第145話 リンドルンガへの帰還と出発
コウ達5人は途中でヘルミナの魔法特訓や、ヘルミナの得意な弓を披露され見るなど道中して港町に無事到着。
その後は船から飛空挺に乗り継いで今は空の旅となっている。
飛空挺のラウンジではルカはバーカウンターの内側に立ち、ヘルミナはそのバーカウンターの椅子に座り2人で会話している。
サイはコウが集めていた古代書をナブが翻訳して製本した物をソファーで読んでいる。コウもサイの向かいのソファーでナブが古代技術を纏め製本した本を読んでいる。
タキノは屋上デッキでせっせと結界を作って走って、風魔はその周りを飛んでいる。
今は平和なひと時だ。
3日後にはリンドルンガ上空にある天空の島に到着。コウは同行している4人を紹介しヘルミナをエルフに会わせて両親の行方を探ったり、リンドルンガに降りて領主や冒険者ギルドに挨拶するなどした。
サイ、タキノ、ルカが暇そうにしていたので前々からナブと相談していた古代技術を使ったソーサリーアーマーのベース機体を4機作成。それを試験の為に暇な3人に試運転を依頼、3人は嬉々として魔物狩りに出掛けてはナブと調整を続けてアーマーのブラッシュアップをしていた。
4機目のベースアーマーはエルフとの話が済んだヘルミナに与えられてサイ達3人に合流した。
ヘルミナに関してはリンドルンガにいるエルフ経由でヘルミナの両親を探して貰うこととなったようだ。
コウはリンドルンガにある自宅でまったりとしている。
暫くすると呼び鈴が鳴る。
誰だろうかと扉を開けると、
「おう!久しぶりだな」
と満面な笑顔の銀狼の咆哮のウリル。
「久しぶり!」「久しぶりだな!」
と笑顔のダリスとランガも続く、それを確認したコウは笑顔で扉を閉める。
呼び鈴が連打されてコウが扉を開けるとドドっと銀狼の3人がガレージへと入ってくる。
「3人とも久しぶりですね」
とコウが笑顔言うと、コウは3人に揉みくちゃにされる。するとまた呼び鈴が鳴り扉を開けると嬉しそうにしながらも目尻に涙を溜めるマリオさん。
「げ、元気でしたか」
と涙を堪えながらマリオさんは言う。
「ええ、元気でしたよ」
とコウは笑顔で答える。その後はそれぞれの今までの事を酒を飲みながら夜遅くまで語り明かした。
翌日は発展し続けているリンドルンガの町を散策して久しぶりに雑貨屋で古代書を買ったりと過ごした。
そんな生活を数日過ごしたある日、エルフの国から連絡が来ると内容は、なんとヘルミナの両親が見つかったという。
それを聞いたコウはヘルミナを呼び出してエルフの国からの話を言うと急遽、飛空挺を用意してエルフの国へと飛んでヘルミナと両親は再会した。
ヘルミナの両親は特に感動も何もなく、ただ久しぶりという感じでヘルミナもそんな対応に困惑しながらも再会を終えた。
両親がそんな対応だった為、ヘルミナは今後もコウ達と行動を共にする事に決めてリンドルンガに帰還した。
その後はコウも自分のソーサリーアーマーで4人と合流して狩などをして過ごし、宇宙へと進出する事を睨んで宇宙船の改造をナブに指示。
内容は3000人収容出来るスペースを100人程度に縮小、余ったスペースには農場、畜産、魚介類の養殖場、演習場、訓練場を作成する事を指示した。
更に仲間であるサイ、タキノ、ルカ、ヘルミナの要望と特性を盛り込んだ上での宇宙対応のベースアーマーを改良したアーマーも作成を指示。
勿論、コウの新規アーマーも作成する。
宇宙船の設備にアーマーのシュミレーション設備も複数人数対応の物も作成する事もナブに指示した。
数ヶ月が過ぎた頃には宇宙船の改修は完了。コウは領主を始めとした人達に長期旅に出る事を告げる。
「さて行きましょうか。ナブ、発進してくれ」
とコウは宇宙船のコントロールルームでナブに命令。コウを中心にして周りには新たに用意された座席にサイ、タキノ、ルカ、ヘルミナが座る。
『マスター、了解です。発進します』
とナブが答えると、なんの衝撃もなく宇宙船は上昇を始める。コントロールルームの全周囲モニターにはリンドルンガが段々と小さくなっていく光景が映し出される。
数分もしない内にリンドルンガがある大陸の全体が見え、それも小さくなっていく。そして大気圏を抜けて宇宙へと到達する。
サイ、タキノ、ルカ、ヘルミナの4人はモニターに映し出される光景を口を開けて眺める。
「ナブ、目標は?」
『はい、マスター。ここから一番近くにある私と同じ宇宙船が行ったと思われる星を目指します』
と同時にホロ画像の宇宙図が浮かび、その星までの航路が示される。
「分かった。あとは任せる」
『はいマスター』
ナブの返事と共に宇宙船は星の軌道を外れて目標の星へと向かっていく。
◇銀狼の咆哮のリーダー ウリル
俺たち銀狼の咆哮の3人は冒険者ギルドからコウがリンドルンガに帰還したと言う情報を得てリンドルンガに向かいコウと再会した。
コウは変わり無かった。
容姿はだが、何故か初めて出会った時と同じで12、13歳の容姿だ。そしてマリオさんも合流して夜遅くまで話をした。
何だろうか。コウは変わった。いや、元に戻った?
コウと出会ってからコウは少しづつ自分の殻に閉じこもりがちになり、その口調までもが変わっていった。
それはそうだろう、リンドルンガに来るまではコウは爺さんと2人で魔の森で暮らし、それが突然世間に晒されたんだ。
それも人の命が安い世間だ。無理も無い。
特に敵対するものには容赦無く殲滅した。汚物のように。盗賊や命を狙う者に容赦ないのは良いがコウの心は少しづつ擦り切れていくようだった。
それが再会したら変わったようだ。良い方向に。
旅をすることによって経験を積み、いろんな人と出会い別れて、話のよると一緒に旅をする仲間ができたそうだ。それをコウは嬉しそうに語る。
そんな話を聞いた俺は少し悔しかった。出来れば今目の前で嬉しそうに笑顔で語るコウに俺たちが戻してやりたかった。
でも良かった。こんなコウが見れて。何時迄も笑顔なコウでいてくれ。
俺たちは死んでもお前の味方だ。
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