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第140話 マグノリア聖教国

ドワーフの宿の食堂で食事をしたが、これがまた不味かった。サイとタキノは顔を顰め、ひと口食べただけでフォークを置いた。


「無理だ」


とサイが呟き、サイもフォークを置く。それを見た女将が、


「口に合わないかい」と聞いて来たので、


「あまりに不味くて」とコウが言う。それを聞いた女将は顔を顰めて奥に引っ込むと料理を作ったと思われる男が女将と共に出てくる。


「お前らか俺が作った料理を不味いと言ったのは」と出てきた男が言ってくる。それにサイが


「こんな不味いものは初めて食った」と顔を顰めてタキノも、


「本当に吐きそうだ」と苦い顔をする。


「俺は中央でも名高いレストランで修行してたんだ、俺の作った料理が不味いわけが無いだろう」と怒り顔だ。


「お前、本気で言っているのか?」とサイが言い、タキノが


「こいつ舌がおかしいんじゃないか」と男を馬鹿にしたように言う。


「ふざけんな!それならお前ら何か料理を出してみろ」と男が言うとサイとタキノはコウを見る。コウは溜息を吐くと収納からボア丼を出す。


「とりあえずコレを食べてみて下さい。あなたの料理よりはましです」


すると男はボア丼の蓋を開けてレンゲでひと口食べて固まる。


「こ、これは」と言って動き出して残りを食べ切る。そして、


「すまんかった。俺はこんな美味い物は食った事がねえ。どうやったらコレが作れる」


「これは私がいた町では誰でも食べれる物で大した物では無いですよ」とコウが言うと、


「これが誰でも食べれる・・・」と男は絶句してしまう。それを見ていた女将とルカと呼ばれた少女も近くに来たので2人にもボア丼を出してみた。それを食べたルカは、


「美味しい」


と目を輝かせて完食した。そんなこんなで今日の所はその宿に泊まり翌日の朝に第2級民地区へと向かうことにした。


朝になり宿を出て村を出るとハーフドワーフの少女ルカが鍋を被り、背中には大きな風呂敷を担ぎ、右手にフライパンを持って、


「私も連れて行って下さい」と頭を下げる。それをみた3人はお互いの顔をみて困り、コウが


「私達の旅は簡単な物でも無いですよ」


「はい、構いません」


「どうしましょうか」とコウはサイとタキノをみると、


「いいんじゃねえか」とタキノが言いサイも


「ここにいても良い事もないでしょうし」と言う。


「そうですか分かりました。一緒に旅をしましょうか」


「ありがとうございます」とルカはお辞儀をする。


「では行きましょうか」とコウを先頭に第2級民地区の門へと向かう。第2級民地区へは簡単に入ることが出来た。コウが他国の貴族でサイとタキノが護衛でルカは付き人として入った。


ここでコウの提案によりルカに自衛の為にも数日掛けて魔法を教える事になった。まずは無魔法の結界から始めて属性魔法や無魔法の応用まで及んだ。


その結果、ルカは特に無魔法を習熟して強固な結界が張れる様になった。属性魔法も火、水、風、土の4属性が使えるようにはなったが、攻撃魔法は得意ではなく回復魔法といった補助的魔法に才能を表した。


特に才能を発揮したのは無属性魔法による解析だ。何とルカは無魔法により相手の張った結界を解析して、その結界を中和することができるようになった。その結果、


ゴン!ゴン!


「痛えな!」「何すんだ!」とサイとタキノが頭を抑えて蹲る。


「何すんだはないでしょう!料理をつまみ食いするからじゃない!」とルカは右手にフライパンを持ちサイとタキノに説教する。


これも後で分かった事だがルカの年齢はコウは勿論の事、サイやタキノよりも年上だった。人種よりも長命なドワーフの血を引いているせいか若く見えていたようだ。


「くっ!あいつ簡単に結界を抜いて来やがる」とタキノは頭をさすり、


「こうも簡単に結界を破られると自信をなくすな」とサイも頭をさする。


ルカは気を取り直し結界で作ったキッチンで料理をする。コウの指導の下、ルカはかなりの料理の腕前となっている。


食事の後、コウは3人に話をする。


「ルカも大分、魔法の腕も上がりましたしそろそろ旅を再開しましょうか」とコウが言うと3人は頷く。


翌日、ルカの魔法を鍛える為のキャンプ地を引き上げて第2級民地区の街道を中央に向かい歩く。時折、風魔が上空を旋回して辺りを警戒している。


半月を掛けて街道を進み、マグノリア聖教国への入り口となる門へと辿り着く。


コウ達は第2級民地区に入ったように簡単に入国を許された。門を抜け街並みを見ると、


「これはかなり栄えていますね」とコウ。


「そうだな今までとはかなり違うな」とサイが答え、


「いろんな人種がいるみたいだな」とタキノのが辺りを見渡しながら言う。


「・・・・・」ルカはコウの後ろに隠れて辺りを警戒している。


「まずは宿を取りましょう」とコウを先頭にして良さそうな宿を探すと小綺麗でセンスが良さそうな宿を見つけて3人部屋1つと1人部屋を1つ借りる。


コウは部屋に入ると多くの人が歩く窓の外を見る。


「明日からはどうしましょうか」と呟くとサイが


「例の件を調べるのか?」と聞き、


「魔法陣が何たらという件か?」とタキノがコウに向けて言う。


「そうですね。まずは教会を調べましょうか」とコウが言うと2人は頷く。 

お読みいただきありがとうございます。


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