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第154話 商業ギルドでの顛末

首都アズラへは水晶に手を翳すだけで入ることが出来た。


中に入るとかなり栄えているのが分かる。道幅は広く取られて道沿いには店が数多く並び活気がある。


見張りの兵士に色々と聞くとこの辺りは平民地区で特に店が多く、商業ギルドも近くにあるという。


まずは商業ギルドに行ってみることにした。


商業ギルドに着く、まずは建物が無駄にデカイ。見上げる程にデカイ。でも建物の雰囲気は悪くない。派手過ぎず、最低限の威厳を感じる装飾だ。


中に入ると目の前の壁に大きな絵が飾ってある。何かの戦争の絵だろうか先頭には平民服を着た男が大きな旗を持って武器を持つ人々を従えて瓦礫の中を歩くのが描かれている。


何か迫力がある。


右を見ると、そこにはカウンターがあり10人程の受付がいる。


真ん中の空いている受付に行くと、


「何か御用ですか?」


受付の女性が声を掛けてくる。


「確認したいのですがこれは使えますか?」


とコウは商業ギルドのカードを受付の女性に渡すが女性は少年にしか見えないコウがカードを取り出して渡した事に疑問を持つが受け取ると魔道具を通した。すると目を丸くして、


「お客様、このカードはお客様の物ですか?」


「そうだけど」


とコウが答えると、


「失礼だとは思いますが確認のためにこの水晶に手を翳していただけますか?」


と疑念を持つような目をして水晶を机の上に置く。問題が無いのでコウは直ぐに水晶の上に手を翳すと受付の女性は目を丸くして口をパクパクしたかと思えば、


「少し席を外します」


と言って受付後ろにある部屋へと入って行く。数分もすると受付の女性は40代くらいの品のある男性を連れて戻ってくる。


「お待たせしましたお客様。これより担当を変わらせて頂きます。変わりました私は当ギルドの副ギルド長を努めるダン・アルイドと申します。失礼だとは思いますがもう一度この水晶に手を翳して頂けますか?」


とコウは言われたので苦笑しながら水晶に手を翳す。その瞬間、副ギルド長は眉間にシワを寄せるが笑顔になりカードを返してくる。それを受け取りコウは、


「何か問題でも?」


と聞くと副ギルド長は少し焦りながら、


「ええとなんと申しますか・・いささか年齢が・・低く見えまして」


と言うとコウの後ろから笑いを堪える気配がする。コウが困ったように


「そ、そうですか」


と答えると堪えきれなかったのかタキノが


「ぶっ」


と噴き出す。コウはイラッと来たが堪えて、


「魔力が多いと長生きすると聞いたことはありますか?」


とコウは聞いてみるが、


「それが?」


と目の前の副ギルド長が返してくる。これにはコウは少しイラッと来て、魔力を抑えている結界を解いて一瞬だが空間が歪む程の魔力を解放する。


すると周りからバタンバタンと人が倒れる音が響き、後ろで


「うっ!」「ぐぅ!」「きゃっ」「うっ」


と声がしてコウの肩に手が置かれる。


「コウ!やり過ぎだ」


サイが声を掛ける。コウもやり過ぎたと感じて魔力を抑える結界をもとに戻し前を見ると、椅子ごと後ろに倒れて泡を吹き気絶する副ギルド長が見える。


数分の間、サイとルカに怒られているとバンっと受付後ろの扉が開き、


「何事だ!」


と初老のダンディな男が声を上げ、辺りを見渡し副ギルド長が倒れているのを発見して頬を叩いて起こすと副ギルド長は目を覚まし、目の焦点が合いこちらを見ると、


「ヒィィ!」


と後ずさる。それをダンディな男が抑えて事情を聞き出すとこちらを見る。そして頭を下げて、


「申し訳ありませんでした」


と謝り、副ギルド長に何かを告げると副ギルド長は慌てて周りの対処をしだす。男は椅子を治して座ると、


「私は当ギルドのギルド長を務めます。ミラノ・アルベルトと申します。本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。


◇商業ギルドギルドマスター、ミラノ・アルベルト


私は1階からかなり上階である20階で書類を整理していたところ、突然に濃厚な魔力が襲った。


「何事が起きた!」


と慌てて席を立って問題が起きたと思われる1階へと魔導エレベーターを使い降りるとそこにはバタバタと人が倒れている状況が見える。


「何事だ!」


と言うも誰も答えないが足元に副ギルド長が口から泡を吹いて気絶しているのが見えたので頬を叩いて起こすと受付の前に座る少年を見て


「ヒィィ!」


後ずさる。とりあえず副ギルド長を抑えて正気に戻し話を聞くとどうやらこちらの不手際だったようだ。それを聞いて直ぐに


「申し訳ありませんでした」


と謝った。これは副ギルド長の代わりに私が対応するしかないと椅子を治して座ると目の前の少年に


「私は当ギルドのギルド長を務めます。ミラノ・アルベルトと申します。本当に申し訳ありませんでした」


と頭を下げた。そして頭を上げ少年を見ると、確かに少年からは魔力を感じない。これは不自然だ。誰しも少ないながらも魔力を持っている。それが全く感じられない。


これは少年の魔力隠蔽が完璧なのだろう。この不自然さを感じられないとは副ギルド長の事は考えないといけないかもしれない。


それにどうだろうか少年の後ろに立っている4人が問題だ。左から人族の魔法師、剣士と多分ハーフドワーフにエルフ。


その4人が発する魔力が半端なく多い。剣士でさえ尋常では無い魔力を発している。このことから見て、この少年は後ろの4人のリーダーなのだろう。


少年の提出したカードの記録を見るとランクはSランクで途方もない金額が入っている。


只者では無い。慎重に対応しなければ、このギルドは疎か国にまで影響があるかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] ひとつの惑星内のみならず恒星系跨いで通用できる商業ギルドカードすげぇw 資産を担保する信用通貨は「クレジット」とかかな?
[一言] これは商業ギルドの技術が元の原初の船から部分的に開発され、奇跡的に星間まで影響がありそうね
[気になる点] 星間で情報共有出来るとはかなり高度な技術 その割に船間の通信できないのね 単にカード内に記録され出るだけだったり
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