第143話 終焉
ゴン!ゴン!
とフライパンの音が鳴り響く。
「ぐっ!」「クウっ!」
とサイとタキノは頭を押さえて蹲る。
「おい、お前!今戦闘中だぞ」
「こんな時に何を」
とタキノとサイが抗議するが、
「あんた達こそ戦闘中なのを分かっているの!」
とルカは取り合わない。
「ホホ、コウの仲間は愉快じゃのう。あの異形は相当の力を有するのじゃが」
とグリフォンは笑うとコウは、
「はは、愉快な仲間達ですね」
と力無く笑い肩をすくめる。
「じゃが良い仲間じゃ」とグリフォンは頬を緩める。そこに、
「ガガァ!」
と異形が咆哮。その傷が治り始めるが初めと比べて深手なのか治りが遅い。
「さて我も仕事をするかの」
とグリフォンが言うと
「ガア!」
とグリフォンが咆哮すると異形は硬直してその動きを止める。そこにコウの数十の火の槍が異形を襲う。その火の槍が着弾。
ハリネズミの様に火の槍が数十刺さり、
「ガアァァァ!」
と苦しそうに異形は咆哮した瞬間に異形に刺さった火の槍が爆発。
「ガガガアアアア!」
と異形は大きく苦しみながら咆哮するとズシンと倒れる。そして異形はもがき、もう目が見えないのか錯乱しているのか倒れながらも腕を振り回した所にいた教皇を偶然掴み取る。
「何をする!私が召喚したのだぞ!」
と教皇は言うが異形は構わず教皇を口に入れて咀嚼する。すると教皇の生命を吸収したのか異形の身体が赤黒く光りその身体を修復していき、
「ガアア!」と吠えながら立ち上がりコウ達を睨み、更に大きく赤黒く身体を光らせるとコウ達に突進してくる。
タキノはそれを見て駆ける。先ほどよりも速く!速く!
そのタキノを打ち払わんと異形が腕を振るう。そこにサイが3重の結界で妨害。結界は全て割られるが異形の腕の速度を大きく減速することに成功。
タキノは異形の懐へと到達して、
「シッ!」
と抜刀。刀は異形に到達するも強化されたのか先程とは違って深手を追わせることは出来ない。
「ちっ!硬くなってやがるか!でもな」
とタキノは異形の横をすり抜けると反転して再度異形の懐へと迫る。
「今度はさっきのとは違うぞ。シッ!」
と異形の懐に入り込み抜刀、その刀は緑に光り風の属性を帯びている。異形の皮膚に刃が当たると何も抵抗が無いように滑りと刀が異形の身体へと入って行く。タキノはそのまま横を通り過ぎて数メートル異形から離れた所で停止して納刀して振り返ると、
「ギャアアアァァアアアア!」
と胴体を半ば切断されて血を噴き出す魔物見る。その大きく切られた異形の傷にサイの火球が20着弾して追い討ちをかけ、グリフォンが翼を広げて飛翔して異形の頭を掴み捻って持ち上げて投げる。
そしてルカがその異形を結界で包むとコウの火魔法が結界内で爆発炎上。異形の身体を消し炭に変える。
サイとタキノは大きく息を吐くと、
「やったな」
と拳を合わせる。グリフォンは異形が消し炭になったことを確認して、
「ワシは必要じゃったか?」
と呟くとコウが、
「勿論ですよ。私達ではあれらがどう言うものかも分かりませんでしたからね」
「そうかの。ではワシは行くとするかの」
と言って羽を広げて飛び立ち窓を突き破り飛び去っていく。それを見送り、
「行きましょうか」
とコウがサイ、タキノ、ルカに声を掛けると、
「腹が減ったな」とタキノがいい、
「そうだな、減った」とサイが同意する。
「では何処か良さそうな所で食べますか」とコウが言うと、
「そうね。私に心当たりがあるわ」とルカが返す。コウはニコリと笑い、
「ルカに任せます」とルカを先頭にして大聖堂を後にする。
大聖堂を出た所で風魔がコウの肩に降りてきて頬を擦り付ける。
「終わりましたよ風魔」
とコウが風魔の頭を撫でると風魔は「そうなの?」と喜ぶように
「キュウ」と優しく鳴く。
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