第167話 変形
破壊した敵の惑星から離れて当初の目的の惑星を目指してディープドライブを使い航行する。
目標の惑星のある星域に到着すると目標の惑星目指して重力ドライブ航行する。数日も経つと目標惑星軌道上へと到達して現在は探査ポッドで詳細な惑星のデータを集めている段階だ。
『マスター、原初の船の反応が微弱です』
「どう言うことだ?」
『分かりません。コンタクトをしていますが通信が微弱で通信確立が出来ません』
「この惑星の文明度は?」
『かなりの低レベルで人種の数も多くありません』
「戦争でもあったのか?」
『いえ、その形跡もありません』
「そうかどちらにせよ原初の船とのコンタクトが先だな」
『はい、マスター』
それから数日をかけて調査が進むと原初の船の場所が確定して探査ポッドで近づいた所、原初の船がかなり損傷していることが判明する。
母船自ら惑星に降下して原初の船を回収して調べると原初の船はこの惑星に着いた時に隕石と激突してしまい船体を損傷、乗員も80%失ったという。
これによりこの惑星に降り立った人たちは原初の船のサポートを受けられずにこの惑星で暮らすようになり、現在の文明水準に留まっていると考えられた。
無傷なコントロールAIはメインAIに統合されて、破損していたが修理をして空間拡張機能も母船に統合された。これで母船内の空間は当初より8倍となった。
一部の村民がこの惑星に降りて散策をした。
このことにより1つの村が、この惑星で暮らすことを希望。コウはそれを了承して、その村人達と相談して無人で、ある程度の大きさの島に暮らすこと決定した。
この選定に1ヶ月かけてある程度の島に降り立つと各種ポッドが港や村を造成。島の中心に小型の通信リンク端末を設置して今後この島と惑星に来れるように準備した。
研究中の転移ゲートが完成すれば、この惑星の軌道上にゲートを設けて行き来するのも夢では無い。
現在の研究の進捗状況はごく小さな転移装置の実験に成功したと言う段階だ。この実験の参考とされる物はリンドルンガがある惑星にあったアノ教会が使っていた魔法陣を参考にしている。
港や村が完成してサポートのポッドも降ろされて各種作業を手伝っている。
サイ達は島をのんびり観光している。タキノは海釣り、ルカ・ヘルミナは砂浜で日光浴、サイは即席で作った海辺の東屋でのんびりと魔導書を読んでいる。
他のパイロット達も私服に着替えて色々と遊んでいる。
コウも久しぶりに収納から船を出して近場をクルーズして楽しんでいる。
「久しぶりにのんびりできますね」
とコウはデッキの日陰で寝転がり冷たい飲み物を飲む。頭上では風魔が気持ち良さそうに飛んでいる。
島には魔物もいるがそれほど脅威となる魔物はいないようで、どちらかといえば食料となる魔物が多い。
島の森も食物が豊富で急いで開墾された農地と併せて食料に困ることはなさそうだ。
島の中央には湖があり淡水魚も豊富で川も流れていて水に困ることもない。
理想的な島といえる。
現在でも数パーセントの地域しか使えていないので将来、人口が増えても大丈夫だと考えられる。
コウ達は数ヶ月安定するまでは、ここに留まることにしてゆっくりと過ごす事となった。
1ヶ月も経つとゆっくりすることが飽きたのかアーマーパイロット達は大気圏内での空戦訓練をして過ごしている。
空気抵抗により宇宙空間とは違い機動が制限され、それを克服するために訓練をしている。
頭上を通過するアーマーが急上昇をして雲を引く。
そんな光景を見ながらコウは地上にある端末を通してナブと試作兵器の話をする。
「ナブ、実験の方は進んでいるか?」
『はい、順調です』
「問題は?」
『可変機能の接合部分の脆弱性が問題となっています』
「魔力的に解決できないか?」
『それは可能ですが少しでも魔力の供給が止まると崩壊します』
「それは問題だな」
とコウはてを組んで考える。
今考えている試作兵器はこれもロマン溢れる変形機能付きのアーマーだ。これは現在大気圏内にいることから大気圏内で有位な飛行が出来る機体と変形して人型となりマルチに動ける機体ができないか検討している。
コウは簡単に出来ると思っていたようだが、上手くいっていない。
色々と地球で見てきたアニメに出てくる飛行形態と人型形態、中にはその中間形態を採れる機体をナブに紹介したが、現在の所完成には至っていない。
兎に角、変形する以上内部構造が少なく、可動部分も細くなりがちで求める強度を得ることができない。
ふとコウはあるアイデアが浮かびナブに相談。
これなら何とかなるかもとニヤリとする。
『どうなるか分かりませんが初期設計を開始します』
「了解だナブ。頼んだ」
とコウは目を輝かせる。
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