第159話 敵襲
数日掛けて主星リースの周回軌道へと到達。母船さくらを囲むようにアルゾニア連邦共和国所属第8方面艦隊が展開する。
その知らせを聞いたアルゾニア連邦共和国は蜂の巣を突ついたかのような状態となる。
◇アルゾニア連邦共和国所属第1艦隊 旗艦モルゾフ艦橋
「通信が入ります」
「映せ」
と司令官であるモスログ将軍が指示を出すと目の前のスクリーンに背広を着た男が映される。
「これはこれはジャクソン議員。何用ですかな」
とモスログ将軍は面白くなさそうにスクリーンに映る男に声をかける。
『モスログ将軍、分かっているだろう。件の宇宙船の事だよ』
「既に議会で静観すると決まったのでは無いのかな」
とモスログ将軍はとぼけるように答える。
『ハハハ、モスログ将軍。貴殿の艦隊は待機となっているはずだが?』
モスログ将軍は苦い顔をしながら、
「それで何用だ?」
『モスログ将軍も件の宇宙船の鹵獲を狙っているのだろう?我が方でもな秘密裏に第3艦隊を向かわせている』
「ほほう。貴公らは議会の決定に逆らうと?」
『ハハハ、鹵獲してしまえば手柄になる。あの船はどうやらディープドライブが使えるようだからな。宝箱のような船だ、ディープドライブの他にもあるだろう』
「それを手伝えと?」
『そういうことだ』
◇第8方面艦隊 艦橋
「指令、第1艦隊と第3艦隊が近づいて来ます」
「そんな事は聞いてないぞ。直ぐに司令部に連絡しろ」
慌ててオペレーターは司令部に確認すると、
「指令!第1艦隊と第3艦隊は独断で動いているようです!司令部からの両艦隊への通信が途絶しています」
「全艦隊戦闘準備!」
という指令の言葉と共に艦内にサイレンが鳴り響く。
『マスター、艦隊の通信を傍受しました。こちらを狙う艦隊が接近しつつあります』
「了解だナブ。第8方面艦隊との通信回線を開け」
『はい、マスター・・・開きました』
という言葉の後にスクリーンが表示されて第8方面艦隊司令官の顔が映し出される。
「何やらこちらを狙う艦隊が近づいてくるようだが」
とコウがいうと司令官は苦い顔をして、
『そのようだ。こちらも応戦するが迫る艦隊は2艦隊で60隻の戦闘艦を擁する』
「了解した。こちらも応戦する」
『健闘を祈る』
という言葉とともに通信が切れると、
『コウ、準備はできているぞ』
とスクリーンが現れてタキノが映し出されると、その横にももう一つスクリーンが現れてサイが
『俺も準備できている』
と言ってきた。
「了解した。ナブ、緊急発進させてくれ」
『はい、マスター。機体ナンバー003、タキノの搭乗が確認されました射出ゲート1番に搬送します。機体ナンバー002、サイの搭乗が確認されました射出ゲート2番に搬送します・・・射出準備完了しました。同時に射出します。3、2、1、射出!』
2機のアーマーは魔力誘導誘導装置により加速射出される。いくつかの魔法陣を潜ると潜る毎に機体は加速されていく。
2機の機体は重力ドライブを全開、スラスターも最大に噴かして最大速度で飛翔する。
ナブから送られてくるデータを見ながら2機は二手に分かれていく。タキノの機体は第1艦隊へ、サイは第3艦隊へと向かう。
サイの機体は背中にある副腕を展開して魔法触媒を展開する。立体に表示される目標の艦隊を見ながら魔法を編む。
サイの魔法の射程に入るとサイは光の矢を生成して魔導ホーミングで光の矢を連続で撃ち出していく。
立体で表示されている艦隊を目掛けて光速で飛ぶ光の矢の航跡が表示されて命中を確認すると次々に艦隊の船のマーカーが消えていく。
撃破した艦数は15。
サイは新たに魔法を編んでいき魔法を撃ち出す。更に10隻の撃破を確認すると敵艦隊が回頭して逃げ出していく。
それを確認したサイは機体を操作してタキノが向かった空間へと機首を向ける。
タキノは鼻歌を歌いながら敵艦隊へと最大速度で近づいていくと敵艦隊から実弾での砲撃がされるようになるが、タキノは立体ホログラフに表示されるデータを見ながら、それらを簡単に回避していく。
◇第1艦隊 旗艦艦橋
「何をやっている!たった1機の小型の機体に何を手こずっているのだ!」
「司令!第3艦隊被害甚大!撤退していきます!」
「何がどうなっている!」
「第3艦隊を撃破したのは小型の機体1です!こちらに向かって来ている機体が艦隊最前部の艦艇に取り付きます!」
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17:00にもう1話投稿。
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