第133話 平和ですね
「貴様!許さん!」
と剣士のリーダーがサイに斬りかかるがサイはヒョイと横に避ける。そこに他の3人もサイに斬りかかるがサイは全て避け切って、
「ヘボ剣士の剣は遅すぎるな」
とサイが言うと、4人の剣士は顔を真っ赤にして雑に斬りかかる。サイはそれら全てを涼しい顔で避け切ると剣士4人は肩で息をしている。
「ハエの方が速そうだな」
とサイが煽ると4人は一斉に切りかかるが、今度は避けることはせずに全て結界で受け切る。
「もう終わりですか?では今度はこちらから行きますよ」
とサイは言うと頭上に20の火の玉を浮かべる。それが4人に1人4つの火の玉が襲い掛かると4人の剣士は青い顔をして尻餅をつき目を瞑る。
4人の剣士が目を開けると火の玉が4つづつ剣士を囲みゴウっと音を立てて浮いている。それを見た4人の剣士は、
「ヒィィィ!」
と悲鳴をあげる。それを見たタキノは、
「チッ!また魔法の数が増えやがった」
と呟き苦い顔をする。そしてサイは、
「これで分かりましたかヘボ剣士さん達」
とニコリと笑いながら言うと火の玉を消し去る。それを確認した4人の剣士は直ぐに立ち上がり這々の体で立ち去る。サイは振り返り、
「田舎剣士程ではなかったな」
とタキノを見て言うと、
「ほざけ!」
と苦い顔をしながらプイッと横を向くが何やら嬉しそうだ。
「ではいきましょうか」
とコウが声を掛けるとタキノを先頭にして宿へ向かい3人部屋をとり部屋に入る。
「夕飯はどうしますか?」
とコウが聞くとサイが、
「さっきので疲れたから、ここでコウの飯を食おう」
と言うとタキノも了承したので適当に机の上に唐揚げ、ハンバーグ、ソーセージ、フライドポテト、漬物、卵焼き、サラダなどを出してビールを配る。
3人はプルタブを開けてビールを煽る。
「うめえ!」
とタキノ言い。それにサイも頷く。それからは色々とつまみつつコウが間に入り話をしていく。楽しいひと時はあっという間に過ぎて日を跨ぎそうになる頃に就寝した。
翌日はタキノの案内で町を巡るが特に何もない。3人で話し合った結果、この国を出て他の国を観に行くことにする。勿論、タキノも同行する。もう1泊して翌朝には町を出る事にした。
1週間かけて道を進むと次の国へと入る。
この国の名前はウの国。国境を抜けて進むとウの国初めての街へと入る。この国は中堅の国でイの国よりは大きい。そしてこの町は国境の町として置かれている。
この町の雰囲気はイの国と変わら無い。特産物もないし戦略的意味も乏しい。次の街は鉱山都市に分岐する道があることで栄えているのだとか。
という事で翌朝にはこの町を出発して次の町を目指す。
1時間ほど道を進むとサイが反応。
「コウ、道の両脇に盗賊がいる。数は・・・30か?」
とサイが言うとコウが、
「そうですね正確には32です」
と答える。それを聞いたタキノは獰猛な笑顔で1人道を駆けて行く。のんびりとサイとコウが歩いていくと既に盗賊32人は事切れており、タキノが丁度良い石の上に座っている。
コウとサイは魔法で盗賊の死体を片付けると3人は何事も無かったように歩き始める。頭上では風魔が旋回している。
また途中でサイとタキノの口論が始まり模擬戦へと突入していく。今回の模擬戦はサイに軍配が上がったらしくサイがご機嫌で戻ってくると、その後ろから苦い顔をしたタキノが歩いてくる。
コウは2人にお茶を出す。2人は無言でお茶を飲むとタキノが立ち上がり、何事かブツブツと呟きながら素振りを始める。
1時間もすると何か納得いったのかタキノが戻り次の街へと歩き出す。その後は何事もなく次の街に到着する。
到着したのが夕方とあって宿を取ると宿を出て適当な料理屋へと入る。そこは賑わっていてそこそこの料理がでた。
内容はステーキにジャガイモの蒸して塩を振ったものと野菜たっぷりのスープがでた。それにエールを頼み乾杯して食事を開始する。
サイとタキノはガッツいて食べてステーキのお代わりをする。コウはゆっくりと味わいながら食べてエールを楽しむ。
すると店の奥にあるステージに何人か楽器を持って上がり演奏を始める。陽気な曲が流れ少しすると客がステージの前で踊り出す。それを観た客が歓声をあげると祭りのように騒がしくなる。
コウはそんな喧騒を眺めながら、
「平和ですね」
と呟くとタキノが聞き取ったのか、
「それはつまらねえな」
と言う。それを聞いたサイが笑い、
「まぁ、コウがいるから何かしら巻き込まれるから安心しろ」
とタキノに言うとコウは渋い顔をして、
「今回は何も起きませんよ」
とフラグを立てる。
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