第149話 宇宙生命体
タキノは新たに拡張された空間に設置された森林公園にあるジョギングコースを日課にしているランニングをしていた。
身体強化などは使わずに素の体力の強化維持のために走っている。タキノが走っているジョギングコースの脇には小川が流れ、森林浴によるマイナスイオン効果もあって気持ちの良い運動となっていた。
この森林公園には鳥や小動物、昆虫類も放されている。そんなコースを走り抜けて、程良い汗をかいたタキノは寮へと入っていく。
エントランスを抜けて食堂を通過する。チラリと厨房を見ればルカが料理ポッド達と何やら作業をしているのが見える。
タキノは意識を前方へと向ける。この先には大浴場がある。汗をかいたタキノは大浴場で汗を流そうと思っていた。そこに・・
「待ちなさい!」
「待たないー!」
「目が痛いの」
「にゃはは」
と前から聞こえたかと思うと大中小の子供の獣人3人が浴場からスッポンポンで出てくると、その後を13歳位の人種の女の子が、これまたスッポンポンで出てくる。
タキノは思わず立ち止まるが女の子は・・
「きゃーー!」
と顔を真っ赤にしてその場に蹲ると
ゴン!
と音がして
「イテェ!」
とタキノは頭を抑えて蹲る。タキノが後ろを振り返ると
「この変態!」
とルカがフライパンを持ち汚い物を見るような目でタキノを見る。
「おい!不可抗力だろうが!」
とタキノは言うがルカは
「変態ね」
と言うとルカの後ろからヘルミナが現れて
「やっぱり変態なのね」
とこれまた汚い物を見るような目で言う。
この寮にはコウ、サイ、タキノ、ルカ、ヘルミナと救助された子供4人が住んでいる。他に助かった初老の二組の夫婦とそれを補佐するために、獣人の12歳の幼馴染である2人の男女の子供がサポートで他の場所で暮らしている。
初老の夫婦の住居は基本3LDKの平家で、そこに夫婦と獣人の子1人が住んでいる。それが2棟並んで建ててある。裏庭には小さな畑もあり、少ないが簡単な野菜を育てている。
航行も順調であと3日程で目的の星域に到達する。
食堂で休んでいたコウにナブから連絡が入る。
『マスター、異常事態を確認しました』
「何が起きた?」
『はい、この星域に存在していた目標の星が存在しません』
「どう言うことだ?」
『目標の星が存在していたと思われる場所にはデブリ帯が存在しているだけです。何らかの事情により星が無くなったと推察され、デブリ帯はその残骸だと思われます』
「原初の船の反応はどうだ?」
『それはデブリ帯の中に反応が確認されました』
「了解した。まずは原初の船との接触を優先しよう」
『はい、マスター』
数日をかけてデブリ帯の前に到着したコウ達は、デブリ帯の中に存在している原初の船へと探査ポッドを放ち、原初の船との接触に成功する。
発見された原初の船は移動機能を喪失していたがAIと拡張空間機能は無事であった。すぐさま回収されると、この星で何があったのか判明する。
“宇宙生命体“
それが星を襲い、ありとあらゆる資源・エネルギー全てを貪りくわれて破壊されたと言う。その“宇宙生命体“とはナブの記録によると古代でも確認されているという。
それは特に意志を持たずにただ単に増殖するために星を食い尽くす宇宙害獣であると。その形態や生態は未知で、知られているのは低級・中級・上級の宇宙害獣が確認されており上級の相手をした古代人も討伐するのに多大な損害を出したとあった。
原初の船の記録には約500年前に低級の宇宙害獣3000が来襲して星を滅ぼしたとあった。この記録によりナブは古代の記録から、宇宙害獣はもしかしたら近場の星域にて取り込んだエネルギーや資源を使い、休眠して増殖作業に入っている可能性があるとコウに警告。
それによりデブリ帯を中心にして多くの探査ポッドで探索する事に決定した。
『マスター、宇宙害獣と思われる反応を確認しました』
とナブがコウに告げるとコウの目の前に反応があった場所が3Dホログラフで表示される。
「近いな」
『はい、危険な状態と思われます』
「我々で対処は可能か?」
『精査します・・・・可能と思われます』
「殲滅しよう。ナブ、作戦を立案してくれ」
『はい、マスター』
お読みいただきありがとうございます。
今日からGWです。5月8日まで毎日投稿いたします。ええと、コウは少佐にはなりませんでしたが機体の色は赤いようです・・・。
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