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第163話 試作遠距離兵装

数ヶ月が過ぎた。この数ヶ月の間にも二箇所の原初の船と接触して合流している。どちらの惑星も人類は滅亡していた。人種というのは愚かなのだろう。


この原初の船との合流では小型戦闘艦4番艦“はるさめ“にコントロールAIの1つは移設されて、もう一つはメインAIに統合された。


空間拡張機能も2隻分追加されて当初から6倍の広さとなっている。


今回の空間拡張では海エリアを設置したときに計画されていた海の拡張と島の設置が行われた。


コウは自身のアーマーの強化をナブに相談しながら行っていた。


補助AIの拡張から始まり、空間把握脳波リンク機能の開発と装備、専用の遠距離操作兵装の開発・装備と一通りの装備が初期バージョンとして完成すると宇宙空間での試験を行うこととなった。


ナブの指示に従い射出されたコウのアーマーはスラスターの光跡を残しながら飛翔する。目標地点で停止すると背中の重力ドライブユニット上下に装備されている試作遠距離兵装をパージ。


直径20㎝、長さ70㎝の円柱状のそれは先端に魔法触媒が付けられて後端には4枚のフィンが折り畳まれている。パージされた試作遠距離兵装は折り畳まれたフィンが起き上がって広がり、コウの乗るアーマーとのリンクを4枚のフィンを通じて確立する。


それが合計8基が内蔵された魔道スラスターを噴かしてコウのアーマーから離れて飛翔して目標物を目指す。


この試作遠距離兵装の稼働時間は1時間。15分ほど飛翔した試作遠距離兵装は目標であるデブリを見つける。


コウはコクピットで目を瞑り母船からの探査ポッド情報と試作遠距離兵装から送られてくる情報を脳内で処理。


「やけに呼吸音が大きく聞こえるな」


と自身の呼吸音がハアハアと大きく聞こえ呟く。


空間把握脳波リンク機能で拡張された感覚は研ぎ澄まされて手に取るように兵装の動きを把握する。


配置についた兵装に装備されている魔法触媒が煌めき魔法陣が一瞬輝くと8基の兵装から光の線が目標のデブリへと伸びる。


全弾着弾!


コウの脳裏にはバラバラになったデブリが思い浮かぶ。その脳波で兵装の帰還を指令すると兵装はスラスターを煌めかせてコウのアーマーを目指す。


とりあえず成功だ。コウの口角は上がりニヤリとする。


もう少し煮詰める必要はあるが完成に近い性能を示したと言える。あとは習熟してアーマーを操作しながらの兵装使用など訓練の必要がある。


兵装を全て収納すると母船へと帰還する。


コウの機体は特化機体ではないが魔法兵装なども簡略化された物では無くコウに合わせてチューニングされたものであり、射撃管制システムにしても通常システムを積んでいて、近接装備も魔道ビームサーベル2本装備とサイ、ルカ、ヘルミナ、スタンダート機には1本しか装備されていない事を考えれば、この機体は今回の遠距離操作兵装の装備も相まって機能モリモリのピーキーな機体となっている。


勿論、機動能力もタキノの機体と同等の能力を持っており扱いづらいが死角のない機体と言える。


それぞれの機体色はコウは暗い赤、サイは黒、タキノは青、ルカはオレンジ、ヘルミナは緑、スタンダード機はグレーとなっている。


コウは時折「3倍3倍」と言っているとかいないとか・・・・。


機体を降りたコウはナブと機体の調整改修方向を確認すると食堂を目指す。食堂に近づくと良い香りが漂い始める。


「ああ、今日はカレーの日か」


コウはいつの間にか決まった間隔で夕食に出されるカレーの味を思い出して席に座ると料理ポッドがコップに入れられた水とカレーを配膳していく。


バラバラと集まってくる者たちを待つ事なくカレーを食べる。


「さすがルカだな。美味い」


とコウは笑顔になる。1杯目はすぐに食べきりおかわりをして、今度はゆっくりと食べる。


美味い美味い。


作る度にルカの腕が上がっているような気がする。感謝しかない。


何やらいつもの言い争いが聞こえ、ゴン!という音が響くが無視して自室を目指して部屋に入るとシャワーを浴びてベッドに倒れ込む。


少し寝ると覚醒して仰向けになりふと目を開ける。何気にモニターに目を向けると宇宙空間が映し出されている。


なんとなく銀狼の3人が思い出される。リンドルンガか・・・遠いな。そういえば転移は使えるのだろうか?試すのもリスクがあるな。距離が足りなくて転移先が宇宙空間では死んでしまう。


雑念を払うと目を瞑り眠りの世界へと本格的に入っていく。


その頃の食堂では・・・・。


「おい!俺が何をしたっていうんだ!」


とタキノは頭を押さえながらルカに抗議する。


「ムカつくのよ」


とルカは抗議を受け付けない。パイロットたちは被害を受けないようにタキノとは違うテーブルへと避難している。


サイも食堂に入ってくるが特にタキノとルカを見ることもなくパイロットたちのいるテーブルに座ると料理ポッドが配膳したカレーを食べ始める。


そこにヘルミナが入ってきてルカを宥めると事態は終息していつもの穏やかな時間が流れる。


「横暴だ」


とタキノはいうがお前が悪いとサイとヘルミナはいう。


「チッ」


とタキノは舌打ちをするとカレーをやけ食いして4杯食べて満足したのか腹をさすりながら大浴場へと向かう。 

お読みいただきありがとうございます。


明日からは水曜日、日曜日1日1話に戻ります。


少しでもおもしろいと思っていただけましたら、ブクマ、評価をお願いいたします!

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