獣はアーマー隊と小型戦闘艦6隻にて殲滅していく。
タキノとサイの機体は殲滅された低級害獣の欠片の中を全力で飛行する。目指すは中級害獣。
ヘルミナの機体は中距離にてレールガンを用意して、サイとタキノの機体と中級害獣との戦闘に備える。
サイとタキノの機体が中級害獣へと近づいていくと、中級害獣に変化が見られるとデータが送られてくる。
2人は警戒しながら近づいていくと中級害獣からエネルギー反応。
サイとタキノは直ぐに反応してそのエネルギー体を避ける。サイとタキノの機体を掠めるようにエネルギーの塊が通りすぎると、エネルギーの残滓がチリチリと宙空を漂う。
サイは副腕を展開して光魔法のライトアローを連射して中級害獣に放つが、害獣は意に介さずライトアローをその体表にて霧散させるとエネルギー弾を撃ち出してくる。
タキノも中級害獣の攻撃を掻い潜り肉薄すると魔導ビームサーベルを振るがその攻撃で害獣へと傷をつけることは出来なかった。タキノは、
「チッ!」
と舌打ちすると機体を後退させる。
『タキノ、俺は一度装備を交換するために下がるが大丈夫か?』
「ああ、任せておけ」
とタキノはサイに応えて害獣へと向かっていく。
サイは、
「ルカ、専用装備デリバリーオーダー」
『了解、サイ。コンテナを送るから捕まえてね』
「了解だルカ」
ルカの機体が引き連れているサイの機体のコンテナが切り離されて、コンテナはスラスターを噴かしてサイのいる宙域へと飛行していく。
サイは立体ホログラフに映る自機とコンテナが飛行しているコースを確かめて、機体を微調整して待ち構えると直ぐにコンテナはスラスター逆噴射をさせて減速してコンテナを展開させる。
サイは機体を操作して専用兵装を取り出すと両脇にアタッチメントで兵装を固定、機体がそのハンドルを握ると兵装とリンクを確立させる。
「これでやれる」
とサイは機体を操作してタキノが中級害獣3体を抑える宙域へと急ぐ。
「待たせたな」
『さっさとやってくれ。俺も一度後退する』
「了解した。ヘルミナ、援護を頼む」
『了解よ』
とヘルミナの声がサイの機体のコクピットに響くと、機体後方からレールガンの砲弾が中級害獣へと向かい、その体表に穴を穿つ。害獣は苦しげに咆哮する。
「グァァァァ!」
嫌がるように身を捩り警戒が散漫となった時にサイの兵装が火を吹く。
「試射した時とは威力が違うぜ」
とサイは口角を上げて機体を操作して兵装の引き金を引く
お読みいただきありがとうございます。
どうやら【1000万PV】達成しそうなので18日(土)、19日(日)の二日間で5話投稿します。
少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!




