第160話 バーガーセットと紙片
タキノは機体を操作して敵艦に近づくと魔導ビームサーベルを抜いて一閃。簡単にシールドを破壊して肉薄する。
敵艦も主砲を連続で撃つがタキノは冷静に立体ホログラフに表示される砲弾の予測経路を見ながら上下左右にスラスターを噴かして回避して敵艦に取り付くと艦橋を魔導ビームサーベルの横薙ぎで潰す。司令系統を破壊し砲塔の死角を抜けて後部のエンジン部分に魔導ビームサーベルを突き立てて出力を上げるとエンジン内で誘爆。
タキノは次の艦へと強襲をかける、同じように艦を沈めると、
『タキノ、応援は必要か?』
「ああ、少々めんどくせえから手伝ってくれ」
『了解した』
と通信が切れるとサイの機体がタキノの機体を追い越していく。キラリとサイの機体が光ると光の矢が飛んでいき敵艦が爆発する光が見える。
「もうひと働するか」
タキノは呟くと機体を操作して敵艦を排除していく。
◇第1艦隊旗艦 艦橋
「第3艦隊と対峙していた敵小型の機体が現在交戦中の機体と合流しました」
「現在の艦隊の損失は15隻です」
「こちらに向かってくる熱源多数!回避間に合いません!」
ドカンドカンと衝撃音が響いて艦が揺れる。
「被害状況は?」
「エンジン損傷!艦が停止します!1、2、3番砲塔沈黙!4番砲塔のみ使えます!」
「ぐっ!これ程までとは」
と司令官はいうと、
「総員退艦命令!旗艦を放棄し撤退する!」
引き返していく艦隊をモニターで見ながらサイとタキノは帰投する。
◇第8方面艦隊 艦橋
「司令、戦闘が終わりました」
との声を聞いた司令は息を吐く。
「これ程の戦力差があるとはな」
司令は力無くシートに腰を沈めるとモニターを凝視する。
「司令、司令部から入電です」
「とりあえず戦闘データを司令部送れ」
その後は連邦共和国政府から苦情があったがナブが通信傍受したデータを送信して関わった議員が摘発されて事態は終息した。
数日が経った頃に原初の船との通信を確立。原初の船と周回軌道上で合流すると惑星リースを後にする。
「ナブ、あと幾つの原初の船があるんだ」
とコウが聞くとナブは、
『はい、マスター。私が認知している数は150になりますが。元々の計画のデータを見ると全体では600隻それぞれに3000人が乗って分散して新たな惑星を目指すという計画でした』
「そうかまだまだだな」
原初の船からコントロールAIを母船さくらのメインAIへと統合、処理能力が上がった事により空間拡張機能を移設して当初の4倍の空間を得ることに成功する。
これにより乗員の希望聞いて領域は小さいが海水エリアを設置する。このエリアは範囲は狭いが砂浜と岩場があり、港はないが釣りと海水浴を楽しめる。今後、増えるだろう空間拡張機能が更に追加されれば港や島を設置する予定だ。
現在、タキノは麦わら帽子を被り、この海水エリアで釣りをしている。釣果も良いらしくホクホクで釣りをしているようだ。
何気にタキノは船内のあらゆる場所を堪能していて一番詳しい。
他の原初の船の材料は全てドックを拡張して保管している。
ディープドライブで航行して7日。宇宙空間に浮かび上がると次の目標近くの空間に到着した。
何の障害もなく目標の惑星の周回軌道へと到達する。
「ナブ、この惑星はどうだ?」
『どうやら大陸部分の殆どを海に呑まれてしまったようです』
「原因はわかるか?」
『残った大陸と海に放射能反応が確認されます。人類による戦争が引き起こされたと推察します』
「生き残りは?」
『地下も含めて探査していますが、今の所発見できません』
「そうか、原初の船は?」
『海の底に沈んではいますが無事確認できています』
「分かった。原初の船を回収後直ぐに次の目標へと移動しよう」
『はい、マスター』
ナブとの会話の後にコウは考える。故郷である地球は大丈夫だろうかと・・・。
そういえばと収納から魔法陣を取り出して真ん中に金貨を置いて発動させると懐かしいジャンクフードの紙袋が現れて金貨が消える。
コウはホッとして紙袋の中を確認するといつものビッグなバーガーセットと見慣れない紙片を見つける。
それを手に取り紙片を確認してコウはニヤリと笑う。
ハハハ、こんなこともあるのだな。
バーガーを齧り味わうと付属の冷えたドリンクをストローで飲む。懐かしい。
そして美味い。
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