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第135話 刀

コウ、サイ、タキノの3人は生きている兵士を集めて縄で拘束して転がしている。勿論、豪奢な鎧の者2人も同じく縄で拘束して転がしている。


数時間が過ぎるとウの国の兵士が急ぎやってきて現状を確認する。そこにウの国の兵士を束ねる者がコウ達の前に現れる。


「すまんが、その方達がこの者達を捕らえたのか?」


と聞いてくるのでコウが、


「はい、突然襲われたので反撃して一部拘束しました」


と答える。


「うむ、助かった。見たところ旅の者か?」


「はいそうです」


とコウは答える。


「事情が確定次第になるが些少ではあるが報償がでる。それまでこの街に残っていて欲しい」


と兵士を束ねるものが言う。


「はい、私たちも採掘を目的に来ているので採掘でもして時間を潰します」


と答えて3人は鉱山へと向かう。鉱山では採掘料を払いコウの鑑定を使い効率良く鉱石を採掘して剣を2、3本作成できるくらいは採掘できたので宿へと戻る。


宿でダラダラとしていると兵士を束ねていた兵士と共にお偉いさんが来て報償が入った皮袋を置いていった。


これで用事は済んだが夕方近くなのでこの日は移動せずに宿に泊まることにする。コウはタキノの要望を聞きながら剣を作成していく。サイとタキノは鉱石から鉄や微量のミスリルを宙空で抽出する様を口を開けて見ている。


徐々に形になり一瞬光ると刀身が完成する。波紋が細かく入り反った刀身はいかにも切れると主張している。ミスリルが混ぜられた鉄は鈍く光り魔力を薄く纏う。それを見たタキノは唾を飲み込み、


「これは剣か?」


と聞くとコウは、


「これは刀と言います。タキノが今使っている剣が叩き切る剣なら、この刀は切れ味鋭くスパッと斬る剣です」


と言うとコウは拵えを作り完成させる。完成したそれをタキノへと渡す。受け取ったタキノはスラリと鞘から刀を抜くと部屋の明かりであるランタンに翳す。


翳した刀はランタンの淡い光りを受けて波紋が光る。それを見たサイが、


「綺麗ですね」


とコウに言うと、


「ええ、私が作った物の中でも大成功の部類です」


とコウは言う。そしてコウは収納から木を取り出して木刀を作る。


「タキノ、練習にはこれを使って下さい。その刀とほぼ同じ重さです」


とコウはタキノに木刀を渡す。タキノは刀を鞘に仕舞い壁に立てかけると木刀を受け取り重さを確かめる。


「うん、これはいいな」


とタキノは言い部屋を出ていく。


「ふふ、タキノは元気ですね」


とコウが言うとサイは、


「俺はタキノの気持ちがわかるような気がするよ。使いたくてしょうがないんだろう」


と微笑む。コウもふふと笑い、


「サイ、一杯飲みましょうか」


と机にビールとつまみを出して乾杯する。1時間もするとタキノも戻り3人で飲み日を跨ぐまで騒いだ。


翌朝には宿を出て旅に戻る。鉱山都市を出ると風魔がコウの肩に止まり頭を擦り付けて甘える。


「風魔、構えなくてごめんよ」


とコウは風魔の頭を撫でる。少しすると風魔も気が済んだのか羽ばたいて上空を旋回する。


今日も良い天気だ。


ウの国を抜けること数日、次の国に入る。この国はマの国だ。この周辺では比較的大きな国で活気もあるという。コウは何か気になるのかタキノへと質問する。


「タキノ、そういえば馬を見かけませんがどう言う事ですか?」


と聞くと、


「ああ、馬か。馬は貴重でな、国でも相当偉い者でないと持つことは出来ん」


とタキノは答えると、


「荷馬車を引いてるのはあの灰色の牛なのですね」


と目の前を荷馬車をゆっくりひく灰色の牛を見る。


「そうだ、あれはグレーカウと言って元は魔物だったらしい」


とタキノは答える。


マの国も数日で抜けて海に面した国、ガの国に入る。ガの国の港へと向かい数日、海が見えてくる。


キラキラ光る海面を高台から眺める。眼下には港町が広がり風に乗って潮の香りがする。


「もう少しですね。いきましょうか」


と3人は港町へと歩いて行く。 

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