第138話 上陸
数日掛けて飛空挺で空の旅をしている。その中でサイとタキノは飛空挺の操縦に興味を持ったらく現在はサイとタキノが交代で操縦の訓練をしている。
今操縦しているのはタキノのようだ。そのタキノが
「コウ!陸地が見えるぞ」
と声を上げる。コウとサイが駆けつけると目の前に大陸がうっすらと見える。
「着きましたか。ではタキノ、海面スレスレまで降下してください」
「了解だ」
とタキノは嬉しそうに操縦して飛空挺を降下させていく。暫くすると海面スレスレへと近づき飛空挺を停止させ、コウは収納から船を出すと3人で乗り移り飛空挺を収納する。
「では行きましょうか」
とコウは船を操船して大陸へと移動し数時間で海岸線へと辿り着き港がある場所を探しながら海岸線を横に見て移動する。
暫く移動すると小さいながらも港が見えて来た。その港に船で乗り付けると船を降りて船を収納する。
「人がいねえな」
とタキノが言いサイも
「何やら寂れていますね」
と言う。コウは辺りを見渡して歩き始めるとサイとタキノも後に続く。港を抜けると村に入るがここもひと気が無い。
「あちらに道がありますね。行ってみましょうか」
とコウが言い。
「とりあえず行きましょう」
とサイが言うとタキノも頷く。道に出ると道はそれ程悪くない。どうやら最近になって村は放棄されたようだ。
道を進む。
半日程歩くと日が傾き野営をすることにする。適当に開けた場所に焚き火を焚き、夕食の準備をする。タキノとサイは適当な場所でマットを敷いて寛いでいる。
「準備できましたよ」
とコウが言うとタキノとサイが起き上がり夕食を受け取り食べる。今日の夕食はボアハンバーグ弁当だ。勿論、ビール付きだ。
「久々の陸地は落ち着くな」
とタキノが言うとサイも、
「ああ、安心する」
と焚き火を見ながら目を細めてビールを飲む。
「ふふふ、地に足が付いていないと落ち着きませんか?」とコウが笑いながら言うと、
「そうだな。落ち着かねえな」
とはタキノ。サイはそれに頷きながら、
「流石に何日も海や空の上だと体が鈍るな」
「では宇宙には行けませんね」
とコウが言うと、
「宇宙とは何だ?」
とタキノが返すとコウは上を指差して
「空のもっと上ですよ。そこには考えられない程広い空間が広がっています」
「それはどんな場所なんだ?」
とサイが質問してコウが
「今私たちが立っているのは星です。丸い球体です。その星が幾つも存在しています」
とコウは夜空を見上げ、
「ほら見えるでしょう星が輝いています。あれ一つ一つが星です」
タキノとサイも夜空を見上げ、サイが
「行けるのか?あの場所に」
「はい、行けますよ。私はこの大陸を見た後は行こうと思っています」
とコウが言うとタキノが、
「面白そうだな」
とニヤッと笑う。そこにサイが
「タキノはまた落ちるなよ」
「うるせえ!」
とタキノは言い、そっぽを向く。そしてサイはコウに顔を向けると
「宇宙か。どうやって行くんだコウ」
「それはまだ秘密です」
とコウは笑う。
翌日の朝、3人は道を3時間ほど歩くと村が見えて来る。煮炊きの煙が上がっている事から人がいるのは間違いない。
「どうやら今度は人がいるようですね」
「そうだな。楽しみだ」
とタキノが笑い。サイも楽しそうに歩く。
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