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第132話 サイの覚醒

サイは悩んでいた。


コウからタキノに魔法を教えてくれと言われ渋々ながらも了承した。タキノも憎まれ口を叩きながらも魔法に関しては素直に習い、スポンジが水を吸収するが如く習熟していった。


教える方も楽しくなり色々と教えていったが、ある模擬戦からタキノが勝ち越すことが多くなっていった。


このままではタキノに勝てなくなる。サイはそう思った。


そんな時、魔法を試したくてソワソワしているタキノから模擬戦を申し受ける。模擬戦を始めた頃は余裕を持って攻撃しながら結界で防御をできていたが、今のタキノは今までは天然で身体強化をしてはいたがそれ程でもなかったが、現在では習熟し身体強化と魔力を任意に移動させて剣を魔力で強化させており、その剣速と移動速度は神速で目で追えなくなり結果として結界の多重防御で防ぐしか無くなり、攻撃の手が出せない状態であった。


防御している間にもサイは考える。どうすれば良い?


閃いたのは目でタキノを追うのでは無く探索魔法でタキノと剣を捕らえれば良いのでは?と考えるようになり実行する。


思った通りにタキノと剣をなんとか認識できるようになり更に探索魔法を強化し、それによりサイには今まで見えなかった世界が見えるようになった。


魔力により強化された脳に余裕が生まれて、今まで魔法の多重は6つが限界であったが、この状態になってからは10・・いや20までなら行けそうな感じがしてきた。


それを実行。


結界を多重展開しつつ探索魔法を立体的に捉え周囲を把握すると、氷の槍を多重に展開してタキノを襲う。雰囲気が変わったサイを見てタキノは吠える、


「面白え!」


タキノは身体強化を更に強化して一瞬にしてサイへと接近するがサイが、それに反応して自身も身体強化で回避行動をとる。


それに超反応でタキノが追随してサイへと迫るが、そこに火の玉がタキノを襲う。タキノも結界で防ぐが他方向からの攻撃により体への着弾を許すこととなる。


それにより速度が緩んだタキノへと更に魔法が襲う。これにはタキノも回避行動に専念せざるを得ず防戦となる。


そこにサイは更にタキノへと火の玉を飛ばすがタキノは剣に風魔法を纏い、体を一回転させると剣より風の刃が撃たれて火の玉を迎撃することに成功する。


だがサイは身体強化でタキノへと迫り火の玉を幾つも打ち出し休む暇を与えない。


タキノは意を決して身体強化を強化してサイへと迫り、


「シッ!」


と抜剣!魔力を纏った剣がサイへと迫り結界を割る。結界により剣速が緩まったところでサイは剣を掻い潜りタキノへと肉薄して魔力を纏った拳をタキノの腹へと打ち込む。


「ぐっ!」


とタキノは呻きながら後退様に蹴りを放ちサイを蹴り飛ばす。それにより距離が開けたところで、


「この辺で」


とコウが止めに入り模擬戦が終了した。


サイは模擬戦終了後も自分の掌を見つめて立ち尽くす。そこに、


「やるじゃねえか」


とタキノが嬉しそうにサイの背中を叩く。


「うるせえよ」


サイはぶっきらぼうに答えてお茶を用意しているコウの元へと歩いていく。コウは2人にお茶を渡しながら、


「サイ。何かを掴みましたね」


とサイに声を掛けるとサイは嬉しそうに頷く。それを見たコウは笑顔になり鼻歌を歌いながら軽食を2人に振る舞う。


昼がわりに軽食を食べた3人は首都に向かい歩き出す。頭上では風魔が気持ちよさそうに飛んでいる。


今日も良い天気だ。


その後は模擬戦も行わずに歩き続けてやっと首都が見えてくる位置まで辿り着く。


「あれが首都ですか」


とコウがタキノに聞くと、


「ああ、そうだ」


とタキノが答える。そのまま歩き続けて門を潜って街に入る。首都と呼ばれる町は今まで通って来た街よりは栄えているが、他の町を知っているサイとコウはそうでも無いと心の中で思っていた。


町を歩いていると何やらタキノは不機嫌なようで眉間に皺を寄せている。それを見たコウは、


「どうしましたかタキノ」


と声を掛けるがタキノは、


「なんでもねえ」


とぶっきらぼうに答える。タキノに案内されながらタキノのオススメの宿へと向かう。その道中で、


「おいおい、田舎剣士がなんのようだ」


と4人の剣士がニヤニヤしながら近づいてくる。


「邪魔だ」


とタキノは言うが、


「何をイキってやがる邪険にするなよ田舎剣士」


と4人の剣士はゲラゲラ笑う。その4人を無視して進もうとするが、


「無視すんなって田舎剣士」


と4人の剣士の中ではリーダーと思われる男がタキノの前を塞ぐ。


「良いから退け」


とタキノは言うが4人の剣士はニヤニヤしながら、


「今、俺たちは手持ちが少なくてな。俺らにいくらかようだててくれ無いか」


とリーダー格の剣士が言うとサイが、


「いい加減にしてくれ無いか?ヘボ剣士」


と言い放つと、


「おいテメエ!今なんと言った!」


と青筋を立てながらサイを睨むとサイは、


「なんだ?ヘボ剣士」


と答えると、


「お前、剣を持っていないところを見ると魔法師か?魔法師が剣士に勝てるとでも思っているのか?」


とリーダー格の剣士言うとタキノは、


「ぶっ!」


と吹き出して笑いを堪える。


「テメエ!何がおかしい」


と手を剣にかけるとサイは、


「剣士が魔法師に勝てるとでも」


と言うとコウとタキノが噴き出す。それを見た4人の剣士が抜剣する。

お読みいただきありがとうございます。


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