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第142話 異形

「馬鹿な」と教皇は立ち上がり、


「これでは私達の寿命が終わってしまう」とグリフォンとコウ達を見る。


「お前らだ!お前らが元凶だ!何が神の眷属だ!神に会った事があるだと!そんな物で我々が築き上げて来た物を破壊するとは!愚かだ!あまりにも愚かすぎる」と教皇は激昂する。


「それは偽りのものだ。人の命の上に成り立っていた虚構。それに人類が築き上げて来た文明を幾度も破壊したお前達の罪は重い」とグリフォンは冷静に反論。


「くっ!」と教皇はグリフォンを睨みつけると、


「まだだ!まだ終わってはいない!ははは!ここに良い生贄どもがいるではないか!司教よ!こうなっては仕方ありません。最後の切り札を切るとしましょう!」と両手を広げて狂ったように教皇は司教に言う。


「はっ!畏まりました」と司教は懐に手をやり拳大の魔石らしき物を手に持つと腰にあったナイフを引き抜き自分の喉元に当て描き切る。


「グフっ」と司教は言うと喉から血が流れてその血が魔石らしき物を濡らすと光出す。


「まだそんな物があったか」とグリフォンが呟くと、


「あれは?」とコウがグリフォンを見て問いかける。


「あれも古に作られた最悪の物だ。異界から異形を呼び出す。そしてその異形は人々を殺し続けて最後にその魂を喰らいその魂を召喚した者に与える物よ」とグリフォンは光り輝く魔石らしきものを忌々しそうに見る。


そこで魔石らしき物は大きく輝きを増したかと思えば収束すると教皇が近づいてその魔石らしき物を手に取る


「ははは!出よ!そしてこの愚か者どもを喰らうのだ!」と教皇は狂ったように叫ぶ。


すると教皇の頭上の空間にヒビが入りパリーンと言う音と共に空間が割れると黒く禍々しい足が出て更に空間を押し広げるとその体躯を現す。


体高は6m、全身は真っ黒で目だけが赤く、頭部には角が2本生えている。その異形がグリフォン達を見るとその大きく裂けた口の広角を上げる。


「行けるかコウ」とグリフォンは異形から目を離さずコウに聞くと、


「いけます」とコウも異形から目を離さずに答える。


「後ろの者達は?」


「行けます。柔な仲間達ではないです」とコウは笑顔で答える。そう言われたサイ、タキノ、ルカの3人は異形から放たれる圧力に屈する事なく戦闘態勢に入る。


「面白いじゃねえか」とタキノが言うと、その横でサイが呆れた様に溜め息を吐き、


「ただ突っ込むのだけは勘弁しろ」


「フンっ、先ずは一当てしてくる」とタキノは走り出す。サイはいつも使わない杖を収納から取り出すとタキノに向ける。


「ルカ、結界を張って下さい。俺はタキノの援護をする」とサイが言うと、


「しょうがないわねえ」と結界を張る。


タキノは思う。“面白い“と。その顔には笑顔を貼り付け悲壮感は無い。そのタキノが身体強化を掛けて異形へと駆ける。そして


「シッ!」


とコウが作った刀を抜刀。その剣先を異形の手が打ち払おうと振られるがそこにサイが張った結界が妨害。そしてタキノの魔力の通された刀が異形の胴体へと到達する。その瞬間、


「グアアアアァァァ!」


と異形が吠える。その胴体には深く傷が刻まれタキノはニヤリとして更にタキノは加速する。瞬き一つで見失う。そんな早さで駆けるタキノは異形へと再接近。一撃目よりも魔力を込めて、


「シッ!」


と一度納めれた刀を抜刀。異形はまたもその手で打ち払おうとするも、サイの結界で再度拒まれるが後ろへと回避に成功する。タキノは、


「チッ」


と舌打ちして一度後退。


「ほう、ヌシの仲間もやる様じゃの」


とグリフォンは目を細める。


「ええ、自慢の仲間ですからね」


とコウは気楽な感じで答えると異形が、


「ガガァ!」


とひと鳴きするとその身体が赤く発光。見る見るうちにタキノの付けた傷が塞がっていく、


「めんどくせぇ奴だな」


とタキノがサイの横に来て言うと、


「タキノよりはマシですよ」


とタキノを見ずに言う。


「何おう」とタキノが言うが異形は待ってくれずに口元に魔力が集まり始め、一気に口を開くと赤黒いブレスを吐き出す。


そのブレスがコウ達に到達するも結界で難なく無傷。それを見た異形は何やら停止するとその身体に魔力が漲るのが見える。そして、


「ガガァ!」


と咆哮すると全身が赤黒く発光し突っ込んで来る。その突進をコウは5重に張った結界で受け止めるとパリーンパリーンと2枚の結界が破壊されるが異形を受け止めることに成功する。その止まった異形へとタキノが走る。


「シッ!」


とタキノは抜刀。先程の焼き直しの様に異形がタキノを打ち払う為に手を振りサイが結界でそれを防ごうとするも、


パリーン!


と赤黒く光る異形の手に打ち払われてタキノへと迫るが、間一髪でタキノは結界のせいで少し遅くなった異形の腕を掻い潜る。その振るわれたタキノの刀は異形の胴体を深く切り裂いた。異形は苦悶の表情を浮かべてタキノを睨む。


そのタキノは直ぐに後退。そして、


「あ、危ねえじゃねえか」


とサイに抗議するもサイは


「お前の足が遅いのは分かった。次は結界の枚数を増やしてやるぞ」


と満面の笑顔でタキノへと答える。そこに、


「あなた達!真面目にやりなさい!」


とルカの声が飛ぶが、


「「へいへい」」


と2人は仲良く答える。 

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 司教は「最後の手段」である悪魔召喚魔石を いつも持ち歩いているのだろうか?
[一言] ………………コウたちはいつから勇者になったのかな? いや、やってることがまるで勇者だなぁと思ったので。
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